連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(29)
おきなわ観光情報学研究会


新規事業の拡大と新しいビジネスの創設

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

■ITの世界ではセキュリティー対策に追われている

 日本に存在するほとんどの企業では、大掛かりなシステムからパソコン程度の小規模機器やシステムなどITを利用している。それらの企業で、今大きな問題は、いかに自分の保有する情報を守るか、即ち、情報漏洩に対する対策に追われている現状にある。

 大手の金融機関や大手の通信会社で情報漏洩に万全の対策を行っていても、個人情報が大量に流出し問題になっている。一方、インターネットを接続して情報交流や通信を行っている人々は、常に、ハッカーの侵入やウイルスによる脅威にさらされている。また、パソコンやシステムにある情報を盗み出すスパイウエアーのような悪質なウイルスまであり、いつのまにか銀行口座の取引内容や口座番号、暗証番号などが盗まれ預金を引き出される被害まで発生している。

 インターネットのウイルス対策用ソフトとして、ノートンインターネットセキュリティーやマカフィーなどが市販され、これらのソフトウエアーのセキュリティーセンターとオンラインで接続し、常に最新のウイルス対策を施してシステムを守るというようなことを行っている。一方、インターネットサービスを提供するプロバイダーでもウイルス対策を行い有料でウイルス防止サービスを提供している。

 しかし、どれをとっても完璧だといえるものは存在していないのが現状である。大手のインターネットサービスを提供する通信会社や金融や証券など大手企業にITシステムを販売する企業でも、この対策に知恵を絞っているのが現状である。

 このようなIT業界の現状からビジネスを想像すると、セキュリティー絡みのビジネスは有望であるといえる。しかし、大手の企業やソフトウエアー会社が凌ぎを削っている世界でもあることから、ビジネスの創造と立ち上げには、他をリードする新しい発想を持ったビジネスを構築するか、他に優れたアイデアでビジネスを実行しているところと協業することが成功への道といえる。

■情報漏洩は身内から

 これまでの情報漏洩の問題の発生は、大きく分けると次の二つの点といえる。@ウイルスやハッカーによるネットワークからの進入による情報漏洩、A社員やシステムの保守や運用にたずさわる外部の人間よる人的な悪意による漏洩、である。

 何万件、何十万件の個人情報の漏洩などは、ほとんどが人間による情報漏洩である。システムに高度な技術を導入してセキュアーな構造にしたとしても人間が悪さをする場合にはどうにもならない結果に陥る。現状では、情報管理室やシステム管理監視室の人間の動態を監視カメラで監視したり、これらの部屋への入退室を管理することでしか方法はない。人間不信で徹底的にたずさわる人間の監視システムにおい て管理監督するしか現状手立てはないといえる。ここにはまだビジネスのチャンスがあるといえる。

 通信ネットワークから侵入されたり破壊されたりする場合の防止には、セキュアーな回線構造を構築することとソフトウエアーでウイルスを防止する手段になる。しかし、これも完璧ではなく、まだまだビジネスのチャンスが存在する世界である。例えば、次のような方法が考えられる。

■通信回線系の情報漏洩対策の方法

 企業利用の通信回線系におけるセキュアーな構造を実現するには、完璧に自社網でクローズドの環境を創造することが一番である。これは、自社網の回線にはインターネットに直接接続しないことである。クローズドの通信環境を実現するために、今多くの企業で導入しているのはIP‐VPNというサービスであるが、月々の利用料金が高額で中小企業では利用料金の負担が重荷になる。最近、セキュアーな回線を低料金で提供する画期的なサービス開発が進められており来年2月ごろより提供が開始される見込みで、この回線サービスを利用すれば月額の通信料金が大幅に節約できる見込みである。このサービス開発は(株)セントラルサイビスがKDDINSの開発部隊と共同で開発していて、来年2月にはゲートウエイセンターが稼動する見込み。このサービスは画期的な方式で回線系がクローズド、通信情報の送受信に暗号化を採用し、端末の個別認証も行っているという3重構造でセキュアーな回線構造を実現している優れものである。この方式は現在何所にもないセキュアーな構造を持っているものといえる。この回線サービスの提供ビジネスを考えている人は、筆者にメールされれば相談に乗る。

 もう一つのアイデアはネットワーク上に存在するパソコンからディスクをなくすこと、即ち、データを個別に保管しないシステムを導入することである。これはシンクライアントという方式で、センターに一つハードディスクを置きそこに記録する方式である。

 セントラルサイビス社が提供するセキュアーな回線サービスとシンクライアントについては次号でさらに説明する。

前川昌道 E-Mail: maekawa@sky.tnc.ne.jp

(「観光とけいざい」第711号06年11月1日号)


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