連載 Tourism Informatics (TI) の試み(33)
おきなわ観光情報学研究会


A観光をマクロで見る政策ツール:観光マトリックス(升目表)

翁長健治(琉球大学名誉教授)

 観光を、コンテンツと受容行動の組合せの「メニュー・マトリクス」で表現すと都合が良い。仮に、コンテンツに自然型(=自然景観、農林水体験)、都市型(=文化歴史遺産、伝統工芸、保養娯楽)をあて、受容行動に個人プラン、家族・仲間プラン、パッケージプラン、修学プランをあててみる。コンテンツを縦に、受容行動を横に配置すると5×4=20の升目を持つマトリックス(二次元表)ができる。各々の升目には、観光メニューが書き込まれる。升目メニューにはコンテンツ細目、観光グループ特性、金額などにより多数の類型が用意される事になる(つまり大升目表の中に中升目表が入れ子になる)。

 観光量(=人数×時間)により、自然型コンテンツは品質が磨耗するが、都市型コンテンツに磨耗は見られず、逆に向上傾向が見られる。つまり観光許容量は自然型と都市型では相反することに留意したい。パリ、ロンドン、ニューヨーク、東京、京都が巨大な観光地であるのが証左。ちなみに、沖縄本島中南部の観光は都市型、宮古・石垣の本島のそれは準都市型であろう。離島観光が自然型なのは論を待たない。

 観光での地域振興を考える時、欲張ってあれもこれも押し込むと、パンチの効かないものになりやすい。観光ゾーニングは、観光資源の一体性に基き地域区分けを行い、シャープな観光コンテンツを前面に押し出し且つ育成するための、「政策ツール」に仕上げたいものである。

 最近、2002年策定の「沖縄県観光振興基本計画」を読む機会があった。そこには「観光圏域別の施策展開」の章があり「観光ゾーニング」の考え方に近いものの、政策ツールとしての観点は欠けているとの印象を得た。(「観光とけいざい」第695号06年2月15日号)


 |  連載34 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.