連載 Tourism Informatics (TI) の試み(13)
おきなわ観光情報研究会


歩行者支援地理情報システム
〜2004年度人工知能学会全国大会から〜

山田孝治(琉球大学工学部助教授)

  6月1日〜4日、石川県金沢市で開催された第18回人工知能学会全国大会へ参加してきたので関連トピックの紹介を行う。

 本大会では、知能アルゴリズムや学習といった純粋人工知能研究104件の発表に対して、情報獲得支援、コンテンツ作成支援、生活支援、コミュニティ支援など、ITを用いたユーザ支援技術の開発などに関する発表は173件と、応用事例発表が中心と考えてよく、観光情報学への応用についても学ぶべきものは多い。

 「近未来チャレンジ:高齢者・障害者の自律的移動を支援するロボティック通信端末」と題する特別セッションでは、矢入(江口)郁子(情報通信研究機構)研究グループが開発を進める「歩行者支援地理情報システム」を中心とした多くの研究成果が公表された。本システムは、歩行空間のバリア・バリアフリー情報の提供に主眼を置くとともに、障害者・高齢者を含む全ての歩行者が利用可能な システムを目指しており、東京都小金井市と京都市の実際のシステム開発を行い、現在初版のインターネット公開を行っている。(歩行者支援GISのページ:http://bfms.nict.go.jp/)

 この「京都東山バリア・バリアフリーマップ」では、例えば京阪電鉄三条駅から知恩院までの最適経路を「電動車いす」「全盲」「ベビーカー」「健常者夜間」など身体状況別の検索条件を用いて検索することが可能となっている。さらに、矢入らは、歩行空間コンテンツ提供のためのデータ構造のユニバーサルデザインとシステム導入および運用手法やツールを商用化する一方で、「高齢者・障害者 へ配慮した歩行空間情報提供の規格」の標準化に対してイニシアチブを取り、規格化を進めているという。

 歩行者支援という立場で進めている研究であるが、観光情報をユーザサイドから構築したシステムとして見ることができ、要注目である。(「観光とけいざい」第658号04年6月15日)


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