連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(18)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


ビジネスモデル特許

 朝夕の涼しさが感じられるようになり始める秋口を迎えると、弊社タナベ経営では「経営戦略セミナー」のテキストづくりに追われるのが年中行事となっている。

 当該セミナーを簡単に説明すれば、三十五名からの専門コンサルタントが執筆チームをつくり、半年かけて作成する経営テキスト(五百ページ以上)に基づき、年末に「来年度の経済環境と経営課題」「来年度にとるべき基本方針と打つべき手」について弊社の会長、社長、専務、常務の四役が北は北海道から、南は沖縄まで全国縦断して開催する公演会形式の経営者・経営幹部対象セミナーである。沖縄県でも毎年十二月の初旬に開催している。今年は十二月七日(木)の開催予定だ。ちなみに昨年の四十周年記念セミナーのテーマを紹介すれば「グローバル化、情報化、デフレ化に挑む自主戦略」であった。

1、戦略とはなにか

 その内容も「販売戦略」「財務戦略」「IT戦略」「人事労務戦略」「開発戦略」「仕入物流戦略」「生産工事戦略」の多岐に渡っており、手前味噌ながら、今読み返しても、その先見性と実用性において他の追随を許さない内容に仕上がっていると自負している。

 ところで、「戦略」「戦術」「戦闘」「戦果」などと言われるが、「戦略」とは一言でいえば何か。「ライバルとの関係において、強い競争力を築き、維持するための具体的な方策(方法)」と結論付けられる。かの有名なナポレオンがロシアへ遠征し、敗北したときに言った有名な言葉が「戦術の間違いは戦略でカバーできるが、戦略の間違いは戦術ではカバーできない」であった。

2、先見性・適応能力

 当然のことながら、いつの時代にあっても経営者、経営幹部陣に「時代を見る先見性」「具体的な時代適応能力」が備わっていることが、企業の将来を保証する唯一の方法なのである。そして、社員は、トップの「経営戦略」に基づき、日々の営業活動を組み立て実行すればいいのだ。仮に、事業部制を敷いていれば、事業部の長は「ユニット経営者」であり、ミニ企業経営として、その理屈はそのまま当てはまるのである。難しく考えることはない、すべての責任は「ユニット経営者」が取ると考えればよいのだ。筆者も「沖縄支社」というユニットを任された「ユニット経営者」であり、問題が発生すれば全責任は帰属するし、問題の如何によっては責任を取らなければならないのである。

3、ライバルを甘く見るな

 その意味でも、年に一日の「経営戦略セミナー」で先見性、時代適応能力の基本情報が体系的に入手できることは、忙しい経営陣からして最高の効率と言えなくもない。実際、我々コンサルタントも当該セミナーのテキストを年末年始の休日に読破して頭の整理をしている。いずれにしても企業経営をリードするに当り、思いこみは最も危険である。常に「冷静な時代感覚」「冷静な経営判断」を行うための基本情報を取り入れながら「自社の打つべき手」を具体的に組み立て、ストーリー化する必要があるのだ。

 特に今年は、千年紀最後の年であり、ほとんどの企業が「二十一世紀戦略=二十一世紀のライバルと戦う方策」をなんらかの形で構築すると考えてしかるべきであろう。日頃、業界の集まりなどで会って、和やかな会話を交わし仲良しだからといって「特段、何も考えていないよ」と判断するのは早計だ。「振り向けば自分だけが考えていなかった」などということにならないようにして欲しい。

4、ビジネスモデル特許

 最近、本屋に行けば「ビジネスモデル特許」に関する書籍が山のように出版されている。首都圏の書店では、専門コーナーが設置されているほどだ。特許法の中では明確な記載事項がなく、日本における通称である。ちなみにアメリカでは、BMP(ビジネス・メソッド・パテント)と言われており、ビジネスの手法そのものがパテント(特許)になる時代なのである。従来はコンピュータのハードとネットワークを駆使したオリジナル経営手法を意味していたが、今年になって変化が起きて来ている。

 我々の感覚では「こんなものオリジナル・ビジネスモデルとは言えないよ」といいたくなるものまで特許申請が認可されているのが現実である。もちろん、特許庁の発行する広報誌に掲載後、六ヶ月間は異議申立てできるが、異議申立てがなければれっきとした特許になるのである。最近の事例で見れば、以下の内容などはその部類の代表であろう。

・ 結婚式場が、チラシを使って引き出物を販売する販売システム(日本)

・ 販売データをコンピュータで集計し自動計算する経営分析システム(日本)

・ ゴルフの片手パターの方法(アメリカ)

 特に結婚式場の事例などは、特許庁内部でも批判があるようだが、その異議申立て期限が九月末というからその動向には注目したいものだ。いずれにしても、知らないものが損をする時代なのである。一度、書籍等で「ビジネスモデル特許」の概略を学んで見る必要はあるのではないか。意外と皆さんの身近にもライバルとの差別化ができるアイデアがあるかもしれない。むしろ、自社が「ビジネスモデル特許」を取る経営戦略を打ち出すぐらいの気概があってもいいのではないか。

 次回は、企業がとるべき経営戦略で「事業ドメイン(領域)の決定」というものがあるが、その説明をしたい。簡単に言えば「既存事業で十分なのか、もし不充分であれば新規事業開拓をどうすすめるべきか」ということだ。(「観光とけいざい」2000年9月15日)


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