連載 Tourism Informatics (TI) の試み(42)
おきなわ観光情報学研究会


県外で観光産業を体験‐琉球大で人材育成を考えるシンポ開催

おきなわ観光情報学研究会・遠藤聡志(琉球大学工学部情報工学科・教授)

 観光と情報の人材育成について考えるシンポジウムシンポジウムを昨年12月16日に琉球大学法文学部で開催した。インターナショナルリゾートカレッジ(IRC)の学生さんを中心に160名を超える参加を得て盛況であった。このシンポジウムは昨年9月に琉球大学生とIRC学生の総勢9名を修学チームとして県外(一部県内を含む)の観光産業および観光産業向けのソリューションを提供するIT企業へ派遣するインターンシップ事業の報告会として実施した。インターンシップ生の意見を聞きながら、県外受け入れ先からは、パンパシフィックホテル横浜、チーフバトラーの阿部泰年さん、クラブツーリズム(株)人事部業務課長の福田日出男さんをお招きしてご講演を頂いた。

 阿部さんには、バトラー(執事)という職種と、その職に取り組むご自身の姿勢についてのお話を頂いた。チェックイン時から、客室滞在中のあらゆるサービス、レストランでの食事、チェックアウトまでを一人のバトラーが対応し、時にはバーでシェイカーまで振るのだそうである。「他人の喜ぶことがうれしいと思える、仕事を楽しむ力、思いやりを持って、自身がかっこよく振る舞える」といった資質が大切で、「時にはマニュアルを破って行動してしまうこともある」というメッセージを頂いた。ホテル業、観光業にとどまらずサービスを提供する全ての業種に共通に大切な気持ちであり、阿部さんご自身が大変お若いので、参加者にストレートに伝わったようである。

 福田さんには、クラブツーリズム(株)という新しい旅行業の形、特に、昨今話題の団塊の世代へのアプローチとしての「club」という方法を紹介頂いた。福田さんには、「インターンシップで学生がどのようなテーマを如何に学んだのか、そのレクチャーと学生とのディスカッションを短い時間で再現してください」とやや無理なお願いをしたところ、シンポジウム会場全体を巻き込んで、見事に前出のテーマを学ぶ様子を再現していただいた。クラブツーリズムが、メディア販売という方法から既存の旅行代理店との差別化を図り、定期情報冊子の配布、コールセンターの利用、冊子を郵便ではなくクラブ会員自身が運ぶエコスタッフ制度の実施など、先進的な顧客管理の取り組みを知る事が出来た。また、団塊世代の特有の旅行ニーズに対しては、clubという形態を活用する事で、その世代の方々自身にニーズ発掘させ、それに対応した適切な旅行商品を提供するなどクラブツーリズムの成功の秘訣についてもご紹介頂いた。

 

 パネルディスカッションでは、ホテルマハイナウェルネスリゾートオキナワの前田貴子さん、インターンシップの学生にも加わってもらい、NTT西日本沖縄の島田勝也さんの軽妙なコーディネートで、観光業界の将来、沖縄における観光産業の重要性が議論された。特に、前田さんからは、入域者数の増加に見合ったサービスの質を提供していくという視点で、マハイナグループにおける人材育成と若手の登用についてご紹介頂き、「優秀な観光人材を受け入れる受け皿は提供されている、ジンブンを身につけて社会へ」と学生への激励を頂いた。  

 参加頂いた学生の皆さんには、観光産業に目標や将来を見いだす機会となり、良い新年を迎えられたものと思っている。(「観光とけいざい」第714号07年1月1日号)


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