連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(26)
おきなわ観光情報学研究会


新規事業の拡大と新しいビジネスの創設

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

■ビジネスにはITが欠かせなくなった

 最近ではITがビジネスには欠かせなくなりました。テレビやビジネス雑誌などでこの言葉が頻繁に聞かれるようになりました。このような時代になってITの導入を検討している企業や人々が多いと思いますが、皆さんのビジネスではどのように活用しようとされていますか。

 ITを導入した場合に、@成功したと思われるケース、A失敗したなと思われるケース、B少々機能や性能が足りないと思われるケース、の3通りの結果となります。多くの場合でAとBになるケースがあります。

 Aの場合は悲劇でしょう。導入した効果がないわけですから、Bの場合は改善の手段があれば良いのですが、その手段が見つからない場合はやはり導入効果が薄くなり失敗といえます。IT導入で失敗しないために、他の企業で導入した事例について、その結果について良く聞きましょう。IT導入後の様子を知ることにより導入の失敗を防ぐことが可能になります。

 ITを導入した企業や職場での感想は大きく分けて、@ITを導入して良かった、AIT導入したにもかかわらず役に立たないね、BIT導入したけれど効率が上がらないね、C目的が達成できないね、など主に4つに分類されます。@の場合は満足な結果といえますが、A〜Cでは、不満足な結果、即ち、導入が不成功であったといえます。このような結果にならないように、これから導入しようとする自身のITシステムについて比較しながらよく検討しましょう。ITの時代になったからといって安易にITシステムを導入しないことが成功への道です。

■他所の導入事例をよく研究し成功させよう

 不成功の原因は主に、@ビジネスへのIT活用方法が十分検討されなかったために、導入したシステムに欠落している部分が生じてしまい目標が達成できなくなってしまった、A目標が高すぎて導入したITシステムの性能が足りなくなってしまった、ことを挙げることができます。実際に導入した事例についてどのような結果になったか良く研究し、導入しようとする事例と比較検討を行い、計画している内容について満足できそうもない諸点を浮き彫りにして、満足できる結果になるよう計画を修正しましょう。

 不成功原因のA場合の多くはIT導入に十分な費用が掛けられなくてシステムの性能を落とし導入費用を抑えたために目標値とITの性能が不一致になり、満足な結果が出ないという結果を招いてしまったケースです。この場合には導入スケジュールを何回かに区分けし、性能アップを行うと良いでしょう。必ず性能アップできるように導入当初より計画を立て実行します。初期段階から性能アップの計画を織り込まないと途中で性能改善をすることが困難になる場合と、ソフトの入れ替えなど費用が予想以上に掛かることがあります。この点に注意しましょう。

 ITで成功するためには必ず、目的や目標を明確にして、導入しようと計画したITシステムが目的や目標を達成するに足りるか、足りないか十分評価してから導入システムを決めるようにしましょう。

■IT導入成功にはITの性能・機能に注意

 性能が足りなくてシステムが十分機能しなかった事例を紹介しましょう。人気ゲームソフトをネットで販売した会社があります。この受注の時に、受注開始時間に一斉に数十万人の人が注文先のウエブサイトにアクセスしたために、システムが大量の同時アクセスに対応できず受注ウエブサイトのシステムがダウンしてしまいネット販売が上手くできなかったことが実際に起こっています。この原因は、ネット受注開始時の同時アクセス数の推測に失敗し、システムの準備段階で同時アクセス数を低く設定してしまいシステムの性能不足が生じた事によるものといえます。

 お客様を待たせてはいけません。通常ITシステムなどで自動的に処理する場合には、人間の待てる時間は7秒程度が最大です。なかなかつながらないとか、購入処理の段階で次の操作への時間が大幅に掛かるなどは避けるようにしましょう。このような場合には、2度とお客様はウエブサイトを訪問してくれなくなるでしょう。

伝統文化を無視して起こった事故 簡単な例を挙げましたが、ITを導入する場合には、目的と目標を達成するのにシステム性能が一致しているか、または、それ以上の性能を有するシステムを導入することが大変重要になります。性能や機能を目的・目標に一致させるようにすることがIT導入の成功第一歩といえます。

(「観光とけいざい」第705号06年8月1日号)


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