連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(33)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


流通業の憂鬱

 巨額の有利子負債を抱えるダイエーの再建策が先月の十八日にまとまり経営危機説に一応の終止符が打たれた。UFJ、富士、三井住友の主力三行が債権放棄と債務の株式化、優先株の全額減資で合計四千二百億円の金融支援を行うほか、一般株主の普通株式も五割減資するという内容だ。つまり、借金を資本に切り替えるウルト ラCなのである。ダイエーはこれを受け、新再建三カ年計画を策定、有利子負債一兆七千五百億円(ダイエーOMC分を除く)を、二〇〇五年二月末までに一兆円以下に減らす計画だ。銀行の負担になる債権放棄、債務の株式化が直接、負債額の削減につながるのはもちろんだが、ダイエーはこのほか、リクルート株やマルコー、イ チケンなど子会社売却や、福岡ドーム、ホテルなどの証券化によって目標を達成したいとしている。四月からのペイオフ実施を前に、金融システム不安から「二、三月危機」もささやかれる中、ダイエーの破たんが回避されたことは、政府、金融界一体となった取り組みの成果と評価に値するだろう。ところで、今回のダイエー再建 のポイントは、ダイエーホークスをベースとした福岡市民の地場基盤を持っていたからだ。そう考えると、これといった地場基盤を持たない青木建設が民事再生に追い込まれたのもうなずける。いずれにしても、県内卸売企業もホット一息というところであろう。

1、市民の声

 ただ、その中身については疑問視する声も少なくないことも事実。ダイエーホークス、ドーム球場、ホテルの福岡プロジェクトがその典型で、持ち株比率を減らすことで連結決算の対象から外し、有利子負債の削減を図ろうとしたとも言われている。子会社を切り捨て、ダイエー本体を優先しようとする「机上プラン」に対し、地 元福岡市民らから猛反発を受けた結果となった。それは本体の再建についても言える。確かに銀行の支援によって、ダイエーの資金面での負担は軽減される。しかし三カ年計画に盛りこまれた子会社売却がスムーズに運ぶかどうかは未知数。最大の問題は、小売業としてのダイエーの営業力の回復である。本業が良くならなくて再建 はありえないからだ。三カ年計画には、出血を続けている大型ディスカウント店のハイパーマート、コウズを中心に不採算店を約五十店閉鎖する方針も盛りこまれている。ただ、消費低迷とデフレによる商品単価の下落は今後も続く。いずれにしても新機軸を打ち出していかない限り、競争力回復は難しいと考えるのが妥当であろう。 とりあえず外科手術は施された。後は内科療法をどう加えていくかに注目すると同時に期待したい。

2、Kマート

 そんな中、アメリカのディスカウントストア業界二位のKマート は、「連邦破産法」の適用をシカゴの連邦破産裁判所に申請した。アメリカ小売業の破たんとしては最大規模となると言われている。ただ、ゼネラル・エレクトリック傘下のGEキャピタルから総額二十億ドルのつなぎ融資を確保しており、業務は当面、通常通りに 続ける公算だ。

 Kマートの取締役会は二十一日午後に破産法申請を承認した理由として、十一月〜一月期の収益が見通しを下回ったことが急激な流動性低下につながり、取引先の信頼が揺らいだことなどを挙げた。今後は、事業再編を「迅速に」進め、二○○三年までに再建を果たすことを目指すとしている。二千百十四の店舗のうち、業績の振 るわないものについては今後閉鎖に乗り出すと見られている。

 以上のことから、世界、日本、沖縄県を問わず小売業も大きな曲がり角に来ていると判断するのが順当であろう。どの企業でも成長することを念頭において経営しているのであって、成長論者が常識。問題なのは、全企業がそう考えることで過当競争になることだ。Kマートはここ数年、ディスカウントストア最大手のウォルマー ト・ストアーズに押され、市場シェアを失ってきた。昨年十二月の既存店売上高も前年同期比一%減と振るわなかった。取引先への七千八百万ドルの支払いが不履行となったことから、二十一日には食品卸売業大手のフレミングが、Kマートへの商品出荷を停止。破産法申請をせずに会社再建を目指す道を閉ざされた形となっていた。

3、聖域なき産業再編

 競争に負ければ企業は存続できないのは世の常。企業の規模、業種は問わず、その危険性を常にはらんでいると考えて経営すべき時代である。

 例えば、NTT西日本沖縄支店の事例でも約千人の在籍者のうち八百人を子会社に転籍・出向させ、同支店を二百人規模の五分の一に縮小する。加えて、転籍者は給与が約三割削減となるいわれている。このことは、社員にすれば青天の霹靂。個人的には同情もするが、これで終わったわけではない。これからがNTTにとって本 当の改革が問われることになろう。いずれにしても、どんな企業においても、もはや聖域など存在しない。

 これからは「危機意識を持ってプラス思考で行動する」企業に時代は見方する。頑張れ県内経営者! (「観光とけいざい」2002年2月1日)


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