連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(34)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


サラリーマン川柳

 第一生命主催で「サラリーマン川柳コンクール」が始まって十五年になるが、時代の風潮を如実に表して実に興味深い。そもそも川柳は、雑俳の一種。江戸時代から行なわれるようになった五・七・五の十七文字の短詩で、生活や世相を風刺・こっけい描写するのが特徴といわれている。今年も全国から応募のあった二万六百句の中から、優秀作百編がホームページに掲載され一般投票でベスト十 が決定される。今が一般投票期間中で、私も一票を投じてみた。今年の作品を見るとリストラ、給料カットなどサラリーマンを取り巻く厳しい就労環境を現してか哀愁漂う川柳が目立つ。そこで、私が特に気に入った七編を紹介しよう。

(1)教育論 そんなことより 教育ローン

(2)製造業 残業時間は  サービス業

(3)安定所 何度行っても 不安定

(4)親孝行 したい時には 職は無し

(5)「窓際」も いまや高嶺の 激戦区

(6)腰かけの つもりが今じゃ 命がけ

(7)小遣いも 「平日半額」 お父さん

 ほんの十七文字の世界だが、人の心を即座に掴む共感性に溢れ、どの作品も甲乙付けがたい説得力を持っている。加えて、ユーモアのセンスも抜群で教養の高さも伺えるから実に面白い。

1、 春闘

 さて、三月に入り春めいて日によっては初夏を思わせるほどの陽気となった。この時期になると労働組合を有する企業では、毎年恒例の春闘の準備に追われる。そこで、二月に産労総合研究所が発表した「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンスに関するアンケート」の結果を簡単に紹介したい。

(1) 春季賃上げは、「昨年を下回る」が約八割

(2) 「定昇」を見直す企業が約六割

(3) 昨年の「ベアゼロ」企業は、約五割と前年並み

(4) 人件費が「減少した」が五割超

 加えて、二〇〇二年春闘における労使の交渉課題として「ワークシェアリング」をあげている企業は一割に満たないことが調査結果で明らかとなった。一方、最も多かったのが「初任給の凍結」で約七割の企業が課題としてあげた。ついで多かったのが「賞与の業績格差拡大」で約四割であった。また、東京商工リサーチがとりまとめた二〇〇一年の全国企業倒産状況で、昨年、企業の倒産により 「被害」を受けた従業員の数は前年比五・五%増の二十二万六百八十人と過去最多を記録したことが明らかとなった。昨年一年間に倒産した企業の数は前年比二・一%増の一万九千百六十四件と厳しさが増していることが言える。いずれにしても「賃金が上がらない時代」から「賃金が総じて下がる時代」に突入していることは自明であろう。

 今後の経営課題としては、賃金総額は下げながらも頑張った社員には、賃金で刺激的なインセンティブを与える必要があることだ。単純に言えば、「一割の社員は思い切って昇給し、五割は昇給なし、四割は降給」ぐらいのことをしないと限られた原資で「インセンティブ給与制」は施行できないことは当然。さらに「稼ぐ人(一割)、安い人(七割)、余る人(二割)」と言われる中で、「稼ぐ人」の 割合を如何に増やすかが企業、社員とも問われている。労使が一致協力して真剣に取組む必要があろう。

2、デフレ対策

 そんな中、政府は先月二十七日の経済財政諮問会議で、総合デフレ対策を決定。焦点の金融システム安定化策では大手銀行などへの公的資金投入を視野に入れて不良債権処理を加速する方針を確認。日銀に対しては量的緩和の拡充など「思い切った金融政策」を要請した。小泉純一郎首相は会合終了後、記者団に対し「デフレ対策は、これで最後ではない。これからも必要な手立ては講じる」と述 べ、追加的なデフレ対策を検討する考えを示した。政府は今回の対策を「今後二年間でデフレを克服するための第一歩」と位置づけ

(1)経済活性化に向けた税制改革

(2)物価目標の強化

(3)不良債権問題の終結に向けた道筋の明確化

 などについて検討を深める考え。

 財政出動を含めた議論が活発になりそうだ。その為にも、県が進めようとしている新基幹産業づくりの柱としての「観光、IT、金融」の戦略的な予算獲得、法整備が急がれるであろう。中途半端な政策では、自由貿易地域の二の舞になる可能性が大きい。沖縄特別措置法に依存しても将来はない。「一国二制度的」ではなく、大胆で実効性のある「完全な一国二制度」を勝ち取り、特別自治区ぐ らいの発想はすべきであろう。「日本的発想」ではダメ、「シンガポール的発想」で大胆かつ細心な政策をうつべき時だ。いずれにしても、時代を先取りし、一日も早く「サラリーマン川柳」に明るさが見えるようにしたいものだ。 (「観光とけいざい」2002年3月1日)


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