連載 Tourism Informatics (TI) の試み(34)
おきなわ観光情報学研究会


B「観光ゾーニング」は地域特性化を促し、観光許容量を知るツール

翁長健治(琉球大学名誉教授)

 先回、縦に地域、横に観光客属性を配置したマトリックスの各升目に観光メニューを入れ込んで、沖縄観光の全体像を表現することを提案した。各升目の観光メニューは、現在提供されている主要なものを調査して書き込まれるが、地域の要望が強い将来メニュウも考慮する。さらに国や県が観光振興策として整備するものもある。

 観光政策としては、地域の要望を鵜呑みにすることは出来ない。なぜなら「どの地域にも何でも在り」の総花的なものになっては政策が破綻する、即ち投資散漫・人材不足などにより、観光メニューの品質が低下する事態が生まれる。重要なのは「全体のバランス、地域特性にあったメニューの厳選、投資・人材の集中投下」であろう。ここに観光ゾーニング導入の必要性が生まれる。

 2002年、沖縄県は6つの大ゾーンとその振興テーマを設定している:那覇都市圏、南部圏、中部圏、北部圏、宮古圏そして八重山圏に地域分けし、那覇都市圏を「ゲートウェイ・観光都市としてのビジネス・コンベンション・観光リゾートの中心地」と位置づけている。沖縄本島中南部は70数万の人口を擁し、奈良・京都に学べば歴史文化型観光メニュウにより1,000万人程度の観光許容量を持ちうるのではないだろうか。この点は次回で議論したい。

 ひところ行政のワンストップサービスがもてはやされたが、生活や観光でも、居酒屋街、映画館街、理髪店街、マリーンスポーツ街、朝市、フリーマッケット街など、地域的な集中立地はとても便利なものである。これらも観光ゾーニングの具体例であろう。

 メニューを厳選したとしても観光マトリックスには類似メニューがココカシコに現れる。これらを繋いで「物語のある観光移動経路」を示すのが「観光ルーテイング」の概念である。世界歴史遺産「グシク群」をつなぐ「グシクロード」が良い例である。(「観光とけいざい」第697号06年3月15日号)


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