連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(13)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


環境変化に対応できる企業体質を築け!

 今の時代は、常識を大きく変化させる「新技術」が日々生み出されている。たとえば、一年ほど前よりスタートした「デビット・カード」の料金決済サービスの名称だけは聞いた人は多いと思う。ところが流通業界に与える今後のインパクトを理解している人は割りと少ないのではないか。

 人によっては「デビット・カード」「キャッシュ・カード」「クレジット・カード」の三種類のカードが存在すると思い込んでいる人も少なくない。ところで「デビット・カード」とは何か。簡単に言えば「キャッシュ・カードを使った買い物料金の決済システム」のことである。成人の九〇%はキャッシュ・カードを持っていると言われており、結果としてデビット・カードはすでに殆どの人が所有していることとなる。

 ところが過去一年間はテスト期間で「デビット・カード」を使用した人は、二十三万人に留まっていたのである。この間、小売店である加盟店と金融機関が直接契約していなければ使用できない不便さがあり、流通市場でなかなか浸透しなかったのが現状である。県内の場合「デビット・カード」を使用できる店舗は「わしたショップ」と「一部のデパート」に限定されているであろう。

 しかし、三月にスタートした「新デビット・カード・システム」の内容を見ると、流通業界に「決済革命」を起こす可能性が大きい。

 NTTデータが運用する「クリアリングセンター」が稼動するのを機に、六百以上の金融機関と加盟店が繋がることになり、加盟金融機関のキャッシュ・カードなら、どの加盟店でも使用可能になるのだ。この決済革命は、現状の加盟店一万店が年内では十万店になり、五年後には七十五万店、なんと十年後には百二十万店になるとまで言われている。

 本格的な「キャッシュレス時代」の幕開けを意味しており、すでに既存のクレジット会社の脅威となりつつあるのだ。その要因を挙げれば以下の四点となる。

(1)小額商品向きと考えられていた「デビット・カード」の平均使用金額が一万八千円と予想をはるかに越えている。(クレジット・カードが平均二万二千円程度)

(2)日本人は基本的に借金を嫌う国民であり、クレジット利用者の大半が一回払いである。(デビット・カードの欠点である即日決済システムと大差がない)

(3)加盟店の決済手数料がクレジット会社で三〜五%であるのに対し、デビット・カードでは一〜二%と安価で、小売店のコストダウンにつながる。

(4)成人人口の九〇%以上がクレジット・カードを既に所有しており、新たなカード発行手続きが必要ない。加えて二〇〇一年からは「おつり方式」がスタートし、小売店で「現金引き出し」ができることになる。

 この事例からも、世の中の変化がどう自社に影響するのか、常に潮流を見て判断することが重要なことである。その着眼如何では企業業績を伸ばす要因にもなれば、取り残されてしまう危険性さえあるのだ。

1、環境変化に対応できる企業たれ!

 そこで重要なことは、一般の中小企業が社会常識を変える新技術を開発することは、なかなか難しいのが現実だ。むしろ、日々開発される新技術の動向を掴み、自社にどう取り入れ活用するのかが勝負となる。

 例えば「eビジネス」と言われて久しいが、今後どのような活用を模索しているのか差し迫ったテーマなのだ。大きくは「B(ビジネス=企業)to B」「B to C(カスタマー=顧客)」の二つに分かれる。

 インターネットを企業間取引に活用するのか、あるいは顧客との取引に活用するのかは、各企業の業態によって変わってくる。関係のない業態など存在しない。

 今一度、自社の業態に即した活用方法を模索する時期に来ているのである。

 「eビジネス」と言うと「お高くとまって」と言われる時代は終わった。そんな発想では時代に取り残されるのが落ちであろう。

2、バランス感覚が問われる時代

 以前にも「不易と流行」について書いたが「どんどん変化させるべきこと」と「けっして変えるべきでないこと」をどう区分してバランスさせるかを問われている時代だ。

 組織の本質は「統一体である」など経営の原理・原則は変わらない。

 いずれにしても「時代変化への対応」と「経営の基本の徹底」を同時にやるしかないのである。その意味では、ますます企業経営が難しくなっているのが現実であり、実行できる企業とそうでない企業の差は、ますます開く結果になると思う。

 経営者にとって、やるべきことが多く「大変な時代」とは思うが是非、やりきって欲しい。加えて、幹部は、それを支えることのできる人材になるべきだ。

 ガンバレ県内企業、タナベ経営も応援します。 (「観光とけいざい」2000年4月1日)


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