連載 Tourism Informatics (TI) の試み(24)
おきなわ観光情報学研究会


(バス+タクシー)÷2=デマンドバス?B

當間愛晃(琉球大学工学部情報工学科・助手)、赤嶺有平(同・特別研究員PD)、遠藤聡志(同・教授=写真)

 これまで2回の記事を通して、デマンドバス経路探索問題がどのような問題であるかを述べてきました。最終回となる本記事では、追加デマンドへの対応が容易であり、顧客の満足度を評価軸とした運行プランを短時間で求めるための手法として研究開発中である、ポテンシャル法に基づいたプランニングアルゴリズムを紹介します。

 ポテンシャル法では、ある作業用ロボットが障害物のある空間においてそれらを避けつつ目的地に移動する際、その問題空間を構成する要素に引力(目的地)または斥力(障害物)を設定し、それらのエネルギーが重ね合わさった空間内をロボットが自然移動する事でタスクを達成します。ポテンシャル法を利用するにあたり、配送経路問題空間を構成する要素は顧客とバスの2種類にどのようにエネルギーを設定するかを考える必要があります。現段階では基本性能を検証するため、単純に「顧客にはバスを引きつけるための引力」、「バスには各バス毎に地域全体を効率良く分業するための斥力」を設定した上でシミュレーションを行っています。

 一方、シミュレーションで扱う問題を作成するにあたり、「顧客の乗降者要求」をランダムに作るのではなく、より「尤もらしいリクエスト」を設定(需要予測)することで計算結果に妥当性という付加価値を加えています。需要の予測方法としては、総務省統計局が提供する丁目字毎の人口及び就業者データに基づいた那覇市内における地区単位での居住人口・就業人口を利用して総人口比から算出される割合を利用して予測を行っています。具体的には、それらのデータに基づいた居住人口の多い地区を出発地として選択しやすいように、逆に就業人口の多い地区を目的地として選択しやすいように各々割合に応じて設定する事により、朝の出勤時デマンド(各デマンドは居住地から出発し商業地区へ移動する)を作成しました。

 上記のように「那覇市内における朝の通勤時デマンド」を対象とした問題を作成し、提案手法を適用した結果、既存の路線バスと類似したプランが求められただけではなく、異なる巡回路からなる送迎プランも幾つか出てきました。中でも、就業人口数的には多くの人が働いている那覇市港町付近では、路線バスは近くの大通りまでは配送しているものの、デマンドバスでは現地まで適切に運行している等、既存路線の拡張や整理縮小のための知見になりうるデータが出て来た点が興味深いと思います。上図は本手法により得られた運行プラン、それに基づいた既存路線の拡張案を示した物ですが、皆様どのように思われますでしょうか。ご意見・感想等ございましたらtnal@ie.u-ryukyu.ac.jp(當間)までご一報頂けると幸いです。(「観光とけいざい」第678号05年5月合併号)


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