連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(22)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


常にふざけ続ける若者達

 以前にもこの紙面で紹介したNHKの超人気番組「プロジェクトX〜挑戦者達〜」がBS放送で再放送され、大先輩のつわもの達の歴史に触れることができ改めて触発された気がする。

(1)二十四年におよぶ歴史的難工事の末、世界最長の海底トンネル「青函トンネル」のパイロット杭工事を完成させた鉄建公団のトンネル工事のプロ職人七十四人。昭和五十八年、仲間の遺影が見守るなか先進導貫通式を迎えた。青函トンネルに人生を賭けたトンネルマン達の苦闘と情熱の物語。

(2)旧陸海軍出身の戦闘機技術者達は、世界最高レベルの技術力を誇っていたが戦争の負の記憶に心を痛めていた。戦後、「人の役に立つものを作りたい」と鉄道技術研究所に入所。「飛行機」の理論を「鉄道」に持ち込み、夢の超特急「新幹線」完成までの第二の人生を賭けた技術者達の物語。

(3)「もはや戦後ではない」といわれた昭和三十年、深刻な住宅供給不足、国は日本住宅公団を設立し、住まいの大量供給に乗り出したが、住宅一戸当り七十万円、床面積十三坪が限界であった。それでも家庭の主婦が働きやすい空間を生み出した「ダイニングキッチン(和製英語)」。当時、宝くじが当るより難しいといわれ、人気を集めた「ステンレス流し付き公団住宅」開発の裏側にあった夫婦愛の物語。

 いずれの当事者もかなりの高齢で、中には故人もいる。内容は違えども自分の人生に心底、誇りを感じており、人間として実にカッコイイ生き方をした人ばかりだ。もちろん世間的に有名な人物は登場しないが、彼らの生き方に教えられることは計り知れない。  

1、常にふざけ続ける若者達

 先だっての成人式で全国的に有名になった高松市、高知市、那覇市。お茶の間のテレビで全国放送された新成人の式典での悪態振りには、正直、呆れるばかりだ。たかが三十分の式典の最中、席には座らない。携帯電話で話しをする。式典会場の中で酒の回し飲み……あげくの果てに挨拶中の知事、市長に野次を飛ばし、クラッカーを打ち鳴らす……知識人の中には、こんなご時世だから大した問題ではないと無責任な発言をする人もいるようだが、企業経営の立場からすると許しがたい問題なのである。

 なぜ彼らはそこまで「ふざける」のか。おそらく、常にウケ狙いの発想がすべてに優先するのであろう。「ふざける」ことは決して悪いことではないが、どんな場面でも「ふざけて」いいというものでもない。その分別がつけられる人を「大人」というのであって、どう考えても「子供」そのものだ。多分に、真剣になってなにかに打ち込んだ経験がない表れではなかろうか。私も毎年四月、新入社員セミナーを開催しているが、年々、その傾向が強まるような気がしてならない。どんな時代でも「忍耐力」のない人に本当の仕事が勤まるはずがない。先輩、上司から多少注意されただけで「気に入らない」といって退職するのがオチであろう。あるいは「逆ギレ」の可能性だってある。いずれにしても右記の「プロジェクトX〜挑戦者達〜」の偉大なる大先輩達の爪のあかでも煎じて飲ませたいと思うのは私だけであろうか。

 四月になれば新入社員が入社して来るであろう。もちろん、すべての新入社員に問題があるのではない。むしろ採用試験を勝ち抜いた諸氏であろうから、分別の付けられる「大人」であると期待したい。それでも「企業」という組織体に向かない人種が増加傾向にあることは事実であろう。そこで重要なことは、先輩、上司の毅然とした態度だと思う。その意味でも、今のうちに襟を正し、自信を持って指導育成できる考え方と行動を心がけるべきときであろう。それが、企業成長の第一歩なのである。  

2、本を読む人、読まない人

 先月は年初ということもあって経営者と面談する機会に普段よりも多く恵まれた。そこで些細なことであるが共通する話題があり、興味があったので紹介したい。

 今年の三が日の休日は、例年と比較して読書をして過ごされた方が多かったようだ。特に経営者の方々にこの傾向が強いように感じる。推測するに、新世紀を迎えたものの前世紀から持ち越した問題が日本全国で山積みであり、本格的な変革はこれからであることを察してのことであろう。その潮流の結果、どのような影響がでるのか確認しておきたいという心理が働いたからだ。そういう私も大晦日から三日までの四日間で六冊ほどの本を読むことができた。ちなみに年末年始としては過去最高記録である。なにも私が速読を身に付けているからではない。年初に経営者にお会いすれば、今年はどんな年になるのか必ず問われるし、特に今年はその傾向が強いと判断したからである。つまり、必要に迫られて経営環境の予測を整理したまでのことだ。

 そこで、経営者との話しの中で出てきたのが「社員に本を読むことを勧めるが、一向に読もうとしない、しまいには本を無償で与えても読まないから困ったものだ」との声で、二人に一人程度の割合で話題に挙がったのには面白い傾向だなと内心思った。

 県内企業の場合、幹部社員でさえ、一年間で一冊の本も読まない人が多いのは事実であろう。たとえば、昨年の年末に、ある県内大手企業の幹部社員約五十名を対象に社内研修会を実施した。その研修会の講義の中で読書習慣についての質問を投げかけて見ると、一週間以内に一冊程度は読んだと答えた人が二名、一ヶ月以内で一冊程度と答えた人が三名、半年で一冊程度と答えた人が四名、なんと残りの四十一名は一年間、全く本を読んでいないというのである。実に八割が、読書習慣がないことには、さすがに驚いた。それとは対照的に経営者の場合、月に一冊も本を読まない人は少数派の部類に属するのだ。何故これほどまでに、はっきりとした違いが出るのであろうか。その答えは、経営陣であれば、今の時代、情報こそが一番価値が高いことを肌で知っているからである。つまり、情報時代に取り残されることは企業の死活問題になることを重々認識しているからに違いない。

3、読書はあくまで習慣の問題

 ところで、周りの人を見ても忙しい人ほど読書する習慣を持っているものである。恥ずかしい話しだが、私事で言えば、終日の休日が取れるのは月に一日ないし多くても二日程度。朝は八時半始業の帰宅が夜の十時過ぎが普通であり、俗に言われる「働き蜂」である。それでも月に五〜十冊程度は読むようにしている。ただし、私の場合、情報とそれに基づく経営判断を売る職業であるので当然であり、何の自慢にもならないことは断っておきたい。

 いずれにしても、時間に余裕のある人が情報を持っている人とは限らないことは事実であろう。むしろ週休二日制が一般化した現代において、週二日程度の完全休日と、加えて夜の七時に帰宅してから就寝するまでの五〜六時間程度を年間に換算すると千八百時間〜二千時間に相当するのである。単純にその一〇%の二百時間を読書時間に当てれば、年十〜二十冊は読めて当然だ。その意味でも、読書とはあくまでも習慣だけの問題なのであろう。そこで、私の考える「読書習慣」をつけるヒントを紹介して、まとめにしたい。

(1) 本は借りるより、多少無理しても購入する

(2) 週に一日は本屋に立ち寄る癖をつける

(3) ベストセラー本から読む(タイムリーなものが多い)

(4) できることなら一枚程度のレポートにまとめる

 いずれにしても、読書とは、大局的なものの見方、考え方を習慣づける最良の方法であろう。価値観が変化する時代、「読書習慣」を身につけさせることは、人材育成の基本であると思う。ただし、これがなかなか難しいことも事実であろう。 (「観光とけいざい」2001年2月1日)


 |  連載23 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.