連載 Tourism Informatics (TI) の試み(12)
おきなわ観光情報研究会


産学官の連携に向けミニシンポ開催

遠藤聡志(琉球大学工学部教授)

 今回は2年目を迎えた「おきなわ観光情報学研究会」の平成16年度活動予定について述べさせていただく。

 おきなわ観研は昨年度実質的な活動をスタートさせた。当初の目的は、観光分野を学問領域としてとらえ、工学的な接近を試みるということであった。活動の指針としては、産官学連携による研究プロジェクトの創出を掲げた。実際に、観光業、行政、大学・教育関係および情報処理関係企業から30名を超える参加者を得ることができ、メーリングリストによる意見交換の場所を設けた。また、年6回の会合を実施することを目標とし、目標を上回る7回の研究会を開催することができた。

 主に議論されたテーマは、

・位置情報を利用したバスナビゲーションに関する研究報告

・GPSによるレンタカー動態調査の方法

・観光サイトを対象としたWebページ評価技術

・地理情報システム(GIS)の観光応用について

・コミュニティの概念を導入した電子商取引システム

・沖縄観光共通プラットフォーム事業

・沖縄フィルムオフィス事業の活動

 などである。

 いずれも情報処理技術を基盤とした問題解決を提案する興味深い内容となっており、ITの観光分野への応用のためのシーズをある程度発掘できたように思う。一方で、沖縄における各種観光業からのニーズ調査については不十分であったように思う。観光の現場で必要とされていることについての議論が必要である。興味深い研究シーズが、産学官連携のプロジェクトにまで結びついていない点も、この辺りに原因があるように思われる。

 個人的には、オニヒトデ駆除、ダイビング客の利便性を高めるためのICカードなど問題提起を頂いていたがテーマとして扱うことができなかった。この点は筆者の力不足である。

 以上、昨年の活動評価を踏まえて本年度は次あの活動方針を設定した。「観光業従事者の視点からのニーズ発掘と観光関連事業に関する産学官連携」である。

 ニーズ発掘に関しては、本研究会に御参加頂いている観光事業者のみなさんの発言の機会を積極的に作ることが必要である。産学官連携に関しては、例えば沖縄県が進めている「沖縄観光共通プラットフォーム事業」の成果物である真南風ネットプラスに対して、本研究会で提案されたWeb評価技術を適用することが可能であろう。その結果、何らかの提言がなされればこれは官学連携の好事例と成りうると期待している。また、GISやプランニングなどの研究シーズを融合することによって 可能となるバーチャルツアーデスクの技術提案やシステム提供の可能性についても検討を行いたい。その他、GPSによるレンタカーの動態調査は産官学連携によって可能となる事業である。

 研究会の具体的実施案は現在メーリングリストで議論中であるが、運営サイドからは次のような提案をしている。昨年はシーズ発掘の観点から多くのミーティングを開催し、おおよそその目的を達したと考えている。

 今年度はミーティングの内容を少し格上げしてミニシンポジウム形式での開催を行う予定である。予稿集などを準備し多くの方へ情報提供ができる形としたい。開催時期については7月および12月の年2回。また、シンポジウムでの討論を活発に行うために、シンポジウム発表予定者には、事前に研究進捗内容をWeb公開していただくことを考えている。研究会参加者はシンポジウム開催前から、研究内容についての討論ができ、研究会の討論も時間を選ばず日々活発に行おうことができる。 研究テーマと合わせて、観光事業者の皆さんのお考えを寄稿いただき、あわせてWeb上で紹介していきたいとも考えている。以上、平成16年度のおきなわ観研活動予定を簡単に述べた。

 新聞報道などでご承知のように、琉球大学に観光科学を専門的に扱うコース開設の動きがある。どのようなカリキュラムを設定し、どんな人材を育成するのか。この点一つをとっても、産官学の密な意見交換が必要である。本研究会をその実践の場と位置づけたい。興味をお持ちの方、特に観光業に従事される方の数多くの参加を期待している。問い合わせはendo@ie.u-ryukyu.ac.jpまで。(「観光とけいざい」04年5月合併号)


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