連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(1)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


幹部社員育成が勝ち組への早道

 タナベ経営は、北は北海道から南は沖縄県まで全国に十拠点を配するコンサルタント会社であり、おのずと県内、県外の経営者とお会いする機会も多い(写真=大嶺正行)。

 通説のように「本土企業の経営者と県内企業の経営者は質が違う」と言われるが、そんなことは全くないのが現実である。もしかすると沖縄県人の潜在コンプレックスからくるものではないだろうか。

 本土であれ沖縄県であれ経営者である以上は、厳しい経済環境下に置かれていることには違いはないのである。どちらも単に、業績を上げている経営者とそうでない経営者が存在するだけなのである。

 ここで重要になってくることは、沖縄のヨコ型社会が企業経営に及ぼす影響である。県内企業の場合、社内にナァーナァー主義がはびこりやすい条件が揃っているのは事実であろう。ゆいまーる、模合の大衆化、親類縁者の密接な関係……。

 あえて本土企業と県内企業の違いを浮き彫りにするのならば、幹部社員の自覚の差である。どうしてもヨコ型社会=ヨコ型会社では、人が集うコミュニティーにおいて厳しさあるいはケジメを求めることはなかなか難しいのであろう。

 一、厳しい時代に対応できる幹部社員像とは

 そこで、経営者が育てるべき幹部社員像について言及して明確にしてみたい。

 自社を取り巻く経済環境が悪いことを理由に、業績悪化状況にあっても、「環境が悪いのだから」と平然と言ってのける幹部社員が往々にしている。

 その反面、同じ経済環境下でもしっかりと業績を上げ、トップからも部下からも極めて信頼の高い幹部社員が育っている企業も少なからずある。

 このような極端な違いがなぜ起きるか。厳しい経済環境下を生き抜くためには、しっかりと検証し、その特性を整理する必要がある。

 能力の高い幹部社員とはなにか、一般的にはテクニカルスキル(基礎的実務能力)、ヒューマンスキル(達意力、共感性)、コンセプチュアルスキル(物事の本質を見極める力)の三スキルが備わっている幹部社員のことであるとよく言われるが、本当にそれだけで十分であろうか。

 つい最近も、ある県内卸売業のトップが関係先の社員の仕事ぶりに惚れ込んで幹部社員としてリクルートしたのであるが、結果として成果を出せずに退社することになった。

 このようなケースのように、入社時におけるトップの期待とは裏腹に、本来持ち得ている能力を発揮できずにドロップアウトしてしまうことも少なくない。

 もちろん、受入企業側にも問題がないとはいわないが、往々にして本人の自覚不足によるところが大きい。

 能力ある幹部社員の特性をまとめると以下の五点にまとめられる

(1) トップ方針に対して素直である

(2) 覚悟を持って仕事に取組み、保身的な発想をしない

(3) 結果で評価されることを常に意識している

(4) 生産性ナンバーワンになることに徹底してこだわる

(5) 加えて、部下社員の生産性にもこだわり、常に業務改善に意欲的である

 以上の内容から各企業にとって能力のある幹部社員を結論づけるならば、トップ方針に徹底してこだわり素直かつ確実に達成できる人のことである。

 二、生産性の高い幹部社員像とは

 そこで重要になってくるのが、生産性の高い幹部社員像とはどのようなものか明確にしておく必要がある。

 生産性の高い幹部社員の共通点は以下の五点にまとめられる

(1)自分自身の生産性を明確に数字で説明できること(例=一人当たり粗利益)

(2) 自分がもらっている給料の五倍以上の利益貢献をしているか常に意識していること

(3)社長方針が具体的なポイントまで整理され、常に実行体制が整っている。

 業績を上げている幹部社員は、トップ方針に極めて素直であり、加えて大局的視野の持ち主であることが多い。

(4)向上心が高く、勉強熱心である。

(5) 自分の仕事に自信とプライドを持っているが、表面的には謙虚である。

  幹部社員が自分自身の生産性にこだわらずして、生産性の高い部下社員は決して育成できない。言い換えれば、生産性の低い幹部社員が部下社員に対して生産性について強要するのは全く意味がないことなのである。

 厳しい時代に求められる有能な幹部社員を育成できる社風を築くことが、結果として勝ち組み企業になるための一番の近道であると言える。

 その答えは、トップ自身が単なる不安感ではなく正しい危機感をもち、常に具体的な危機対応策を整理して、幹部社員が本当に理解するまで根気強く説得することである。ガンバレ経営者、今後とも積極的にエールを送ってみたい。(「観光とけいざい」99年4月1日)


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