連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(20)
おきなわ観光情報学研究会


実現したいことを正確に伝える(10)

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

 ビジネスで成功するには、図に示すように、@成功しているビジネスモデルに乗る、A成功しているビジネスモデルを見てコンセプトやビジネスの方法を取り入れる、の2通りがある。成功しているビジネスモデルにおいて気をつけるべき点は、成功している、流行っているビジネスモデルといっても、闇雲にそのビジネスに乗っても成功するとは限らないということだ。

 例えば、ショッピングモールで成功している楽天を例に考えてみよう。楽天には、数千店ものショップが店を開いており、簡単にショップを開いたからといって何処にでもあるような商品を並べただけでは繁盛するとは言い切れない。開いたショップで買ってもらえるような仕掛けか、商品に特徴を持たせるような工夫が必要となる。ひとりでオンラインショップを開いても誰もショップを訪れてくれないような場合には、大手のこのようなモールにショップを開くことにより集客の道が開ける可能性もあり、工夫一つで成功する可能性はある。検討の一つの対象にはなるが、これで成功するとは言えない。

 次にいえることは、ビジネスコンセプトをよく検討することである。市場が欲している(望んでいる)ようなビジネスが無いかを考えることである。これを見つけられたら成功への道が開けたようなものである。即ち、マーケットがあるビジネスを探し、それを実現することにある。

 言い換えれば、お客が既に存在し、ビジネス市場ではまだ誰も商業化していないビジネスを考案することである。これは、なかなか見つからない可能性があり、そのようなビジネスを実際に事業化している事業を導入するか、それに参加することが成功への早道でもあり、失敗したときのリスクが少なくて済む。

 往々にして間違う場合がある。自分で考案した、夢にまで見たビジネスモデルに惚れ込み、そのビジネスモデルが全てに勝り、これで成功間違い無しと思う錯覚に落ち込むことである。これは大変危険なことである。商品を扱う場合も同じことが言える。

 自分で考案したビジネスモデルについて、あらゆる角度から十分検証してみる必要がある。如何なる課題や難問をそのビジネスモデルに投げても、全てに良い回答が得られるかどうか自問自答してみる必要がある。あるいは、友人や専門家に評価してもらうと良い。その結果、大丈夫となれば導入の価値があると判断してよい。多くの失敗例は、この錯覚による間違いに気付かないことで、ビジネスを開始している場合である。

2.ビジネスモデルのポイント

 前回と前々回で紹介したPOS-ATMのビジネスモデルは、現在の営業状況を見ると、プレゼンをしたお客様のほとんどにおいて、ノーといわれたことは無く、導入する、しないは別として、どの企業においても必要性を感じているビジネスモデルといえる。このビジネスモデルの優れたところは、@誰もが困っている問題を解決する手段を提供する、A提供する手段が現場の効率化につながる、Bお金が商品という極めて特徴のあるビジネスモデル、である。

 この反応から推測すると、売上現金を扱う企業全てが共通の悩みを持ち、このビジネスモデルの導入を望むところにある。

 このモデルの発案者の優れた点は、誰もが悩んでいる「お金」に着目し、その解決策を提供するビジネスモデルを考案したことにある。システムの開発者や企画者に注目してもらいたいことは「誰もが悩んでいる」、「その解決策を提案」するビジネスであること。そして、お金を扱うお客様が沢山存在するということである。

 ビジネスモデルを考案する時、良く陥ることは、自分が考えたビジネスモデルに惚れ込み、お客様の顔を忘れて、これが世の中の全てを制するぐらいに舞い上がってしまい、自分を見失うことである。このような劣る事例は、身近に沢山存在する。特に、他人のお金でビジネスモデルを考える人や有名企業は、ビジネスの専門知識が乏しいにもかかわらず、現場の勉強を怠り、名声とプライドでビジネスモデルを押し通すところにあり、これを導入したところは、無駄なお金を使い、世の中から批判を浴びることになる。往々にして公共事業にありがちなことであろう。

 IT導入成功モデルは、先ず、@市場ニーズ、Aお客があること、Bお客の悩みを解決すること、が提案できることにある。さらに、この条件を満足するシステムを考案し実現することが成功を導く鍵である。(「観光とけいざい」第691号05年12月合併号)


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