連載 Tourism Informatics (TI) の試み(53)
おきなわ観光情報学研究会


webアンケート調査事情

おきなわ観光情報学研究会・遠藤聡志(琉球大学工学部情報工学科・教授)

■短時間で充分なボリューム

 年末、年度末になるとアンケート調査に関わる機会が増えるようにおもわれます。次年度にむけての施策立案、行動計画のための調査ということでしょうか。観光振興という視点でも市場調査を行うための最も有力な手段はアンケート調査であると思われます。筆者も、パーソントリップ調査や沖縄県の実施したレンタカー観光調査報告書などアンケートベースの資料を研究に用いることが多々あります。

 アンケート調査の手段としては、回答者および回答の信頼性確保の観点から対面式、郵送返信式、電話調査などが用いられています.一方、webを活用したアンケートでは、サンプリング(母集団の性質を知るためにその一部を抽出する)難しさや、高い匿名性に起因する回答信頼度の低さが問題視されてきました。しかしながら最近はwebベースのアンケート調査環境が整ってきたように感じます。とくに、国内の代表的なポータルサイトがwebアンケート調査サービスのビジネスをスタートさせています。

 例えば、Yahoo!Japanが行っているリサーチ*1というサービスでは、アンケート用webページの作成、アンケートの実施と簡単な集計/分析レポートの作成を行っています。インターネットによるアンケート調査ですので、比較的短時間で十分なボリュームの回答を得ることが期待できます。また、動画等のマルチメディアを活用することも可能です。

 従来の問題点であった、調査対象の数と質の確保については、アンケートモニターを登録制にして賞金、賞品を提供するというインセンティブを与えることで問題解決しています。アンケートモニターの登録には賞金等を受け取るための銀行口座を登録することが義務付けられていますし、2007年9月現在のモニター登録者は、157万人を超えています。また、男女比は49:51、年齢構成は、20代、30代、40代、50代でそれぞれ、24.3%、42.5%、21.8%、7.5%と様々な調査に対応可能なサンプル数を確保できる状況になってきていると言えます。

 問題の調査費用については、アンケートの設問数と回答数で段階的に設定されており、10万円強〜90万円程度となっています。低コストがwebアンケートの特長というほどでは無いかもしれませんが、比較的低く押さえられていると思われます。

 観光関連の市場調査等でアンケートを実施する際には一考の価値があると思われます。

 *1 http://research.yahoo.co.jp/

(「観光とけいざい」第735号07年12月合併号)


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