連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(40)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


中国マーケット

 帝国データバンクが八月十四日に発表した七月の全国企業倒産状況によると、倒産件数は前年同月より十六%多い一千八百十四件。月間で今年最多を記録するとともに、七月の件数としては戦後最悪となった。デフレによる販売不振を背景とした倒産が目立つ。「倒産は本格的に急増する兆しを見せている」と指摘。年末にかけて年間二万件を大きく上回る戦後最悪のペースで推移すると予測している。

 一方、負債総額も前年同月比六一%増の一兆二千三十五億円となり一兆円を超えた。不況型の倒産が一千三百七十六件と前年より二八%も増加、全体の四分の三を占め、中でも「販売不振」や「業界不振」、「設備投資失敗」を原因とする倒産が急増。東証一部上場の大日本土木やテザックが相次いで倒産するなど、大型の倒産が目立ったのも特徴だ。

 上場企業の倒産は、今年に入ってこれで二十四件となった。いずれにしても、今年は戦後最悪の倒産ペースであることを再認識する必要があろう。デフレ化の波は留まるところを知らず、長いトンネルを抜けきれないまま耐えきれなくなっての結果なのだ。総じて、既存事業の衰退傾向を穴埋めするための新基軸を打出さなければ「ジリ貧型経営」に陥る危険性が高いことを示唆している。

1、アンケート

 有名ビジネス誌の東洋経済が、中国に進出している日本企業を対象に行った「中国ビジネスに関するアンケート結果」を見ると以下の内容。「中国活用法の中でもっとも重要度の高いものは」の問いに対し、「安い労働を活用したコスト削減」が四五・三%とトップ、次いで「巨大な市場を活用した売上拡大」が三三・三%となった。

 興味深かったのは、「今後三〜五年後をにらんで、貴社の『中国活用法』として重度度が高くなりそうなのは何ですか」(複数回答)の問いに対しては、「安い労働を活用したコスト削減」が四八・一%であるのに対し、「巨大な市場を活用した売上拡大」が六四・三%と逆転していることだ。

 つまり、近い将来、中国の魅力が生産拠点からマーケットとしての価値に移行することは確実であろう。

2、ワタベ・ウエディング

 京都に本社を置き、国内外の挙式プロディース、写真撮影、ウエディングドレス販売など結婚に関するあらゆる事業を展開する総合ブライダル企業の最大手がワタベウェディングという東証二部上場企業だ。

 中国にウエディングドレスの生産拠点開発で進出し、結果として新マーケット開発に成功した事例の典型。元々は貸衣装が中心であったが、十年前にその時代も終わるとトップが判断し、上海に視察にきて縫製工場をつくることを即決断。九四年より工場を稼動させ現地法人ができて八年が経過した。その間、五名の従業員から開始して現在は三百三十名にまで急成長した。

 ちなみに日本人は総経理、副総経理、技術指導の女性一名の計三名しかいない。その後の紆余曲折はあるものの、現地法人の業績は売上高十億円、経常利益二億円、売上高経常利益率二〇%と超優良企業にまで成功している。

3、写真撮影

 右記に関する大阪国際ビジネス振興協会の面白いレポートがあるので紹介したい。上海では、晴れて結ばれたカップルはその記念に二人だけの写真を撮り、豪華なアルバムにして保存しておくことが一般的。ワタベウェディングでも貸衣装や美容、着付けだけでなくドレス製作、写真撮影などを含め婚礼に関する総合アドバイザーとしてその業務範囲を広げた。

 結婚するカップルにとって一番力点を置くのがこのアルバム製作。アルバムは二十枚ほどの厚いもの。衣装も女性ならウエディングドレスから始まって、イブニングドレス、チャイナドレス、フォーマル等々、日本の和服も人気が高い。彼女たちは華麗に変身し、少し濃い目の、立体感を強調した化粧をして五つあるスタジオでそれぞれセットが組んである舞台に登場する。男性も負けずと燕尾服、タキシー ドに身を包み、ボウタイにシルクハット、ステッキを片手にポーズをとる。紋付袴に扇子といった出で立ちにもなる。近年、上海ではこのようなサービスに対する需要が高くなった。いわば精神的充足への欲求、より付加価値の高いモノへの移行が現れてきた証拠であろう。

 当該企業には一日約二十五組のカップルが来店し、二人の将来の夢を実現させようと係員に相談を持ちかけており、大変な繁盛ぶりとのこと。

 そこでポイントになるのが、給料と費用との関係。ちなみに平均月給が一千五百元であるのに対し、四千元〜六千元という大金を写真撮影に費やすのである。我々、日本人には考えられないことであろう。

 このことから判断しても、沖縄県の観光資源はその戦略如何によって、今後の成長マーケットを取り込める可能性は極めて大きいのではないか。いずれにしても、今回紹介した企業の先見性には、つくづく感心させられる。 (「観光とけいざい」2002年9月1日号)


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