連載 Tourism Informatics (TI) の試み(5)
おきなわ観光情報研究会


ヒトの満足という評価

岡崎威生(琉球大学工学部講師)

 「観光情報」というある種抽象的な概念を、いかに具体的なものに掘り下げていくのか?

 このことをテーマに2回にわたり述べさせていただく。

 観光は「ヒトが移動し満足を感じる」という単純な行動にもかかわらず、関連する業界は個人・団体も含めて非常に多様で幅広い。そのため観光をシステムとしてモデル化する際に、広範な領域を対象にし考慮していく必要がある。

 また、ヒトの満足という評価が主観的かつ抽象的であるために、客観的なモデルを構築、あるいは客観的な検証をおこなうためには、これらの指標を適切に数量化する必要がある。

 以上の2点が、観光という題材を情報学的に取り扱う上での問題点であると同時に我々にとっては研究テーマといえる。

 一方で、沖縄県において観光に関連したデータ収集は精力的に実施されている。沖縄県をはじめ各市町村、企業、各種団体、研究機関等により、観光をテーマにしたアンケート調査や各業界の諸元データの集計などが頻繁におこなわれ、その結果も数多く公開されている。

 しかしこれらの報告において、収集されたデータは単純集計や基本統計量の提示、あるいは部分的な相関関係の解明程度に活用されていることがほとんどである。

 そこで、観光をモデル化し解析する際に有用な手法についていくつか紹介したい。モデル化といっても、端的な目標は観光に関する収益をいかに大きくするかであるので、影響を与える要因の抽出と、それらの因果関係を明らかにすることが目的となる。

 観光を取り巻く様々な因子間の関係は一種のネットワークとみなすことができ、ネットワーク解析技術の適用が考えられる。確率の視点からのアプローチとして、共分散構造分析やベイジアン・ネットワークモデルがあげられる。また、脳神経系をモデルにした情報処理システムとしてニューラルネットワークがあげられる。

 それぞれの特徴や適用例については、次回述べたい。(「観光とけいざい」03年10月15日)


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