連載 Tourism Informatics (TI) の試み(6)
おきなわ観光情報研究会


個人プロフィールと観光地満足度の関係

岡崎威生(琉球大学工学部講師)

 前回、観光をモデル化し解析するのに有用な手法として、共分散構造分析、ベイジアン・ネットワークモデル、ニューラルネットワークを紹介した。今回は共分散構造分析を中心に解析手続きについて述べさせていただく。

 まず、対象となる現象(例えば観光客の嗜好性)に関連する要因を抽出する必要がある。次にその要因間の関係に対して、影響を与える方向を考慮してパス図(図1)を生成する。

 このパス図の妥当性や影響の大きさを解析することが目的なので、各要因を数量的に表現しなければならない。しかし、要因そのものは概念的なものであることが多いため、その要因を反映した(あるいは要因に反映する)、測定可能な項目を選出する必要がある。それらを含めてパス図(図2)を再構成する。

 各観測項目のデータを入手した後、このパス図を確率的な取扱いによって解析し、パスの重みを推定する手法が、共分散構造分析である。潜在変量を組み込んでいるための解の不定性が予想されるが、社会条件などから仮定されたモデルに対しての検証的な立場で解析し、複数の候補モデルから最も適合性の高いものを選出するよう留意することが重要である。

 研究室ではこの手法により、「個人プロフィールと観光地満足度の関係」「宮古島地下水位予測」などで実証研究を行なっている。

■米国のIT企業誘致を見る

 今夏、米国国務省のプログラムにより1ヶ月米国訪問する機会を得た。各地のIT関連状況を調査し、沖縄のIT展開にフィードバックすることが主目的であった。New Yorkなどの大都市から地方都市まで、いずれも将来性の有るIT関連企業の誘致に熱心であり、税制優遇策や社会環境の整備などに力を入れていた。特に印象に残ったのは、ミーティングの際に彼らが使った"steal"という言葉である。誘致対象の企業は既に別の都市で活動している場合が殆どで、その都市にとっては税収源を"奪われる"ことになる。中には引越し費用を出してまで誘致を勧める自治体さえある。

 視点を「観光」に戻すと、同様のことが起きているのではないだろうか? 沖縄入域者数は年々増加しているが、その内訳は新規発生観光客だけとは限らず、従来他地域を訪れていた(予定だった)観光客を"steal"したのではないだろうか。「癒し」をモットーの1つとする沖縄としては、こういったことへの配慮も求められているのかもしれない。(「観光とけいざい」03年11月15日)


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