連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(2)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


キャッシュフロー重視が条件

(1)古くて新しいテーマがキャッシュフロー経営である

「近ごろ、本屋に行くと「キャッシュフロー経営」に関する書箱が目につきますが、どうも取っ付きにくくて苦手ですよ」という台詞を経営者の方々から聞くことが多くなった。

 世紀末を迎えようとした今、まるでブームのように「キャッシュフロー重視経営」ということばをよく耳にするが、そんなに目新しい経営テーマなのであろうか。

 その答えは「ノー」である。タナベ経営では常々、事業経営の要諦を1T(テクノロジー=固有技術)3M(マネー=資金、マーケット=市場、マネジメント=管理)の4要素にまとめ説明している。

 「キャッシュフロー経営」を結論づけるならば「3Mの中の資金を管理し、自己金融能力を強化すること」ということになろう。つまり、企業の自由になる余剰資金をいかにして捻出するかが「キャッシュフロー経営」の最大のポイントとなる。

 なかなか先の見えない経済環境下において、「キャッシュフロー経営」の本質を「自己金融するための経営管理システム」であると捉え、自社にあった手法を積極的に導入することは二十一世紀に向けた経営の必須テーマであろう。

 ますます金融機関があてにならない時代、資金基盤の弱い県内企業こそ真剣に取組むべき古くて新しい経営テーマが「キャッシュフロー経営」なのである。

(2)キャッシュフローとはなにか

 キャッシュフローとはそもそも一体なんであろうか。その答えを簡潔にまとめるならば「現金の出入り」となる。つまり、収入(金の入り)から支出(金の出)を差し引いた資金収支のことである。

 身近なもので喩えるならば「家計簿」がそのたぐいに当る。但し、家庭であれば収支に関わる人も内容もごく限られた範囲であり、なにも特別な勉強をしなくても理解は容易であろう。

 それが企業ともなれば、そこそこ複雑な取引きが絡み合い経営が成り立っている。一通りのカン・コツ・ツボを学んでもらう必要はあろう。いづれにしても、一般的に行われてきた「資金繰り」がキャッシュフローの代表格であると理解してもらえれば、差し当って十分なのである。そこで重要になってくるのが、損益計算とキャッシュフロー計算の違いを認識することだ。

(3)損益計算とキャッシュフロー計算との違いは

 損益計算における「利益」とは、収益(掛け売上も含む)から費用(未払分も含む)差し引いたものである。

 それに対し、キャッシュフロー計算における「資金収支」とは、収入(実際に現金が入金された分のみ)から支出(実際に現金が払われた分のみ)を差し引いたものである。そこで押さえておくべきポイントは、損益計算の「収益及び費用」とキャッシュフロー計算の「収入及び支出」の発生タイミングが違うということを理解することである。

 取引すべてが現金で決済されていれば、タイミングの違いは発生しないのだが、現実的には特異なタイプである。

 俗に「勘定あって銭足らず」というが、「勘定」とは損益で儲けたか損をしたか、黒字か赤字かの問題であり、「銭たらず」とはキャッシュフローにおける「収支不足(現金不足)」のことである。明日一億円の金が入るとわかっていても、今日不渡りを出せば、一巻の終わりになる。「勘定」は九回の攻防終了後の得失点で勝負が決まる野球のようなものだが、「資金繰り」は一回のダウンで終わりとなるボクシングのようなものだ。どんなに「利益」を上げても、不渡りを掴めば企業存続を脅か されることは現実にある。

 いづれにしても、「キャッシュフロー経営」とは企業経営における「転ばぬ先の杖」なのである。「杖」を持つのも、持たないのも経営者の皆さんの心がけしだいである。

 まずは毛嫌いせずに、簡単な「キャッシュフロー」の入門書を購入し、再度勉強することをお勧めする。

 ガンバレ県内経営者、今こそ企業改善する絶好のチャンスなのである!(「観光とけいざい」99年4月15日)


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