連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(21)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


業績ストーリーを描き切り、やらせる姿勢がリーダーシップだ!

 新世紀、明けましておめでとうございます。さて1月になると来期の予算づくりに取り掛かる企業が多いことであろう。私も仕事柄、企業の経営者、幹部の方と一緒に「年度予算及び経営方針書」を作成する機会が多い。そこで常々思うことは「業績の上げられる経営者、幹部は往々にして自分なりの業績ストーリーを持ちえている」ということである。このことは業種の如何を問わず共通しており、場当たり的、成り行き型で経営しているといずれは立ち行かなくなるのがオチであろう。

1、冷静な目と大局観

 企業の安定成長は、ビジョンとそれに裏打ちされた業績ストーリーがあって初めてなしえるものであり、「たまたま業績」など長続きするものではない。

 弊社では経営の基本を「1T(テクノロジー)と3M(マーケット、マネジメント、マネー)」の4要素の組合せで体系づけしている。「商品、技術(T)」と「マーケット(M)」の最適組合せが「事業センス」であり、「勝てる場の発見」である。つまりライバルとの差別化である。加えて、「マネジメント(M)」と「マネー、資金管理(M)」の組合せが「経営センス」であり「勝てる条件整備」である。

 例えば、高い技術力を誇るベンチャー企業が、事業規模は拡大させたものの倒産してしまうケースがあるが、その要因は「勝てる条件の未整備」によるところが大きい。

 その意味において、弊社会長の田辺昇一が「大きくなると自由にならならいのが子供とカネである」とよく言うが、言えて妙だとつくづく思う。

 いずれにしても今年は二十一世紀スタートの年度、「勝てる場の発見」と「勝てる条件整備」をいかに行うかが大競争時代を生き抜く各企業に置かれた命題であり、少しでもいいからライバルに勝てることが肝心なのである。

2、徹底して業績ストーリーを組み立てよ

 業績ストーリーを組み立てるには以下の7点を検証してみることが重要である。

(1) 業界における自社のポジションはどこか(ポジショニング)

(2) 消費者から見ての認知度はどの程度なのか(広報活動)

(3) ライバルに勝る商品、サービス、技術はなにか(固有技術)

(4) 顧客ターゲットの明確化と絞り込みはできているか(市場セグメント)

(5) ライバルと比較して人材レベルはどの程度なのか(人材力)

(6) 管理手法は規模から判断して適正か(マネジメント)

(7) カネの使い方は適正なのか(資金運用)

 いずれにしても「冷静な目」で自社を正しく認識し、ストロングポイントとウィークポイントを明確にすることが、経営戦略を構築する上で極めて重要だ。

 加えて、「KFS(キー・ファクター・フォー・サクセス)主要成功要因」を明確に絞り込むことも当然のことながら肝心である。言えば「重点、集中、徹底」をいかに行えるかがポイントであり、あれもこれもではなかなか通用しない時代なのだ。事実、やるべきことを広げるよりも絞り込むことが難しいといえるのではないか。

 そして、主要成功要因が絞れたならば、最終的には如何なる障壁をも越えられるだけの気概が勝敗を二分することになる。  

3、マイナス要因は排除せよ

 さて、苦労して組み立てた「成功ストーリー」を成功させるポイントとして、左記の3点が挙げられる。

(1)経営方針の明確化(価値観の一致)

 「経営方針の発表」と「経営方針の明確化」を同じと考えている人が多いが、厳密に言えば間違いである。「明確にする」とは、部下全員に理解させきることであり、単に伝えることではない。リーダーの価値観と属するメンバーの価値観を一致させることが肝心である。組織における「コミュニケーション」が「やって欲しいことを正しく理解させ、やらせきること」と言われる所以である。いずれにしても、真の達意力がリーダーの重要なる素養であると言えよう。

(2)基本ルールの徹底(業務の基本姿勢確立)

 実行すると決めたことは、いかなる理由があれどやらせきることである。例外を認めない姿勢が「リーダーシップ」を示す最善の方法である。ことの大小ではない、決めたことを確実に実行させる体制を築くことが肝心なのである。例えば、整理整頓を厳しくいうのも、仕事の基本姿勢を確立させることにその目的があることが多い。

(3)チームワーク(マイナス要因の排除)

 仮に、進もうとする方向に反する人がいた場合、まずは根気強く説得することである。それでもダメなら「マイナス要因として排除」する勇気を同時に持つことも肝心だ。「個人主義の一人を救えば、全体を失う」ことになる。つまり「全体優先の姿勢」を貫くことを「チームワーク」と言うのだ。

4、「勝ち組み企業」と「負け組み企業」の差は、指導者の差

 二〇〇一年は経済全体としてはマイナス成長になることはないと考えられるが、その中味は「一部の勝ち組み企業の躍進と大多数の負け組み企業の平均像」である。その差の大半は「指導者の差」にあると言っても過言ではない。決めたことは必ずやり切る「凡事徹底」の姿勢が肝心。つまり当たり前のことを当たり前にやりきる「基本の差」が「企業間格差」を生む元凶なのである。その意味で「明るく、厳しい社風づくり」に徹すべきである。

 これからの「あるべきリーダー像」とは、一見、相反する「根明な面」と「緻密な面」を同時に持ちえた人でなければならないのである。

 いずれにしても、業績ストーリーを描き切り、やらせる姿勢がリーダーシップの基本である。この基本を行える人材を一人でも多く育成することが、安定成長の担保であると考えればよいのではないか。(「観光とけいざい」2001年1月1日)


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