連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(23)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

 大阪駅からJRで十分程度、関西国際空港、明石海峡大橋など大阪湾ベイエリアの中心地である関西ウォーターフロント地域の中心に立地し、三月三十一日のオープンが大きな話題になっているのが「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」である。ウォーターフロント周辺は、ホテルやエンターテイメント施設に加え、ソフトウェア開発やテレコミュニケーション等の情報発信企業及び調査・開発 企業等様々な形体のメディア企業を誘致し、一つの国際マルチメディア地域を形成する計画。その中心に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を置き、二十一世紀に相応しい、「住・職・遊」の複合した街の誕生が期待されている。ここで「ユニバーサル・スタジオ」を簡単に説明しよう。

 一九一五年に、養鶏場の跡地に「ユニバーサル」という名の映画撮影所がハリウッドに開設され、世界で初めて、入場料二十五セントで映画の撮影現場を一般の人々に公開したことから始まる。それが、ロサンゼルス最大の観光名所になったのだ。その後、一九六四年に映画撮影の舞台裏をまわる「バック・ロット・ツアー」がスタートし、「ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド」として本物の テーマ性を備えたエンターテイメントが誕生したのである。一九九〇年には「ユニバーサル・スタジオ・フロリダ」が、スペイン・バルセロナでは「ユニバーサル・スタジオ・ポルト・アペンチュラ」、北京では「ユニバーサル・スタジオ・エクスペリエンス」がオープンし、そして今年の三月三十一日に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」として大阪の地に世界的名所が新たに誕生するのであ る。

1、コンテンツの時代

 そのアトラクションには、世界でヒットした映画をコンセプトベースとした施設が目白押しだ。

@バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ランドAE・T・アドベンチャーBターミネーターU・3DCジェラッシク・パーク・ザ・ライドDジョーズEウォーターワールドFバックドラフトといずれ劣らない有名作品ばかりであり、映画好きにはたまらない内容となっている。そこに行けば、好きな映画の疑似体験ができ、その娯楽性は極めて高いと言えよう。

 今の時代、映画館に足を運ばないまでも、家庭内でビデオ、DVDを利用して老若男女問わず映画を鑑賞する機会は多い。世界中のテレビを通じてユニバーサルスタジオが常時、宣伝されているといえる。結果として、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の持っているコンテンツを好む人々の裾野は極めて広くなる。その意味で、国内のテーマパークのほとんどが経営上、立ち行かなくなって いる現状においても、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の成功は間違いないであろう。それは、偏に「コンテンツ」のレベルの差、裾野の広さの差にあるのだ。例えば、宮崎にある屋内ビーチ「シーガイア」と比較すれば、その差は歴然としている。建物の中に人工ビーチを再現して見せても、日本全国、周辺諸国から観光に行きたいというインセンティブにはならないのである。むしろ、ビー チなら自然が一番ということはいうまでもない。当然のことながら沖縄の方が単純比較で相対価値が高いのである。いずれにしても、「ユニバーサル・スタジオ」が一九一五年のオープンから八十五年かけて築いてきたコンテンツ、エンターテイメントに関するノウハウは観光資源として世界屈指なのである。

2、時代を見る目を養おう

 弊社タナベ経営沖縄支社に「タナベトップ会」と称する経営者の少人数勉強会があるが、今年の九月に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」を視察し、そこの経営陣に企業コンセプトをお話し頂こうと計画している。ここで大切なことは、テレビで三月三十一日「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」のオープンがしきりに宣伝されているが、それを見て単に面白そうだ、一度行きたいなと考え ては時代感覚は掴めない。なぜ面白いのか、なぜ大阪なのか、なぜ沖縄ではダメなのか、誰がカネを出しているのだろう、世界からも観光客が来るのだろうか……などその想像範囲を広げてみることも時代感覚を磨く上で有効な方法なのだ。

 ところで、観光のインセンティブは、「非日常性」がポイントであろう。わざわざ時間とカネを費やして出かけるからには、それなりの理由がある。日々の生活では、決して味わえない「感動」を求めて人は行動する。それは、居住地にはない「自然」であり、人間の智恵を集積した「エンターテイメント性」だ。その意味で、沖縄観光のイメージは「青い海」に偏り過ぎではないか。将来的には、 他の観光地に優位性の持てるエンターテイメント施設が必要だと思う。その双方の相乗効果が出せれば、移動人口千万人も夢ではないと思う。ちなみに、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの投資総額が千二百億円といわれており、その額が高いか安いかの判断は皆さんにまかせるとして。私などは、お節介にもその採算性はどうなのか簡単な試算を習慣的にしてしまう。そして沖縄に欲しかったと 思うのは私だけであろうか。(「観光とけいざい」2001年3月1日)


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