連載 Tourism Informatics (TI) の試み(32)
おきなわ観光情報学研究会


@観光ゾーニングの考え方

翁長健治(琉球大学名誉教授)

 沖縄観光が好調で他府県の垂涎の的となっている中、「観光客の消費単価は低落傾向にある。沖縄は量より質を考えるときが来ている」という警告がしばしば識者によりなされてきた。この「沖縄観光の質・量問題」に、市井の一人として、考察を加えてみたい。

 質派識者の意見には「なるほどご尤も」と頷きたくなる:このまま量を追求していては客単価は下落し続け、ホテルや観光施設の顧客満足度が低下し、悪循環に陥る。エコツーリズムも自然環境が悪化しては命取りになる、などに論点が集約されるようだ。

 県や業界からは、観光客の将来的抑制のような施策や意見は見聞したことがない。県の立場は暗黙の成長派・量派ということになる。漠然と7〜800万人、いや1,000万人程度まで持ち堪える、という楽観的見通しに立っているのだろう。

 「質・量問題」を観光ゾーニングという切り口から考えて見たい。つまり、沖縄を幾つかの特徴的地域に区分し、各ゾーンが持つ観光資源の活用に先鋭特化する、というアプローチである。

 例えば、南部ゾーン:平和公園、平和記念資料館を中心とする戦跡資源の活用に特化

 中部ゾーン:首里城、グスク群、コザ音楽市、国立劇場などを中心とする王朝文化資源の活用に特化

 西表島ゾーン:マングローブ、さんご礁、などの亜熱帯自然資源の活用に特化といった具合である。

 ゾーニング化の良い点は、沖縄観光全体の質・量問題を、各ゾーン毎のそれに還元し再結合する、分析的なプラットフォームを築ける所にある。次回でこの考え方を敷衍してみたい。(「観光とけいざい」第693号06年1月15日号)


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