連載 Tourism Informatics (TI) の試み(52)
おきなわ観光情報学研究会


話題の沖縄トラベルナビ

おきなわ観光情報学研究会・遠藤聡志(琉球大学工学部情報工学科・教授)

■ロングテール論の活用例として注目

 本誌前号で、(株)JTBによる沖縄トラベルナビ*(1の運用開始が紹介されていました。全国的にも『全国初のweb2.0を活用した参加型の観光情報サイト』として注目を集めているようです。着地型商品の情報提供、沖縄達人ブログによる旬の情報提供、『はてなアンテナ』のような旅行先に関するリアルタイムQ&Aなど、このコラムでも紹介した「参加のアーキテクチャ」が盛り込まれたサービスを提供しています。

 しかし筆者は、このサイトをweb2.0的というよりもむしろロングテール論の活用例として注目しています。

 ロングテール論*(3を極めて簡単に紹介しますと、図に示すように、売り上げ個数上位20%の商品群(head部)で、総売り上げの80%を占めるといったもので、例えばコンビニでは、tail部と判断された商品は数週間でアイテムから外すといった使われ方がなされています。

 ロングテールのwebビジネスモデルとしては、AmazonやGoogleが知られています。Amazonは、オンライン書店のメリットを最大限に活用し、従来ほとんど売れなかったマイナーな書籍を顧客に提供することで、tail部の販売をビジネスとして成立させています(アグリゲータ)。Googleはユーザの検索行動に連動した広告表示を行うことで、高い広告効果をあげています。

 重要なのは、市場にheadの商品群を提供している大企業だけでなく、tail(ニッチな)の商品群を提供している中小の商品サプライヤーを低コストで広告主として取り入れ、市場と彼らが提供する製品/サービスのマッチングを成立させていることです(フィルタ)。

 観光ビジネスにおいて、エアー+ホテルの商品がhead部商品であるとするならば、冒頭の沖縄トラベルナビでは、様々な種類の着地型商品(tail部商品)の観光客とのマッチングを行う役割を担っているという見方が出来ます。その意味で、筆者はこのサイトを、観光のロングテールビジネスサイトとみています。

 JTBはサイトの目的に(1)ニーズの補足と現地消費、(2)目的地未定者の沖縄への誘導、をあげています。実現のためには、ユーザのサイトへの引き込みを促進するhead部分商品の販売(エアとホテル)、サイト内でのツアー商品決済などのさらなる機能強化が必要ではないかと思われますが、今後の動向に注目したいサイトです。

*(1 http://okinawa.travel/

*(2 http://a.hatena.ne.jp/

*(3 Anderson, C. The long tail: Why the future of business is selling less or more, Hyperion, New York. (早川書房より訳本有り)

(「観光とけいざい」第734号07年11月15日号)


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