連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(8)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


国も中小企業を応援している。活用するかしないかは企業次第!

1、高失業率時代

 十月に発表された完全失業率は減少したものの、日本全国で五%弱、沖縄県では九%弱と、依然として高い水準であることは間違いない。

 求人倍率も〇・五倍(県〇・二六倍)と低迷しており、加えて大企業は十万人規模のリストラ計画を発表している。当面、失業率の抜本的な解決策はないものと考えられる。

 近年にない最悪の就業状況の中、政府もここに来て失業率改善策にはやっきになっている。そのポイントを簡単にまとめると以下の二点であろう。

(1)ベンチャー企業を育成して新たなる就業口を増やす

(2)既存の中小企業を元気にして新たなる失業者を出さない

 つまり企業倒産を未然に防ぎ、新しい企業を起こさせることで、結果として就業状況を改善させるという理屈なのである。

 そこで出てきたのが「ベンチャー企業支援法」と「中小企業経営革新支援法」である。基本的には、ベンチャー企業及び中小企業の弱点である資金面の支援である。

 

2、ベンチャー企業支援法

 政府はベンチャー企業支援のため、個人がベンチャー企業に資金提供をしやすくする「エンジェル税制」を二〇〇〇年一月より拡充することを決めた。

 この法律で定義されている「ベンチャー企業」とは、以下の二点を満たしている企業のことである。

(1)創業または設立から五年以内の中小企業(資本金一億円未満、社員数三百名以下の未登録、未上場)であること

(2)試験研究費、開発費等が売上高に占める割合が三%超であること

 また、ここでいう「エンジェル」とは、ベンチャー企業に私財を提供し、経営に助言する個人投資家のことである。俗にいう「足ながおじさん」である。

 資産を持っている個人が、技術一流、財務三流と一般的にいわれるベンチャー企業に投資して損失を抱えた場合、株式の譲度による儲け以外のすべての所得とその損失を相殺(損益通算)することを認める。

 あるいは、現在は三年としている損失の繰り延べ期間を五年に延長するなど、被害を最小限に食い止める施策が取られている。

 加えて、ベンチャー企業に対し、国が低利資金を融資するなど、積極的な支援策をこうじているのである。

 今日の日本は、企業数が年々三%ほど減少しており企業の設立よりも倒産、廃業の数のほうが多くなっているのが現状だ。このままでは活気のない老衰型経済になるとの判断であろう。

 アメリカのようにどんどん新しい企業を起こす気運をつくるのが政府の仕事である。いずれにしても以前と比較して、事業を起こす環境は揃いつつある。

 

3、中小企業経営革新支援法

 加えて、政府が七月より「中小企業経営革新支援法」が施行された。その内容は、既存の中小企業の経営基盤強化と経営革新を資金面で支援しようとするものである。

 元気の出そうな中小企業を対象に、中長期(三〜五年)の事業計画書を作成させ、各都道府県で審査承認をして合格であれば以下のような資金援助が得られる

仕組みである。

(1)中小企業経営革新事業費補助事業

 承認を受けた企業に対し、二分の一までを限度とし、補助金を出そうというものである。(今年度中は予算が確保されていないため、来年度実施)

(2)中小企業経営革新等支援貸付

 二・七億円を限度として、当初三年間は一・六%、四年目以降では二・〇%の低金利の融資を行うとするものである。

(3)その他

 九項目ほどの助成が準備されている。

 問題なのは、七月に上記法律が施行されたにもかかわらず県内企業の申請実績が一〜二件とかなり低いことである。

 一般的に沖縄県民の特性として難儀なことは極力やりたくないと言う「テーゲー主義」の現れであろうが、こと経営においてはそんな悠長なことは言えないのが現実である。是非、経営者の方々には、こう考えていただきたい。

 金融機関から借入をする場合でも、基本的には簡単な事業計画書は必要なのである。そう考えれば、今回の申請事業計画書は定型ひな型になっており、作成するのにそれほど難しいことはない。

 むしろ、今回の新制度をどう活用するかは経営者の意志しだいであり、経営姿勢の問題である。本土では積極的に活用しようとする経営者は比較的多い。

 県内経営者の方々も県から資料を取り寄せて、内容の詳細検討をする必要があると思う。検討した結果、必要なければ活用しないだけの話しだ。

 その意味でもっと情報に対して敏感になる必要があるのではないか。タナベ経営も応援します。(「観光とけいざい」99年10月15日)


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