連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(19)
おきなわ観光情報学研究会


実現したいことを正確に伝える(9)

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 IT導入で成功するには、導入の目的、ビジネスと事業戦略、事業戦略に立脚したビジネスモデルの考察、多くの人に利用される工夫、目的を達成する的確な実践手段の選定、入るものと出るものを見極め明確にする、利用者の利便性と満足度向上の追及、入力してから出力するまでの作業・業務を決め業務フローを確定する、これ等の諸点を導入するITシステムに反映させることが重要と言える。これらの諸事項を、図を作成し検討を十分行い、システム化することが成功の確立を高める。今回は、前回のPOS-ATMビジネスモデルの実践モデルについて、ビジネスモデルを考える良い事例になるので、もう一度、ビジネスモデルを検証する。

■何事も図に描くと分かり易くなる…8

 このビジネスモデルは、店舗の売上用POSレジにATM機能をつけ、現金を買取り、客先の現金管理を開放したことにある。このビジネスモデルの優れたところは、図に示すように店舗など現金を扱うことが存在するビジネスにおいて、ほとんどの企業や事業者が悩みを抱えている「お金」の取扱をビジネスにしたことである。ビジネスモデルの開発は、このモデルのように、多くの人が悩んでいることをテーマにすることが成功の第1歩といえる。また、導入企業が多く存在するのでビジネスに成功するモデルといえる。ビジネスはマーケットを抑えることが出来れば、成功は容易となる。いつもマーケットを念頭においてIT導入を考えることが成功の基本の一つといえる。

1.ビジネスモデルのポイント

 このビジネスモデルの優れたところは、@誰もが困っている問題を解決する手段を提供する、A提供する手段が現場の効率化につながる、Bお金がキラーコンテンツ、にある。即ち、売上現金を扱う企業全てが共通の悩みを持ち、このビジネスモデルの導入を望むところにある。

 このモデルの発案者の優れた点は、誰もが悩んでいる「お金」に着目し、その解決策を提供するビジネスモデルを考案したことにある。システムの開発者や企画者に注目してもらいたいことは「誰もが悩んでいる」、「その解決策を提案」するビジネスであること。即ち、お客様が沢山存在するということである。ビジネスモデルを考案する時、良く陥ることは、自分が考えたビジネスモデルに惚れ込み、お客様の顔を忘れて、これが世の中の全てを制するぐらいに舞い上がってしまい、自分を見失うことである。このような劣る事例は、身近に沢山存在する。特に、他人のお金でビジネスモデルを考える人や有名企業は、ビジネスの専門知識が乏しいにもかかわらず、現場の勉強を怠り名声とプライドでビジネスモデルを押し通すところにあり、これを導入したところは、無駄なお金を使い、世の中から批判を浴びることになる。往々にして公共事業にありがちなことであろう。

 IT導入成功モデルは、先ず、@市場ニーズ、Aお客があること、Bお客の悩みを解決すること、が提案できることにある。さらに、この条件を満足するシステムを考案し実現することが必要である。

2. 現金はどのように扱われるか

 POSレジ下のATMに入った現金は、このビジネスモデルを考案し提供するサービス提供会社が現金をPOS-ATM導入企業から買取り、翌日導入企業の銀行口座に現金を振り込むサービスを提供する仕組みになっている。導入企業はATMに現金が入った時点で現金管理から解放される仕組みになっている。POS-ATMに入った現金は、サービス会社のセンターで、売上データ、ATM内の現金の有り高、あふれ庫の現金状況などのデータを常時監視し、あふれ庫で現金が一杯になった都度、サービス提供会社が現金回収をすることになり、あふれない限り現金はATM内に置かれる。

 店舗を持つ、どこの会社でも現金管理について悩み事を抱えていて、問題解決に頭を痛めているのが現状である。このビジネスモデルのサービスは、この問題を解決する救い主で、これまでプレゼンテーションしたどの企業でも、このビジネスモデルを否定するところはなかったようで、他店舗展開する企業と契約がどんどん進みつつある。また、ATMメーカーやPOSレジメーカーの大手と協業の話が進み、事業発展が急激に進んでいる。

 このサービスは、営業活動が10月から本格的に始まったところで、11月から多店舗展開の多くの業種で、トライアルがスタートするようで、来年4月から多くの多店舗展開企業で本格稼動する見込みである。

 このサービスのビジネスを希望する方は、筆者前川まで、メールいただければご紹介します。

Eメール:wns-maekawa@mb.neweb.ne.jp

(「観光とけいざい」第690号05年11月15日号)


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