燃油価格4倍、乗客は微増 進む縮小均衡 JAL・ANAの決算から

(「観光とけいざい」第722号。WEB公開07年05月19日)

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国内の16%が沖縄関連旅客

■伸び率、昨年度の沖縄線は全国の6倍

 〇六年度の航空各社の沖縄線旅客数はおよそ千五百万人となった模様だ。各社の年間のデータが出そろい、それを集計すると国内線だけで千四百九十八万人となり、前年度比四・一%増である。国内全線の伸びが〇・七%程度であることを考えると、沖縄線の伸びはその六倍弱に達する。また、沖縄線の規模は国内航空搭乗客のおよそ一六・二%のシェアを占める。国際線の実績も加えると県内空港の利用者数は確実に千五百万人を超えたと見られる。数値に表れた沖縄線の実態について、概観する。(本紙・渡久地明)

 図表1は航空各社が毎月発表する搭乗実績をもとに本紙が集計したものだ。全国の値はJAL、ANA両グループの月報とSKYの実績を加えた。他の航空会社は無視した。また、沖縄線の数値は航空各社の県外=沖縄線の発表数値を集計し、県内線を除いた。ただし、利用率のみ沖縄県集計の下り便利用率を掲載した。図表の最下段には県内線も含む沖縄線の実績を示した。その際の利用率は上下便合計の数値である。

 旅客数を見ると、沖縄は月間の搭乗客数は六月が八五・四万人と最も少なくなった。全国は一月の旅客数が六七八・八万人と最も少なくなっている。六月に沖縄線が弱いのは梅雨など特別な要因があると予想される。逆に、全国で利用者が少ない一月の沖縄は健闘している。桜まつり、花まつりなどがあり、避寒旅行が大きくなるものと予想される。

 逆に、沖縄線で最も利用者が多くなるのは八月の一二三・八万人である。全国も八月に八八六・七万人と最大となっており、夏休みの旅行シーズンと重なっている。全国の多客期はこの他、十月の八七六・七万人、三月の八三二・〇万人、九月の八〇九・五万人と続き、沖縄は三月の一二〇・九万人、十月の一一二・二万人、九月の一〇七・五万人の順である。全国の多客期と沖縄の多客期はほぼ重なっている。旅客数が少なくなる六、五、十二、一月の順に沖縄線は伸びる余地がある。

 利用率を見ると、〇六年度の沖縄線の利用率は五月を除いて毎月全国平均を上回っており、年間では全国平均を四・一ポイント程度上回っている。沖縄線の利用率は五、六月などを除いて常に全国より数%以上高い数値となっている。〇六年度は十、十一月に比較的利用率が低いが、全国の利用率が相対的に高まったためで、沖縄線の旅客数そのものは全国比でもよく伸びている。利用率から見ると、沖縄は五、一、六、十二月の順に伸びる余地がある。

 利用率の全国差で見ると、沖縄が弱いのは五、十一、六、十月である。この順に伸びる余地が大きい。特に五、六月の底上げが課題だ。

運賃上げ、乗客増えず

■燃油4倍、国内旅客はたったの1.5%増

 一方、航空各社の決算がまとまったので、JAL・ANA両グループの国内・国際線の旅客数と旅客収入から旅客単価を算出した(図表2)。〇六年度の搭乗客一人当たりの売上高は国内線で一万五千四百九十六円(前年比二・九%増)、国際線は五万五千六百八十二円(同一一・〇%増)となった(ちなみにJALの国内線運賃は少なくとも二十年前から一万五千円程度で変化は少ない。それに対して国際線は七万円前後から五万円台に下がっている)。同じ表を九九年までさかのぼって作成し、九九年度以降の旅客数と旅客単価(決算報告の旅客収益/旅客数)と燃油価格を折れ線に描いたのが図表3である。九九年度の旅客数、旅客単価、燃油価格を一〇〇として〇六年度までの変化を見た。

 これを見ると、国内線の旅客運賃は〇一年、〇二年を除いて年々わずかに上昇し、過去七年間で九・八%上昇した。この間、国内線旅客数は一・五%しか増えなかった。同じ時期に国際線運賃は二六・九%上昇し、SARSで大きく落ち込んだ〇三年の損失を取り戻す間もなく、旅客数は逆に二・四%縮小した。

 運賃上昇は燃油価格の高騰が主因だ。航空会社が基準にするシンガポール・ケロシンの価格は九九年(暦年)のバーレル当たり二一・五ドルから〇六年は八〇・五ドルと三・七五倍になった(米エネルギー情報局)。実際には先物の予約やヘッジ、燃費の良い機材の比率を高めることなどによって、営業費用に占める燃油価格の割合は〇六年度決算でJALが一八%前後、ANAが一六・九%だった。

 この費用を捻出するために、航空各社は費用削減策を展開したわけだが、運賃が上がり、旅客数は横這いとなった。機材をダウンサイジングして、利用率を上げるなど縮小均衡が進んだ。

 また、旅客数が順調に増えれば利益を生むはずだったホテルなどの関連企業を売却した。

 オイル高がなければ、今ごろの沖縄観光は六百万人台に到達していただろう。この間の犠牲は非常に大きい。デフレで国民の大多数が勤める中小企業の賃金が下がる中、航空利用者はわずかな運賃の上昇で旅行を手控え、航空産業全体が縮小均衡に陥った。JALの大幅赤字の主要な原因はこれであって、いわゆる経営上の問題は枝葉に過ぎないと分かる。

 運賃の上昇は沖縄線旅客数にも影響している。五%程度伸びるはずの観光客数は三%程度の伸びに止まった可能性がある。沖縄線が五%伸びたときには、もし運賃が上がらなければ七%は伸びただろう。そして、ここ数年のオイル高のキッカケはイラク戦争であったということだ。


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