連載 Tourism Informatics (TI) の試み(27)
おきなわ観光情報学研究会


情報検索技術にみる研究シーズ(1)

當間愛晃(琉球大学工学部情報工学科・助手)

 昨今、ショッピングサイト等の商品を扱うサイトにおいて、商品を PR するために一般ユーザによる感想/レビューの掲示・人気投票・お勧めといった口コミ的な情報を利用するケースが増えています(*1)。

 商品という枠組みで一括りにしてしまうのは大雑把すぎますが、オンラインショッピングの一分野である宿泊予約システムでは、そのような口コミ情報に対する宿泊施設側からの返答を可能にする等、対応やサービスの良さをより全面的に出すような枠組みをシステムとして運用していく事も一般的になりつつあります(*2)。

 口コミ情報を利用したサイトが流行っている要因としては、完全に鵜呑みにすることが出来なくとも、実際に利用した一般ユーザが発信した情報という点で営業マンによるセールストークよりは信頼性が高い情報源であると捉えるユーザが多いからと思われます。長年の情報伝達手段である井戸端会議がネット上で行われていると捉えると、流行っている事自体に不思議はないでしょう。

 さて、本記事の本題である「情報検索技術にみる研究シーズ」という視点からこの状況を見直してみましょう。検索対象である口コミ情報そのものはどのように発信されているのでしょうか。ここ数年コンテンツ量が爆発的に増加しているものにブログがあります。ココログや mixi など(*3)がその一例ですが、一般利用者の視点からは「誰でも簡単に設置できる」「それなりに見栄えの良いサイトである」「無料で利用できるサービスも多い」「アフィリエイト等の副収入減になる可能性がある」など、商用利用する側に取っては「更新情報をいち早くユーザに知らせるプッシュ型情報発信(RSS)」「従来のTV・新聞等のメディアを利用するのと比べて比較的安価にPR可能」のように、これまでに無い多くのプラスな理由があるため、ブログサイトの設置数は今の所天井知らずで増加の一途を辿っています。mixi に至っては僅か1年5ヶ月で登録ユーザ数が100万人を突破したとのニュースが報じられました(*4)。

 このように、ネット上では不特定多数の方がブログを設置し、日々日記的コンテンツを書き続けています。勿論設置した全ユーザが毎日更新している訳ではありませんが、mixi だけでもその1割程度のユーザが熱中してコンテンツを作り上げているのだと仮定すると、毎日新しいコンテンツが10万ページ出来上がることになります。他にもブログサイトは数多くありますので、実際のコンテンツ数がどのぐらいの頻度で更新されているのかは考えたくもありません。

 インターネット上には情報が溢れかえってしまいました。誇張でもなく既に過去形です。そのような情報過多時代の中で本当に欲しい情報を見つけ出すにはどうすれば良いのでしょうか。

 まず、問いに対する一つの解としては「GISと観光(3)GISにおける地理情報シソーラスを用いたキーワード検索(*5)」が挙げられます。シソーラスとは類義語辞典のようなもので、それを利用する事で直接調べたいキーワードが該当ページに載っていなくとも似た名詞や関連性の高い名詞が含まれたページを検索する事が出来ます。しかし、それだけでは膨大に増え続けるコンテンツから「本当に知りたい情報」を適切に抽出する事は出来ないと思われます。その理由を説明するために、口コミ情報が観光とどう結びつくのかという点に関して、次回考えてみましょう。

(*1)口コミ情報を利用したショッピング系サイト:

   Amazon.co.jp, http://www.amazon.co.jp

   価格.com, http://kakaku.com/

   楽天市場, http://www.rakuten.co.jp/

(*2)口コミ情報に対する宿泊施設側からの返答を掲載しているサイト:

   楽天とラベル, http://travel.rakuten.co.jp/

(*3)Blog/RSS を利用するサービス:

   ココログ, http://www.cocolog-nifty.com/index.htm

   はてなダイアリー, http://d.hatena.ne.jp/

   CNET Japan, http://japan.cnet.com/

(*4)「mixi」100万人突破

   参考ニュース, http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0508/03/news046.html

(*5)地理情報シソーラスを用いたキーワード検索

   http://www.sokuhou.co.jp/library/TI/TI09.html

(「観光とけいざい」第682号05年8月15日号)


 |  連載28 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.