連載 前川昌道・IT導入、成功と失敗の法則(48)
おきなわ観光情報学研究会


南米移住100周年、移住地は縮小

前川昌道(アイスプランニング代表・おきなわ観光情報学研究会)

■南米移住後100年

 南米に移住が始まって100年が過ぎようとしている。ブラジルでは今年の6月18日がブラジル・サントス港に笠戸丸が第1回移民を乗せ入港して100周年に当たる。第1回移民には沖縄県民325人が含まれている。南米への移住者数は、ブラジルが一番で沖縄からも多くの移住者が渡っている。ブラジル日系人は150万人に達している。WUBの大会がこの秋ブラジルで開かれることになっており、WUB沖縄県系人が世界各国から大挙してブラジルへ集合する計画になっている。沖縄からもチャーター便で多くの県民が参加するという。所期の目的である、ビジネスの沖縄・ブラジルの連携ができることを願う。

 ブラジルの経済状況は極めて良く、南米諸国の中で一番活発な経済活動になっている。特に、製鋼所のある地域や食糧生産地帯は好景気に見舞われ、街の拡大が急激に起こっている。このような経済状況の中で、ブラジルに移住した日系人は、この好景気のもとにおいて、社会的に発展していると見れるのであろうか。ブラジル日系人の中で市長になったり、国会議員になったり、それなりに地位を築いた人がいるが、来日する出稼ぎ日系ブラジル人の様相を見る限り、それほど現地社会で成功を収め得ているとは言えないのではなかろうか。

 日本大学国際関係学部福井千鶴准教授の最近の南米日系社会と来日日系人の研究によると、ブラジルの日本人は当初契約労働者として渡り、コーヒー園の労働者として、劣悪な環境で労働させられたという。その後、日本人移住地がサンパウロ州を中心に開拓され、発展したが、今日の移住地では、若者が出稼ぎや首都サンパウロへ出ることによって不在となり、消滅した移住地があったり、存続が危ぶまれている。このように、日系移住地は、縮小の一途をたどっている。日系人の70%は首都サンパウロに集中し、住んでいるという。多くの移住者は農業から転じて、首都での暮らしを選んだようである。また、若者の多くは、農業離れを起こし首都サンパウロや日本への出稼ぎで、移住地を出ている。

■来日南米日系人の地域共生

 1990年の入管法の改正以来、南米日系人が労働者として大量に日本にやって生きている。昨年度では、ブラジル日系人が31万人にも上り、自動車産業や電器関係の製造工場の多い愛知県や静岡県の市町村を中心に、多くの南米日系人が集住し、来日日系人の入国が拡大している。

 このような状況下において、南米日系人が集住する市町村では、日系人による犯罪や共生に関して多くの問題が発生していて、地方自治体では、南米日系人をニューカマーと呼び、彼らとの共生社会の構築について、頭を悩ませている。この共生の問題は「多文化共生の推進」として、総務省を中心に日本政府と地方自治体で、共生の方針と外国人も住みやすい地域社会作りが進められている。問題は、@言葉の問題で、お互いのコミュニケーションが取れない、A教育への熱意が薄く、子供が放任され、不就学児童が増え、犯罪に走る子供が目立つようになった、B日本人の血が流れているが、外国人扱いで差別がある、などで、共生社会作りが問題になっている。

 南米日系人の日本における生活については、日本人が南米へ移住した初期の問題と全く同じ問題が起こっているといえる。@ほとんどの来日日系人が工場労務者として契約労働者になっている、A日本語を習得しない日系人が多く、コミュニケーションの問題が生じている、B日本人と対等の処遇にない、などの生活環境に置かれていて、当初の移住者とおなじ状況に置かれている。

 しかし、移住した日本人は、子供の教育に熱心で、移住地では最初から学校を作り教育を尊重した。しかし、来日南米日系人は、働いて稼ぐことが主で、教育に熱心さが見られない、地域への共生意識が、出稼ぎという思いからか極めて薄い。このような重要な問題に関して希薄な意識は、日本で生活する南米日系人の地位向上や地域でのよりよい生活環境を創生するにはよくない状況にあるといえ、南米日系人の意識改革が必要と言える。

 日本人の血の入った同胞たちの若者をいかに日本の社会で生かすか、多くの企業の協力が必要と言える。工場労務者も必要なことであるが、南米日系人のリーダーを養成し、優秀な南米日系人の若者を専門家としてリーダーとして活用する方策が必要であろう。多くの移住者を輩出した沖縄県の企業の協力が必要である。南米日系人、沖縄県人の血を引く同胞の地位向上に手を貸すことが必要である。

 このコラムは、日本大学国際関係学部福井千鶴准教授の最近の南米日系社会と来日日系人の研究成果を参考に課題・諸問題について述べた。

■最先端技術が動き始めた

 本コラムで画期的なソリューション、@フォトリーダーペン、Aインターネットでハイビジョン伝送、の技術を紹介した。そのソリューションは、日本の社会で実用化と導入が進み始めた。

 @フォトリーダーペンに関しては、携帯電話の入力操作用として採用が決まり、これからの携帯電話の入力が小さいボタンではなくペンタッチで入力が可能になる。また、携帯電話のキーボードとして印刷したキーボードが利用できるようになる。極めて便利な環境ができる。また、高齢者にも容易に入力ができる環境が整う。

 Aインターネットで高画質を伝送するソリューションは、iP-TVの時代がやってきたことによって最先端技術が生かされる。CATV業者や通信キャリヤーはインターネット放送に触手を伸ばし、放送免許を取得する業者が画期的に増えている。iP-TVの放送には、インターネットで高画質伝送が必須のソリューションである。この技術を使用することで、誰もがインターネット放送に参入できる。

 また、インターネット放送には、動画ソリューションを簡単にネットに流せるように動画コンテンツの制作と簡単なライブ放送環境を整える必要がある。筆者の手元には、PC一台で簡単に動画のスイッチング、編集、ライブ放送などを行うソリューションがある。この、コンテンツ編集・ライブ放送スイッチングは、極めて時流性のあるソリューションと言える。次号で詳細を紹介する予定である。

 南米問題、先端技術のお問い合わせ筆者のメールアドレスまで(メールアドレスが変わりました(08年9月3日)):
aissmaekawa@ybb.ne.jp

(「観光とけいざい」第746号08年6月15日号)


 |  連載49 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.