連載 Tourism Informatics (TI) の試み(44)
おきなわ観光情報学研究会


キレイ・簡単なHPの作成と管理

おきなわ観光情報学研究会・當間愛晃(琉球大学工学部情報工学科・助手)

ハウツーCMS(下)

 前回(*1)に引き続き、CMSに関する話題です。前回はCMSを使うことにより管理コストを大幅に削減することが出来るという話でした。この点こそがCMS導入による最大のメリットであり、そのために多種多様なCMSツールが開発・公開され、観光情報学会やおきなわ観光情報学研究会(*2)のサイトでも使われるなど、サイト構築のためのツールとして一般的になりつつあります。今回は、 CMSを導入する際に気をつける点について紹介したいと思います。

 まず、CMSを導入する際の検討事項として、(1)現Webサイトの運営における解消したい問題点の検討と、(2)システム面での検討事項、(3)CMSの導入によるデメリットの検討事項、が挙げられます。

 (1)の解消したい問題点の検討に関してですが、そもそも問題点が無ければ導入する必要もないはずで、不必要に導入してしまっては導入するだけの余分なコストがかかってしまうだけになってしまいます。また、この時全ての問題点を綺麗に解消しきれるとも限りませんので、優先順位を付けておいた方が最終的に導入すべきCMSの決定に役立つでしょう。CMSの導入により解決される可能性 のある項目としては以下の機能が挙げられます。

 ユーザ認証機能▽ブログ機能▽カレンダー機能▽SNS機能▽コンテンツ更新(修正・削除)にかかるコストの削減▽テンプレート(ひな形)利用による新規作成時のコスト削減▽コンテンツへのアクセス制限▽更新時トラブル(ミスなど)の低減▽統一されたデザインの確保や変更▽携帯電話向け配信コンテンツの自動生成▽動的生成コンテンツの導入(RSS配信など)▽バイリンガル対応▽バー ジョン管理(更新記録の保存など)

 (2)のシステム面での検討事項としては、現在利用しているWebサーバにおける自由度を考慮する必要があります。

 具体的には、一般的なCMSでは「Web(Apache)サーバ」が動いているだけではなく、コンテンツを保管するための「データベース(PostgresやMySQL)サーバ」と、CMSツールを動かすためのプログラミング言語(Perl/PHP/Rubyなど)を動作させることが可能かを確認する必要があります。

 社内にWebサーバ本体がある場合には大抵の事ができる最も自由度が高いケースですが、外部サーバをレンタルしている場合にはそこで利用できる範疇のツールを選択する必要があります。後者の場合にはそのレンタル側で別途CMSツールを提供していることもあるかと思いますので、相談してみると良いでしょう。

 (1)と(2)を検討した上で適切なCMSツールを設置、または独自CMSを開発利用することになりますが、比較的良く使われている(Web上にも情報源が数多くある)CMS(*3)をいくつか紹介したい。

 ・XOOPS, OpenPNE

 XOOPSは癖が強いですが、拡張性の高さ・プラグインの多さでは他を寄せ付けないほどの強みがあります。OpenPNEはSNSに特化したツールですが、mixi のようなSNSを構築したい場合にはうってつけです。

 ・Moodle

 XOOPSと同じく拡張性の高いCMSですが、特にWeb上での教材作成機能(小テストの実施、自動集計など)が求められる e-Learning の分野では良く使われているシステムです。

 ・Movable Type

 古くから利用されており、こちらもXOOPSに劣らず豊富なプラグインが充実しています。(未確認ですが)追加テンプレートを利用することで各種携帯電話にて対応したページを作成することが出来るようです。

 ・Wiki

 通常のサイトはHTMLと呼ばれる言語を使って「個条書き」等を記述しますが、これをより簡易な記述で書けるようにしたツールという点もユニークですが、最大の特徴は「共同でコンテンツを更新(追加・修正・削除)しやすくする事を目的としたツール」であることでしょう。有名処では wikipedia と呼ばれるフリー百科事典が、Wikiにより実現されています。

 ここで紹介したCMSツールは全てオープンソースとして公開されているものです。CMSツールを選択する際にはオープンソースか否か、という点も大きな選択肢になるでしょう。オープンソースであれば、初期導入費用を抑えられるのに加え、(活発なプロジェクトであれば)セキュリティ対応等が比較的早い等、いくつかのメリットがあります。ただし、その反対にインストールから初期構築、 メンテナンス等全てを自己責任でやる必要があることが殆どでしょう(前述(3)のデメリット)。

 特に、CMSの場合はWebサーバ・DBサーバ・プログラミング言語など複数の構成要素が絡み合って動いているため、他の要素から見たときに想定外の更新があったときにはCMSが正常稼働しなくなってしまうこともあるため、システムそのもののメンテナンスや維持費にかかるコストは決して低くはないです。

 既にオープンソースの知識やブログを自前で立ち上げたことのある技術者が身近にいる場合にはこのコストが格段に減ることと思いますが、逆に身近に相談相手もいない状態では「無茶な相談」と言えるかもしれません。その場合には、オープンソースのCMSを利用したWebサイトの構築・運営・保守を行っている会社や私たち情報工学科の技術者と相談の上、ベターな方法を模索するところか ら始める事をお勧めします。

(*1)前回 「観光とけいざい」07年2月1日号に掲載

(*2)観光情報学会やおきなわ観光情報学研究会
 観光情報学会(http://www.sti-jpn.org/)では XOOPS、おきなわ観光情報学研究会(http://www.eva.ie.u-ryukyu.ac.jp/~tnal/kanko/)では PukiWiki が利用されています。

(*3)良く使われている(Web上にも情報源が数多くある)CMS
 http://ja.wikipedia.org/wiki/コンテンツマネージメントシステム

(「観光とけいざい」第718号07年3月1日号)


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