連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(30)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


がんばれ観光業界キャンペーン

 「100の指標からみた沖縄県のすがた」と題したデータブックが沖縄県企画開発部企画調整室の編集、(社)沖縄県対米請求権事業協会の編集・発行で三年ごとに出版されている。色んな視点から沖縄県を検証するのに参考になるので一部を紹介したい。

 例えば、「就労環境」を見ると、平均年収は全国最下位の三百二十九万円、平均月収も同じく最下位の二十三万円程度。ちなみに一位の東京都では、平均年収が五百八十五万円、平均月収が四十二万円とその差は歴然だ。全国平均と比較しても七五%程度と依然として低い。

 加えて、「生活環境」で見ると、物価水準は全国平均を一〇〇とした場合、沖縄県は九六・四%、東京都は一一○・○%となり全国四六位で三・六%程度は低い。加えて特徴的なのは、一世帯当りの可処分所得は三百三十六万円と全国最下位にもかかわらず消費意欲を示す「平均消費性向」は全国九位の約八〇%と総じて高い。

 つまり、家庭に入る収入は少なくても消費意欲は高く、「買いたいものは買う」という県民資質が伺えるのではないか。結果として、一人当りの預貯金残高が全国平均七百六十九万円であるのに対し、全国最下位の三百七十七万円と約半分のレベルに甘んじているのが現状だ。

1、流動性の高い就労環境

 このような生活環境の中で問題になるのが完全失業率の高さであろう。但し他府県とは多少様子が違う。普通、就労環境が悪ければ、離職率、転職率は低くなって当然だが、離職率、転職率ともに全国トップなのだ。つまり、有効求人倍率、全国最下位の〇・二が示すように、思うように仕事は見つからないことは分っていても、簡単に転職、退職しているのだ。捉え方によっては辛抱が足りない県民性とも言えなくもない。いずれにしても流動性の高い就労環境なのである。

 加えて、問題なのは学校を卒業したての「新規学卒者の無職者比率」の高さだ。高卒者で全国平均の一〇%に対し二九%と約三倍、大卒者で全国平均の二二%に対し四三%と約二倍と就職浪人が極めて高い状況にある。今後、経済の後退感が広がれば、「完全失業率」「新規学卒者の無職者比率」ともにさらに高くなる。そこにも経済基盤の弱さが伺える。

 ところが、個人に焦点を当てるとまた様子が違う。仮に、息子、娘が就職浪人していても、言うほど心配していない。ましてや、公務員試験浪人であれば三年以上でも平気という人も珍しくないと聞く。親のほうには「子供が就職先を本土に求めて出ていくよりは、失業中でも手元に置きたい」という心理が働き、子のほうにも「周りも見ても就職浪人が珍しい状況でないから、そんなに気にならない」が実際のところであろう。基本的には親と子の馴れ合い構造が見て取れる。本来なら有効求人倍率の低さから判断しても積極的に県外に求職に出てしかるべき就労環境であろう。

2、消費型経済構造

 産業構造で見ると、「製造業構成比」が全国平均の二三・六%に対し五・九%と全国最下位。沖縄県は製造業が育ちにくい経済環境にあるのことは事実である。また、「建設業構成比」は全国平均の九・三%に対し一一・八%(全国十三位)と相対的に高いが、突出して高いこともない。むしろ特徴的なのは「流通業・サービス業構成比」が八三・三%と全国トップであり、完全な「消費型経済構造」であることだ。簡単に言えば、モノはつくらず移入した「商品を販売する」か又は「サービスを提供する」ことで経済が成り立っていることを示している。県民は揃ってその消費者なのである。

 この「消費型経済」が抱える問題点は、県民及び観光客などの移動人口の消費性向が旺盛なうちは発展するが、消費マインドが後退すると一騎に落ち込む可能性を持っているということだ。その意味でも、アメリカの同時多発テロの影響による観光客の相次ぐキャンセルは完全な赤信号と捉えるべきであろう。現状で二百億円の被害とまで言われるが、一説には、年間で見ればその三倍強の影響も懸念されるという人もおり、どこまで広がりを見せるかは計り知れない。いずれにしても消費型経済において移動人口が激減することは、あらゆる業種に影響がでることは間違えない。少なくとも県民にとって対岸の火事ではないことは心すべきであろう。

 ついては、観光客のキャンセル分については、県民である我々がホテル、観光施設、お土産品店、レストラン…に積極的に出かけていって観光気分をエンジョイしてみてはどうか。元々、消費マインドの高い県民だ、「頑張れ沖縄」をテーマに本気になれば、二十万人以上の人が動いてもおかしくない。現に私事だが、今年のクリスマス、年末年始は、県内のホテル、観光施設巡りを計画したいと思っており、個人でできることから始めたい。 (「観光とけいざい」2001年11月1日)


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