連載 Tourism Informatics (TI) の試み(3)
おきなわ観光情報研究会


観光における位置情報の活用

遠藤聡志(琉球大学工学部助教授)

 我々の生活圏の至る所にコンピュータが存在し、いつでもどこからでもネットワークを介してコンピュータの提供するサービスにアクセスできる。『ユビキタス』と呼ばれるこの概念は、PDA、携帯電話などコンピュータの小型化、無線による接続方式の普及により現実的なものになりつつある。

 これまでの『モバイル』との違いは、ユーザがコンピュータを携帯することを前提としない、計算ツールにいくつかの付加的要素が定義されていること等である。付加的要素の一つにGPS(Global Positioning System)がある。

 GPSについては、ご承知の方も多いかと思うが、簡単に説明すると、地球周回軌道上の24個の人工衛星から発信される情報を利用して(4つ分の衛星情報が受信できれば良い)、地球上の受信者の位置(緯度、経度、高度)を測定するシステムであり、衛星は米国防総省管理である。軍事技術の民間転用で、2000年に測位精度の意図的な劣化処理が無くされている。カーナビシステムの基盤技術で、最近はGPSの機能だけを切り離して製品化したものも発売され、安価にこのサービスを利用することができる。観光分野へのGPSの利用法を2つ紹介する。

 第一は、GPSを用いたレンタカー動態調査である。沖縄における個人旅行者の大半はレンタカーを利用する。レンタカーに携帯型のGPSを搭載し、移動のログを残せば、レンタカーを活用する旅行者がどのような場所をどのような時間帯にどのようなルートで移動しているのかという、個人旅行の実態を高い精度で調査することが可能である。こうして集めた大量のデータを分析すれば、レンタカー業者はもちろん他の観光業者も、今後も増え続けるであろう個人旅行客に対する各々の観光業務戦略を立案することが可能となる。ちなみに、この調査は9月設立予定の観光情報学会における主要プロジェクトとなる。我々の研究会でも、沖縄での調査実施に向けて準備中である。

 第二は、バスロケーションである。バスにGPSを搭載しその位置情報を定期的にサーバコンピュータに収集する。ユーザは携帯電話等からサーバにアクセスし、位置情報から計算された(時刻表の予定時刻ではない)実際のバスの到着時刻を知ることができ、炎天下で延々バスを待つ必要がなくなる。ゆいレール開通に伴い、交通インフラの再整備が強く指摘される中、利便性の高いバスサービスの提供を実現する有力な手段となる。他府県では、このサービスにより営業利益を伸ばしたという実績報告もある。沖縄では、数年前から一部のタクシー会社がGPSを利用した配車サービスを展開し、普及しつつある。

 さて、研究会の紹介を含め3回このコーナーを担当させていただいた。次回からは、研究会参加メンバーが各々の観光関連研究テーマを順次紹介させていただく。(「観光とけいざい」03年8月15日)


 |  連載4 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.