連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(3)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


パソコン減税を活用しよう

(1)一年限りの「パソコン減税」を発表

 二〇〇〇年の一月一月零時に世界中のコンピュータが誤作動をしてしまい「飛行機の計器がおかしくなり墜落するのでは」「金融機関のコンピュータシステムが機能しなくなり世界の経済活動が完全にストップするのでは」など社会機能が麻痺してしまう可能性があると言われているのが、俗にいう「二〇〇〇年問題」である。

 そうは言っても企業にとって新たなるコンピュータ投資は大変な負担となる。「わかっちゃいるけど変えられない」が本音であろう。そこで、郵政省が「二〇〇〇年問題」の対応策の一つとして打ち出したのが「情報通信機器の即時償却制度」である。これが一般にいわれる「パソコン減税」である。今年度に限ってパソコン投資に関する特別優遇処置が取られたのである。

 さて「パソコン減税とは何か」「パソコン減税を利用して勝ち組み企業になるとはどういうことか」具体的に説明しよう。

(2)今年限りのパソコン減税て何?

 「パソコン減税」を定義で説明すると以下の内容になる。

 青色申告の法人・個人事業者がパソコン等の情報通信機器を購入した場合に、その価格が百万円未満のものであれば全額を損金算入(経費に落とす)できる制度である。

 重要なことは、パソコンとプリンター等の周辺機器セットで百万円であれば何台でも構わないことである。つまり、一セット九十万円のパソコンを十セット購入すれば、九百万円がすべて経費に落とせることになるのである。パソコンの価格的にも百万円未満のものがほとんどであり、基本的にはパソコン(ハードのみ)に関する投資はすべて経費になると考えて差し支えない。

 但し、適用期間は「一九九九年四月一日〜二〇〇〇年三月三十一日」の一年間に限ってとなっている。つまり来年の三月末までに購入の上、使用してなければならない(購入しただけでは認められない)。

 従来の税制では、十万円を超えるパソコンを購入すると固定資産とされ六年間で減価償却することとなっている。このことは、情報機器の投資を本格的に計画している企業にとっては大変な違いでなのである。

 県内のA流通業の事例でその違いを見てみよう。A社は今年、総額五百万円のパソコン投資を計画している。従来の税制では、七十五万円程度(定額法の場合)が経費となる。

 これが「パソコン減税」を活用すると、なんと五百万円全額経費に落とせるのである。

 結果として約二百万円の節税が可能になる。情報システムの導入計画を進めている企業にとってはまさしく千載一隅のチャンスであろう。

(3)パソコン減税を積極的に活用するとは

 福岡の中堅流通業では、他社との徹底した差別化をはかる為に、得意先の個別情報管理、商品ごとの単品在庫管理を実施して飛躍的な業務スピードのアップと顧客サービスの向上を計画している。その投資総額がのパソコンとその周辺機器合わせて二千万円程度となる。結果として、千万円の節税と差別化戦略による業績の向上が同時に得られることとなる。

 まさしく一石二鳥であり一挙両得である。

 また、ある建設業社の場合、現場代理人全員にパソコンを持たせ徹底した現場ごとの原価管理をすすめることを計画している。建設業は本来、定価のない商売であり、コスト管理力が「勝ち組み」と「負け組み」の明暗を決定づけるのである。

 また、ある卸売業社の場合、営業マン全員にノート型パソコンを持たせ、タイムリーな営業情報管理(顧客情報、受注情報、商品在庫情報等)をすすめることを計画している。この事例も先の建設業社と同様に正確でスピーディーな情報管理によって他社との差別化がはかれると考えているのである。

 常々、タナベ経営では「企業は強いから勝つのではない、勝つから強くなるのである。」と提唱している。つまり、勝つための差別化戦略を立て、実行することで他社に勝利する。その積み重ねで「勝ち癖」がついてスパイラル的に企業が成長し、強くなるのである。

 情報技術(パソコン機器等)へ投資することで節税の恩恵を受け、加えてその投資が後々、業績面で跳ね返ってくるのである。これこそレバレッジド効果(てこ効果)の代表格であろう。

 技術革新が進んだ現在、商品力で他社との差別化をつけるのはなかなか難しいのが現実であろう。企業間格差は人材格差と情報格差で決定づけられるといってよい。

 その意味でも、一九九九年四月〜二〇〇〇年三月の一年間に限って実施される「パソコン減税」を積極的に活用してライバルとの情報活用技術に大きく溝をあけ、飛躍の年にするよう挑戦することは、今後の自社を占う上で大きな意義がある。

 二十一世紀に生き残る企業とは、他社との差別化に常々努力し続けた企業であろう。どうか県内企業の皆さんの前向きなガンバリを期待します。(「観光とけいざい」99年5月15日)


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