連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(14)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


「VSOP経営」の勧め!

 今年のゴールデンウィークは最高九連休の大型連休となり、旅行、キャンプ、その他のレクレーションなど楽しい休日を過ごしたことでしょう。私も、三〜五日の三連休となったが、有意義な休日が過ごせたと思う。

 以前より、世界遺産である「沖縄の城(グスク)」を見たいと思い、本島中部の勝連半島に阿麻和利(あまわり)が居城を構えた勝連城を訪ねた。そこも他の城址と同様に断崖絶壁の高台にあり、高所恐怖症の方には、ちょっと辛いかなと心配するぐらいの所である。

 勝連城に登って見て初めてわかることだが、三六〇度パノラマの世界であり、太平洋、日本海が望め絶景だ。城は大きく三段に分かれており、中腹に城の柱の跡があり、ここに城があったことがわかる。そして頂上は平らな広場になっていて明らかに見張台になっているのだ。三六〇度の広範囲に渡ってなんの障害物もなく、完璧なほどに見渡せるのである。なるほどこれなら、敵がどこから攻めてきても即座に発見できることは、想像に硬くない。

 当時の武将達は、城の頂上に「見張役」を常備して、常に敵の動きを監視していたことであろうと思うと、城(グスク)の構造物としての合理性にはつくづく関心させられた。

 私も経営のお手伝いしている関係上、考えさせられることが多い。情報の氾濫している現在にいながら、果たしてライバル情報、顧客情報、商品情報にどれだけ神経を使い、その動向を的確に把握しきれているのだろうか。今更ながらハッとさせられ、お手伝い先の十二業種にわたる業界状況を再分析したいと考えた。常に情報の中にあって、情報に流される自分に気づくことは極めて重要なことだと「城(グスク)」に教えられた思いがする。

1、 「VSOP経営」の勧め

 ライバルとの情勢分析のヒントに、弊社取締役・七ツ矢の新刊「危ない社長、危ない幹部」で詳しく説明している「経営のVSOP」について紹介したい。VSOPで真っ先に思い出すのが「Very Superior Old Pale(大変に品質のいい、年代物)」の頭文字をとった高級ブランデーの総称のことであろう。

 弊社では、経営のVSOPを「マネジメントのVSOP」「人材のVSOP」「新戦略のVSOP」の三つに分けて提唱している。

 ライバルに対し、以上三つの「経営のVSOP」のどれが劣っても情勢的に不利になるのである。以下、それぞれのVSOPを簡単に説明するが、貴社とライバルを比較しながら内容を確認してもらえれば幸いである。

2、「マネジメントのVSOP」とは

 まず「マネジメントのVSOP」では、V(ビジョン=夢)、S(ストラテジー=戦略)、O(オーガニゼーション=組織)、P(プラクティス=実行)の四項目のバランスが肝心である。特に、県内企業の傾向としては、相対的にO(組織)とP(実行)に弱点が多いのではないかと思う。企業は弱点から崩れるのが常とうだ。その意味でも「弱いとこを徹底して強化する」が原則である。

3、 「人材のVSOP」とは

 また「人材のVSOP」では、V(バイタリティー=活力)、S(センシビリティー=感受性、素材)、O(オリジナリティー=独創性)、P(プロフェッショナル=真のプロ意識)の4項目のバランスをもって「人材(財)」と称しているのである。

 よく「気合型社員」と称される方がいるが、O(独創性)とP(真のプロ意識)に欠ける傾向が多いのではないか。「気合」は極めて重要だが、それだけではなかなか続かないものだ。「勉強量の差」が「OとPの差」になって現れてくるものである。拙速では真の人材は育ちにくい。「日々精進」とは良く言ったものだ。

4、 「新戦略のVSOP」とは

 最後の「新戦略のVSOP」では、V(バリュー=新価値づくり)、S(スピード=迅速主義)、O(オープン=開かれたシステム)、P(パートナー=共同作戦)の四項目が競争力強化のポイントである。

 変化スピードがドンドン速くなっている現代では、自社の提供する価値(バリュー)と顧客の求める価値とが乖離することが多い。「閉塞的」で「変化しない」企業であれば、顧客にあきられ衰退する可能性も大きいのではないか。自社完結型にならずオープンでパートナーシップをもった経営スタイルに移行することが「新価値づくりのできる企業」になる方法であろう。

 その意味でも「どの企業と共同関係を築くのか」は、将来のマーケット・ポジションを決める重要なターニングポイントになるのである。但し、その見極めが難しいのも事実であろう。

 

 以上、「経営のVSOP」を簡単に紹介したが、重要なことは昔の武将達のように常にアンテナを張り巡らして情報武装することだ。大局的に自社とライバルを比較すると「強み、弱み」が明確になり、的確な判断が下せるのではないか。詳しくは、弊社取締役・七ツ矢の新刊「危ない社長、危ない幹部」を一読するこをお勧めする。 (「観光とけいざい」2000年5月合併号)


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