連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(15)
おきなわ観光情報学研究会


実現したいことを正確に伝える(5)

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

■何事も図に描こう…4

 図を描きながら、ネットによる販売(電子商取引といいます)について具体的に考えましょう。前回は「電子商取引(EC)事業導入の視点」の第1回として、EC導入の目的は『売上の拡大』といえ、成功するための視点、ECサイト運営の問題点などを図に描いて検討しました。その結果、ECサイトの構築で最も重要なことは「訪問者が多く、成約率の高い」サイトを如何に構築するかに尽きると言えます。今回は、図に示すように「繁盛するECサイトの構築」を検討します。先ず、@ECサイト運営上の問題点、A問題点の要因、などの問題の所在を考える必要があります。問題の所在が明確になったら、次は、問題の起こる要因を考える必要があります。これは、IT導入やシステム導入において問題があれば、その問題を事前に解決し、問題を含まないシステムを開発し、導入する必要があるからです。

 売り上げ拡大を狙ったECサイトを導入する場合の問題点を整理する必要があります。ECサイト運営の問題あるいは課題は、多くの場合図に示すように、@サイトの売り上げが少ない、A成約率が低い、の2点に集約でき、事業を行う業態ごとにこの問題点の要因を分析する必要があります。問題点の要因の多くは、サイトへの訪問者が極めて少ないか、サイトへの訪問者はほどほどに有るが成 約しないことを挙げることができます。問題点、問題の要因が解明できれば、次は、問題解決策を検討する必要があります。問題解決策が明確になれば、その問題の解決策を織り込みシステムの開発を行います。もし、この問題を解決しないままにシステムを開発し、導入したとすれば、問題有りのシステム(欠陥システム)を導入することになり、事業の成功する確率は下がります。成功するため には、問題の要因、問題の解決策を検討し、問題を解明し、システム開発、システムの導入、事業の導入を行うようにします。成功するためには、決してこの作業を怠ってはなりません。

 問題の解決策の検討には、@サイトの訪問者の拡大、A成約率の向上、の2つの課題に分け検討を進めます。サイト訪問者の拡大策の検討には、数百万、数千万といわれるネットワーク上のWebサイトの中から、自社のサイトを見つけ訪問してもらうことは容易なことではありません。無策では、訪問者は全く現れないという結果になります。自社のサイトに訪問してもらう工夫と仕掛けが必要 となります。この仕掛けを見つける必要があります。

 次に、成約率の向上には、訪問したお客様が買ってくれるように仕掛けをしなければなりません。この検討の視点としては図に示すように、@訪問者を満足させる情報の提供、A訪問者を満足させる商品を準備する、B販売商品をアッピールする、ことといえます。店舗を持つ販売では、店員が商品説明をお客様が納得するまで対面で説明します。ECサイトでは、お客との対面はパソコンの画面 を介して行うことになります。したがって、商品の説明や情報提供はサイト内で的確に行う必要があります。販売商品のアッピールも同じことがいえます。サイトのデザインや情報の見せ方を工夫し、スマートにアッピールする工夫が必要となります。また、売り上げやリピーターを増やすには販売商品は常に、購入者が満足するよう工夫する必要があります。これら解決策の諸点を明確にして、導 入するシステムに織り込み、システムの品質向上に努力し、事業が成功するように配慮しなければなりません。

 この解決策を見つけるまで、図を描きながら検討を進めます。欠陥商品、欠陥システム、欠陥事業を導入しないよう、図を上手に使いながら解決策を見つけましょう。図を描くことにより、何を考えなくてはならないかが見えてくるようになり、導入に失敗する要因を取り除くこと、考え対策を行うことにより成功への確立が高まります。図に描いてみると、事業目的、導入の目的が明確にイメー ジできるようになり、考え違いしているような場合には、その間違いに気付くようになります。また、周辺事情が見えてくるようになり、戦略が正しいかどうか、導入方法が正しいかどうかの判断、方向性などを見極める事が容易になります。物事を考える時には、必ず図に描いて思考を巡らすよう習慣付けしましょう。(「観光とけいざい」第682号05年7月15日号)


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