連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(27)
おきなわ観光情報学研究会


新規事業の拡大と新しいビジネスの創設

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

■ビジネスにはITが欠かせなくなった‐2

 ITはビジネスの現場において必要不可欠になってきました。例えば、航空会社のチケット購入、保険会社の加入申し込みやホテルの予約などにおいてインターネットで申し込むと料金が割安になるようになりました。

 このような例のように、インターネット即ちPCと通信回線を使って予約をすれば安くなるという環境の出現は、ITを使うことを推奨しているようなもので、人材を介して予約を受け付けることは経費が高いことを示唆しています。多くのビジネスにおいてITは必須になりつつある時代が到来したといえます。

 予約申し込みや加入申し込みの仕組みは、一般人を対象としたITの世界の用語でB‐to‐Cといわれる。いわゆる企業対一般大衆を相手にしたビジネス・モデルです。企業同士のビジネスではB‐to‐Bと呼ばれる企業対企業の取引をITで実現するビジネス・モデルがあります。例えば、小売店とメーカー・問屋の取引をインターネットで行う仕組みがあります。

■インターネットを使った商取引

 先に述べたようにインターネットを活用した商取引には、B‐to‐CとB‐to‐Bの二つの形態があります。ITを導入する場合にどちらの形態を採択するか決める必要があります。

 一般的な電子商取引(WEB・ショッピングサイト)では、B‐to‐Cの一般大衆を広く相手にしたビジネス・モデルが多く存在しています。例えば、身近な例として楽天のサイトのビジネス形態は両モデルを同時に実現しているモデルといえます。しかし、主としたビジネスはやはりB‐to‐Cと言えます。

 ショップを出したい人にはWEB販売ができる仕組みを提供し、WEBサイトを出店した人は個人相手のビジネスを実現していることでB‐to‐Cのビジネス・モデルといえます。楽天と出店者の関係がB‐to‐Bに当たります。Yahooの場合も同じことがいえます。オークションの出品者にはB‐to‐Bモデルをオークション参加者にはB‐to‐Cモデルになります。このB‐to‐CとB‐to‐Bの違いを理解する必要があります。

 ITビジネスを進める場合、先の例のようにB‐to‐Cのビジネス・モデルで事業をするのか、B‐to‐Bのビジネス・モデルで事業をするのか決める必要があります。

■ビジネスコンセプトを決める

 この例に上げたようにWEBサイトを活用したビジネスでも、ビジネス・モデルが二つ存在することになります。ビジネスを始める前にこのどちらのビジネス・モデルで事業をするか決めなくてはなりません。即ち、ビジネスのコンセプトを事前に決める必要があるということです。これを怠るとビジネスの成功は永遠にやってきません。成功したとすればまぐれ当たりといえます。

 このようにITの導入では、事業コンセプトをしっかりつくらなくてはなりません。事業コンセプト創りを怠ると事業に失敗する危険性が高いといえます。

 システム開発会社は、与えられた事業コンセプトを元に開発を進めます。コンセプトが不明確である場合には、開発業者と発注者側が打合せをして問題解決を行いますが、往々にして、発注者がシステム開発会社に丸投げしてしまう場合やシステム開発会社が勝手に解釈して開発を進めるケースが多々あり、事業目的に合わないシステムが出来上がってしまって、さらに費用を掛け改修したり、未完成のビジネス・モデルで泣く泣くビジネスを進めなくてはならず、泣きを見ることになります。ビジネスコンセプトは明確にした方が失敗から逃れる確率が高くなり、成功へと進むようになります。

 IT導入で失敗しないためには事業コンセプトをしっかりまとめ、システム開発を進めるようにしましょう。

(「観光とけいざい」第707号06年9月1日号)


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