連載 Tourism Informatics (TI) の試み(35)
おきなわ観光情報学研究会


C「観光ゾーニング」は地域特性化を促し、観光許容量を知るツール

翁長健治(琉球大学名誉教授)

 私は観光の実務や政策には全くの素人である。にも拘らず、観光に関するコラムを書いているのは、私なりの知的好奇心の故である。観光のミクロ議論を展開する資質も資料も、私自身は持ち合わせていないので、全く別のアプローチを展開して見たい。

 前回の本コラムで、「沖縄本島中南部は70数万の人口を擁し、奈良・京都に学べば歴史文化型観光メニューにより1,000万人程度の観光許容量を持ちうるのでは」? と書いた。観光許容量というのは、受け入れ可能数の上限、という意味合いである。

 京都市、奈良市、神戸市、長崎市、別府市、熱海市など日本有数の観光都市の生産人口に対する観光入り込み数の比率を調べて見ると、421から15と多様な数値が出た。詳細な検討は別にして、結論を急ぐことにする。


熱海市
別府市
奈良市
京都市
神戸市
長崎市
札幌市
生産人口 2.6万 8.1万 25.5万 101.5万 103.3万 28.0万 128.6万
補正入込み数 1,095万 1,557万 1,500万 5,796万 3,242万 745万 1,950万
比率 421 192 59 57 32 27 15

*宿泊数を平均2日とし、補正観光入込数を、日帰り数に宿泊数の2倍を加えたものとした。

 沖縄中南部の生産人口を70万、平均宿泊数を3.7日とし、比率を仮に50、60、70として逆算すると観光入込み数はそれぞれ 9,46万人、1,135万人、1,324万人 という数字がはじきだされる。

 この数字は、中南部の観光許容量として約1,100万人程度となる事を示唆している。

 何とも乱暴な議論のように見えるが、多少の理屈を付け加えて見る:

 1)沖縄中南部は人口100万人余を有し、南部地域の交通事情の改善により、政令都市並みの都市機能を発揮する潜在力を秘めている。上記の都市とは文化財、歴史的背景を観光資源とすることが出来る共通点を持つ。

 2)戦火で一度は文化財、地形、自然をことごとく破壊された地域であるが、本島海岸のさんご礁リーフを活用したリゾートは、人工的施設を活用するため観光磨耗をコントロールできる利点があり、観光投資が入込み数と正の相関を持ちうる点で、上記観光都市と共通項を持つ。

 3)上記都市は、観光資源開発に長年の経験と蓄積を経ており、マクロ像として沖縄将来像の参考になる。

 4)沖縄北部、本島離島、宮古諸島、八重山諸島、奄美大島諸島との関係は別途考察すべきである。(この項、終わり) (「観光とけいざい」第699号06年4月15日号)


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