連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(32)
おきなわ観光情報学研究会


画期的な定温物流システム

前川昌道(アイスプランニング代表・観光情報学会)

■移動中の温度管理システム

 全国の産地から新鮮な野菜や魚、冷凍された肉類などが長距離トラックなどで全国の市場へ、また、市場から食卓へ送られている。年末に築地市場の中央口から中に入ったところ、長尺ボディーの大きなトラックが入り口から中までぎっしり止まっていて、ナンバープレートは函館や九州の熊本など遠くからやってきていた。来る時は地方の産地から東京の台所を目指して、帰りは、別の産地の物産を積んで帰る。

 積荷の現場を見ていると新しい業者名を付けた発泡スチロールの箱に新鮮な魚が詰められどんどんトラックに積まれてゆく。積み込まれた商品は、輸送中の温度管理を適切にしないと鮮度が落ちてしまい、終いには売る商品にならなくってしまうのであろうと心配した。このトラックのほとんどはアルミ筐体の冷凍車や冷蔵車が使われていて温度管理に苦労しているのが現状である。この温度管理に画期的なソリューションが出てきた。アルミボディーの中と運転席を無線で情報交換することが可能になった。

 一般的にはアルミ筐体は無線信号を遮断(遮蔽)し外部と通信ができないのであるが、KDDIネットワーク&ソリューションでは、KDD時代の無線技術のノウハウを生かしアルミ筐体の中と外で無線通信を可能とした。この無線通信には潜水艦との通信に使用したような非常に低い周波数を使っている。かつてKDDは潜水艦向けの通信システムを持っていた。愛知県の刈谷市にアンテナがそびえていて東海道線の車窓から良く見えた。

 定温管理システムの何所が優れているかといえば、例えば、積荷の箱内に温度センサーモジュールを付け、アルミ筐体内に無線中継器を置き、中継器がセンサーのデータを読み取り、外部、例えば運転席の通信制御装置に無線で情報を送り、携帯電話を通じてセンターと交信することにより、筐体内の積荷の個別の温度状態を制御管理することができることである。さらに、積載内容の管理や積み下ろし管理が自動でできることになる。

 また、-20〜60℃という低い温度から高い温度の範囲で動作することになり、冷蔵・冷凍品や暖かい商品の運搬中の管理もできる。

 この技術は、いろいろの分野で応用ができる。例えば、大型の冷凍庫内や冷蔵庫内の保管物について個別の管理ができるようになることである。関連分野のビジネスは飛躍の可能性を秘めている。

前川昌道 E-Mail: maekawa@sky.tnc.ne.jp

(「観光とけいざい」第716号07年2月1日号)


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