連載 Tourism Informatics (TI) の試み(23)
おきなわ観光情報学研究会


(バス+タクシー)÷2=デマンドバス?A

當間愛晃(琉球大学工学部情報工学科・助手)、赤嶺有平(同・特別研究員PD=写真)、遠藤聡志(同・教授)

 前回、デマンドバスにおける配送経路問題が組み合わせ最適化問題の一種であることと、近似解法というアプローチで問題を解決するという話をしました。今回は本研究室で研究開発中の手法について解説するのですが、その前に「デマンドバス」ならではの問題に関する特徴を紹介したいと思います。学術的には組み合わせ最適化問題に対する様々な手法が提案・改善されているのですが、一般 的な最適化問題には無い特徴があるため、従来の手法をそのまま適用しただけでは良質の解を得る事が難しいのです。

【その1:情報制限】

 運行形態により制限される情報が異なりますが、例えばフルデマンドバス型運行で、携帯電話等を利用したリアルタイムな乗降車要求を許可し、可能な限り要求に即時に応答するものとしましょう。最も顧客の立場に立った運行形態ということになりますが、この場合、バス会社は直前まで乗降車要求を知る事が出来ません。

【その2:時間制約】

 先に述べたようなリアルタイムな要求を処理する場合には、遅くとも要求が届いてから数分後には「X分後に迎えのバスが到着します」という結果を返答する必要があるでしょう。

【その3:最短距離が必ずしも最適解とは限らない】

 従来の問題では運行側のコストを最小限に抑えるという方向でのみ解の質を算出していました。運行プランに例えると、バスの走行距離を最小(=最短距離)にすることでロスを少なくするという方針です。しかし、顧客から見た場合にはそのような最小化が必ずしもベストとは限りません。具体例として下図に示す2つのプランを比べてみましょう。プラン1では従来法における最短距離となる解であり、バスにかかるコストは必要最小限に抑えられています。一方顧客1を参照すると、一番始めに乗車したにも関わらず、遠回りさせられた後に目的地に降車しており、乗車してからの待ち時間が必要以上に長くなっています。これをプラン2のように変更すると、顧客1の待ち時間は大幅に省略されるため、満足度の高い解であると評価する事が出来ます。

【その4:追加デマンドへの対応(即時応答性)】

 「時間制約」と類似した話ですが、経路探索システムで運行プランを作成中に新たな要求が発生したとしましょう。この場合、発生した要求をそのまま探索システムに投入しても、運行プランを最初から作成し直すのではなく、そのまま自然に追加デマンドとして処理する事が出来た方が良いでしょう。

 デマンドバス経路探索問題を解決する際には、以上の4項目を解決できるシステムを構築することが求められます。特に、実運用の際にはその2やその4に示した時間に対する要求が強いことから、本研究室では計算時間をなるべく抑えつつ、適度に良質のプランを得るための方法に付いて考えてきました。その一つが、ロボット工学における姿勢制御等に適用されている「ポテンシャル法」を利用したプランニングアルゴリズムです。(「観光とけいざい」第677号05年4月15日号)


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