連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(10)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


いままでの常識が非常識になる時代!

 明けましておめでとうございます。今年もメッセージをどんどん発信したい。少しでもお役に立てれば幸いです。

 さて、今年二〇〇〇年にはイトーヨーカ堂がヨーカ堂銀行を立ち上げ、二〇〇一年にはSONYがネット銀行を立ち上げる。ヨーカ堂銀行は、全国にある九千店舗のセブンイレブン(コンビニ)を銀行窓口として、一挙に全国ナンバー1の店舗数を有する金融機関になり、SONYは、インターネットを活用した無店舗金融機関になるのである。

 上記二つの事例に共通していることは「個人対象銀行」「全国エリア」「インターネットの活用」「受付カウンターもなければ豪華な応接室も無い」「二十四時間、年中無休」「自己資本比率が高い」「人員が極端に少なくてすむ」などが挙げられる。

 徹底した「ローコスト経営」の実現により「高い預金利息」「格安の振込手数料」といったサービス提供ができることになる。つまり「豪華な応接室」と「きれいな受付カウンター」を必要としないユーザーにとっては、最高のユーザーメリットが享受できるのである。

 一般的に私用で銀行窓口を利用するのは、カードの新規入会、カードの紛失届、公共料金の延滞支払いなどであろう。私などの場合、私用で銀行窓口を利用した記憶は五年以上もない。このことは金融機関に対する我々のイメージを完璧に覆す可能性が大きい。近い将来は「看板も店舗も持たない銀行が大きな銀行」になるかもしれない。

 時代環境は確実に激変しており、今までの常識が非常識になろうとしているのである。その要因は、グローバル化、規制緩和、IT(情報技術)の発達などが挙げられ、好むと好まざるにかかわらず、さまざまなことが激変する変革時代なのである。

1、 変化に対応できる組織の構築

 どうすれば環境の変化に対応できる企業になれるのか、単純に言って「自社の属する業界を顧客の視点で冷静沈着に判断できるか」に尽きる。

 これからの時代、異業種からの参入が一番脅威となるであろう。先入観と思い込みが企業変化を妨げている根源であり、異業種の視点は、本質的に顧客の視点なのである。

 「我が業界の常識では○○なんだ」とよく口にする人がいるが、異業種からすると全く違った視点から、顧客心理を突いた考え方を持てるものである。

 例えば、イトーヨーカ堂、SONYからすると、銀行業務に「豪華な応接室と受付カウンター」は必要ないのである。 

 しかし、既存の金融機関からすれば「豪華な応接室と受付カウンター」はあって当然であり、それが業界の常識なのである。実のところ、経営コンサルタントが同時にいろんな業種をお手伝いできるのも、先入観のない新鮮な視点で企業を見ることができるからなのである。

 その意味で、経営者・経営幹部陣は、異業種交流を積極的に行うべきであり、業界のみの付き合いに埋没しないことが、重要である。

 むしろ同業者よりも異業種からの視点に、環境変化に対応できる本格的な大きなヒントがあると言いきっても過言ではないと思う。大局的な視野で自社を見つめるセンスが問われる時代なのである。

2、 実行力のある組織の構築

 変革思考の次に重要なことは、如何にして実行力を企業体質化するかである。

 タナベ経営が、全国に拠点を有するコンサルタント会社であることから「県内企業と県外企業の違いはなんですか」と質問されることが多い。

 このような場合、「もし違いがあるとすれば実行力の違いでしょう」と返答している。

 県内企業は総じて計画好きの計画上手となる傾向が強い。「こうしよう! ああしよう!」は得意であり、好きなのである。

 ところが、いざ実行となると急にトーンが落ちてしまうのである。ひところ「反省だけなら猿でもできる」というフレーズが流行したことがあるが「計画上手」と「反省上手」では、企業革新は難しいと理解すべきであろう。

 「しかたないさ」と平気で言えるやさしさと甘さがまかり通る企業体質に県内企業の本質的問題があろう。

 働く社員にとっては、都合のいい話しであるが、こと企業経営においては企業成長を妨げる決定的マイナス要因なのである。

 経済が右肩上がりの時代は特に問題にならなっかたと思うが、完全な成熟社会を迎えた今、「実行力のある組織体制づくり」は各企業が取り組むべき最重要課題なのである。

 単純な話し「やると決めたことは確実に実行させる」チェック体制を構築すればよい。それがマネジメントであり「経営が理論よりも実行」と言われる所以なのである。

 いずれにしても今年、二〇〇〇年は色に喩えると「白」の年であり「ご破算」の年となる。

 沖縄県は、明るく飛躍の年になることが大いに期待できる。ぜひ皆さんの企業におかれても成長の年になることを祈念いたします。

 頑張れ県内経営者、タナベ経営も精一杯応援いたします。今年もよろしくお願いします。(「観光とけいざい」2000年1月1日)


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