連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(11)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


「伸びるときに伸ばせ」が企業経営の原理原則!

 振りかえると平成九年度、十年度は二年連続のマイナス成長となり「潜水艦不況」と言われ大変厳しい年であった。さて、平成十一年度の経済成長率はどうであったか。

 正式なデータはまだ発表されていないが、推測値で判断すると全国が〇・五%の伸びに対し沖縄県は一・四%の伸びとなり、全国の三倍の伸び率を示しているのである。

 そこで気になるのが平成十二年度もその勢いが続くかであろう。私どもでは、おそらく全国が一%程度、沖縄県が二〜二・五%の伸び率で推移すると予測を立てている。

 三・六兆円に成長した沖縄経済で換算すると、二%で七百二十億円、二・五%で千八十億円程度、経済規模が大きくなることになる。その要因ポイントを整理すれば、観光、建設、流通の三点に加え情報通信産業の立ち上がりの四点になる。

(1) 旅行商品の販売単価は、依然として厳しいものの、観光客等の入域客数では現状の四百五十万人が四百九十万人程度に増加するものと予測され、今後とも成長を続けるリーディング産業である。

(2) 建設業の中で、土木及び造園工事と量販店等の大型店舗建築に元気が見られ良好に推移するであろう。但し、建築工事においては利益率が薄い傾向が見られ、各社の努力が求められる。工事量もさることながら、むしろ利益率の向上が必要な時期である。過当な競争は「自分で自分の首を絞めかねない」側面がある。

(3) また、県内量販店等では既存店が前年割れをするものの、新規オープン店を入れば三%程度の伸びは十分期待できる。

(4) 加えて、コールセンター等の情報通信産業においては、人材不足の点は否めないが成長基調が見られる。

1、 「伸びるときに伸ばせ」が企業経営の原理原則

 弊社、タナベ経営では以前から、経済成長率の三倍が企業成長の目安であると提唱してきた。この理屈で言えば、仮に二〇〇〇年の経済成長率が二%であれば六%の成長を目安に経営計画を構築すべきであろう。業種間の違いはあれ、六%以上の成長戦略を組んでも無茶ではないということだ。

 「伸びるときに伸ばせ」は企業経営の原理原則である。経済の成長の波を掴み成長軌道に乗せることができるかは、経営戦略とその実行度で決まる。自社にとって「フォローの風」がどこから吹くのか、どの程度なのかをしっかりと見据えて「勝てる場」を決め、徹底して攻めることが極めて重要となる。

 結果として「勝ち組み」と「負け組み」に選別されるのである。言いかえれば「一部の勝ち組み」と「大半の負け組み」を平均して二%程度、経済が成長するのである。

2、内部成長をさせるチャンス

 弊社の中枢業務で「経営診断」と言うものがある。簡単に説明すれば、企業から依頼を受け、五〜十二名のスタッフを編成し四〜六ヶ月程度の時間を掛けて、依頼企業の現状をあらゆる角度から調査分析して経営の処方箋を描く仕事である。

 「企業経営のオリジナル・テキストづくり」であり「経営企画室」の外注と考えてもらえればばよい。

 今年の依頼傾向として「企業経営の棚卸をして欲しい」と言う内容が増えている。

 二十一世紀を迎えるに当たり「自社の市場、商品、人材、管理システム」を経営のプロの視点から徹底的に見直して欲しいと言うのである。つまり、二〇〇〇年を一つの節目と考え「徹底した人間ドック」に入り、悪いところは直し、いいところは徹底して伸ばしたいとの発想である。けっして現状の業績が悪いのでない、むしろ二十一世紀に向け「勝てる条件整備」をしておきたいとの考えである。

 弊社会長の田辺昇一がよく「企業は強いから勝つのではない、勝つから強くなるのだ」と言っているが、「この謙虚な経営姿勢こそが、その企業を成長させている原動力だな」と経営の現場で痛感させられ、頭の下がる思いである。

 いずれにしても、経営環境の上向く時に「内部成長」させるのが「企業経営の常套手段」である。その意味でも二〇〇〇年は近年、稀に見るチャンになるかもしれない。

3、思いを伝え切ることが肝心

 「コミュニケーション」を「単に社員と会話をすること」あるいは居酒屋等での「ノミニケーション」と勘違いしている経営幹部陣がまま見られることがある。

 「経営におけるコミュニケーション」とは「やって欲しいことを正しく理解させ、実行させる」である。その意味でも伝える側の「強い意思」と「執念」と「根気強さ」が求められる。一回言って分からなければ、十回言えばよい。それでもダメなら百回言うべきである。「耳にタコができる」と言うが「片方の耳」だけでは不足、むしろ「両耳」にタコができて上等なのである。つまり、理解するまで諦めないことが肝心なのである。 (「観光とけいざい」2000年2月1日)


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