連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(12)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


今の繁栄は3年前に打った手の結果である!

 サミットを目前に控え、道路工事が急ピッチだ。渋滞を極めドライバーのストレスも計り知れない。それでも夜間工事で一生懸命に汗を流している方々の姿を見ると「我慢しよう」という気になるのは私だけであろうか。聞くところによるとアスファルト工事が間に合わず北海道の道路舗装業者にまで外注工事が発注されるほどである。

 そのような状況の中、県内企業が今、真剣に考えるべきことは「ポスト・サミット」である。現状、土木業者及び造園業者が大変忙しいようだが、サミット後の公共工事については「さっぱり見えない」というのが正直な感想であろう。最近では、その他の業種の経営者からも「サミット後の経済状況が見えず不安だ」との声も聞かれる。その意味でも、サミット後の県内経済及び県内企業のあり方について、今のうちに徹底的に討議されるべきで、ポストサミット対策の不足感は否めない。

1、今の繁栄は3年前に打った手の結果である

 働きたい、自己の能力を伸ばしたいというのも人間の本能ともいうべき社会的欲求であるが、楽をしたい、遊んで暮らしたい、というのも人間の本能的欲求である。このことは人の集合体である企業にも、そのまま当てはまる真理である。

 以前よりタナベ経営では「危機感は、現状否定と向上欲求から生まれるものである」と提唱してきた。「危機感のないところに成功はない」というのが企業経営の原理原則である。伸びている企業の特性を分析すると「危機感の醸成」が社内風土として浸透しているものだ。

 このことを県内企業、本土企業で比較すると「社員への浸透度」において、大きな開きを感じるのが実感である。最近では、あえて「現状維持は衰退を意味し、変化は成長を意味する」と言うようにしている。

 「先見力」という言葉があるが、未来を正確に予測できる人間などまずいない。それでも「環境は変化する」と決めつけるところから始めなければ「変化の予兆発見」はできないものだ。加えて、積極的に対応しようという姿勢こそが「変化こそ常道」という社風を築くのである。そこで強調したいことは「今の企業繁栄は、三年前に打った手の結果である」ということだ。経験上「経営革新」には、最低でも三ヶ年はかかる。常に三年先を考え経営設計しなければ「衰退企業」になる恐れは大なのである。

 スポーツでも企業経営の世界でも「先手必勝」が勝負の明暗を分けるが、ことビジネスの世界では必ず競争相手がいる。常に一歩前を進む者のみに天使は微笑むのである。これからの高速経営時代には、なおさらこの心構えがものをいう。

2、ライバルに比較して誇れるものは何か

 私は経営者・幹部陣によく「ライバルと比較して誇れるものは何ですか」と聞くようにしている。ライバルに対して「差別化」できる要素がなければ「敗北」を意味する。そこで興味深いことは、自社の差別化要素を認識していないことがまま見られることである。その要因は、日ごろからライバルを意識する考え方が不足しているからであろう。人材力、商品力、営業力、財務力のどの要素においてもライバルに劣るのであれば、ゼロベースから企業再構築をしなければ逆立ちしても勝ち目はないのが現実であろう。「ローマは一日にしてならず」という。どれを取っても即席でつくれるものではない。

 特に「人材力の強化」は概して時間のかかるものである。さらに言えば「人材力が商品力を決め、営業力を決め、結果として財務力の差として現れる」のが実際である。  県内企業は一般的に「方針書」を作成するのは、割と好きなほうである。その反面、実行体制の裏付けづくりが弱いのも事実なのだ。

 「夢を描く」以上に、その実行体制を構築する「地道な努力の積み上げ」があってはじめて「方針の実現」が図れるものである。

 冷静に自社とライバルの分析ができる「クールな目」と、決めたことを確実にやりきる「地道な努力を惜しまない社風(粘り)」と、決して妥協を許さない「情熱」を社内に築くことが「成功へのパスポート」なのである。「仲好しクラブ」もいいが、二〇〇〇年を節目にその現状から脱皮することが県内企業の大きなテーマであり、今こそ「本気」で取り組まなければ、「ポスト・サミット」を生き抜くのは「至難のわざ」ではないか。

 今こそ情報を徹底して集め、自社の進むべき方向を明確な戦略として全社員に発信すべきである。「すでに二十一世紀は、はじまっている」と積極的に捉えるべきだ。 (「観光とけいざい」2000年3月1日)


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