連載 Tourism Informatics (TI) の試み(35)
おきなわ観光情報学研究会


観光情報学会 函館で全国大会

岡崎威生(琉球大学工学部情報工学科講師)

■観光の国際化などをテーマに各地から170人

 観光情報学会第3回全国大会(http://www.sti-hakodate.org/zenkoku/)が、北海道函館湯の川温泉花びしホテルにて6月13日〜14日に開催されました。

 観光情報学会(http://www.sti-jpn.org)は、観光を情報学という切り口で研究対象とする組織ですが、その構成会員は大学関係者だけでなく、各地域の観光産業人も活動している特徴があります。本大会では、特別講演2件、パネルセッション2テーマ、口頭発表9件、ポスター発表19件が行われました。

 特別講演1件目は、「地域は観光で自立出来るか−地域自立産業としての観光産業の可能性−」という演題で釧路公立大学の小磯修二先生が講演されました。観光に関連する産業は多岐にわたっていること、必要なリソース(物資、人材等)を地域内で産出、消費することが、観光産業を地域のリーディング産業とする上で重要だという内容でした。

 2件目は、函館西部地区バル街実行委員会の深谷宏治氏と星野裕氏により、「バル街−旧市街の資源活用のユニークな事例」が紹介されました。函館旧市街にスペインの“バル街”を実現するプロジェクトの報告でした。町おこしではなく、市民の交流の場を創設することが第一目的だというユニークな発想で、年々活況をおびてきているということでした。

 パネルセッション1は「コンベンション観光」がテーマで、札幌市観光文化局の荒井功氏、沖縄県東京事務所の下地芳郎氏、広報コンサルタントの萩原誠氏が登壇されました。地方での大きなコンベンション誘致は困難になってきており、大学と連携した学会・研究会の開催を積極的にすることが実効的だという提案でした。

 パネルセッション2は「観光の国際化」がテーマで、ニセコ観光情報学研究会の脇山潤氏、大韓航空札幌支店長の金岡哲也氏、どうなん学びサポートセンターの奥平忠志氏が登壇されました。Visit-JAPANに見られるように外国人観光客誘致が進められている中、受け入れ側の整備すべき課題について議論されました。

 口頭発表では、観光情報の発信技術に関する研究やシステム開発、観光業務支援システムの開発等の成果が報告されました。道路標識の表記が不統一である問題提起は、函館の観光経路の実写で説明され、強い共感を与えるものでした。

 ポスター発表では、旅行者動態の解析、観光Webサイト解析、各地の観光コンテンツ発信、産学連携事業紹介、ホテル評価基準等について、ポスター前で議論が交わされました。沖縄からも3件出展していました。

 大会にあわせて観光情報学会誌「観光と情報」第2号が発刊されました。人間行動モデリングや、風評被害調査報告、Webサイト分類などが採録されており、渡久地明氏による「沖縄観光成長の法則」も寄稿されています。

 函館は最高気温が十数度と例年にない寒さにもかかわらず、参加者約170名と盛況でした。次回全国大会は、越後湯沢にて開催が決定しています。 (「観光とけいざい」第703号06年7月1日号)


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