連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(48)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


着眼力が勝負の時代!

 今年のゴールデンウィークは、新型肺炎SARSの影響などで、海外旅行に出かける人の数が激減した。そんな中、需要回復の起爆剤にと、大手旅行会社が超格安の航空券を販売したニュースにはビックリした。

 東京、ソウルの往復航空券が五千六百円。ハワイ五日間がホテル代込みで二万九千八百円。JTBの発表によると、東京都内四つの支店で超格安商品を売り出したが、このうち池袋支店で、十五人ほどの徹夜組も出たほどの盛況ぶりとのことであった。また、各支店に用意された百席分の格安旅行商品は、午前十時の開店と同時にほぼ完売した。当該企業では、SARS問題で海外旅行の客足は落 ち込んでいるが、潜在ニーズは冷えていないと見て、夏休みシーズンに期待を寄せているとのことである。また、海外旅行へ行く人が激減したこともあいまって、都心と成田空港を結ぶ特急「成田エクスプレス」の利用者が四二%も激減した。いずれにしても、旅行関連企業にとっては、厳しいGWであったことは間違いないと言えるであろう。

1、沖縄は好調

 そんな状況の中、沖縄関連路線のGW期間中の搭乗実績の発表を見ると、総じて好調であったようだ。本土、県内路線を合わせた総旅客数は報道によると前年同期比八・六%増の三十七万四千人。曜日の並びが悪く、長期休暇が取りにくいことから利用減も懸念されていたが、SARSの影響で海外からの振り替えも一部あり、入域客数は、総じて好調に推移した。この結果から判断しても、沖縄観光の魅力度が着実にアップしていると言えるであろう。その意味では、今年も観光客数が安定的に右肩上がりで推移すると予想されるであろう。ただし、そこで問題となるのが、単価の動向であろう。「数は増えて労多く、単価下落して収益性悪化」が、ホテル、レンタカー、お土産品店などの観光関連企業の現状のようだ。

 「琉球銀行調査部の県内企業へのアンケート」によると、物価が持続的に下落するデフレを実感している企業が九五%以上に上るとの結果発表には、正直ハッとした。特にホテル、ゴルフ場、観光施設といった観光関連業界が、デフレ進行を痛感しているとのことである。また、詳細では、現在の経営環境から「かなりデフレ」と回答した企業は観光関連が最も多く四一・七%、次いで建設関連の二九・四%、消費関連の一二・五%で、全体では二九・五%であった。そして、「ややデフレ」と回答した企業を合わせると計九五・四%が物価下落を感じているというのが実情のようである。いずれにしても、観光関連企業を中心に、県内でもデフレ傾向に歯止めがかかっていないことが伺える興味深いデータである。

2、火星の接近

 このようなデフレ環境で生き抜くには、やはり着眼力が勝負になろう。例えば、県内大手旅行会社が売り出したダイバー向け旅行商品が面白い。簡単に内容を説明すれば、ダイビングツアーの目的に、「珊瑚礁の保護」を謳い、単に、ダイビングをするだけではなく、サンゴを移植することで自然保護に貢献しようと言うのである。この考え方が、ツアー客との共感性を生み、好評を得た。この事例のように、考えれば材料はいっぱいあると思う。例えば、今年が「世紀的、火星大接近」となることを承知の方は多いと思う。火星と地球の接近は二年二ヶ月毎に起きると言われているが、二十世紀に起こった最大の「大接近」は一九二四年であった。今年は紀元後最大の最接近となると言われている。

 しかも、あと数百年、今年を超える大接近はないとまで言われ、七月から九月が見ごろだそうである。この「ミレニアム大接近」を夏休みの学習ツアーなどで、県内の離島が「日本一の天体ショーの島」などと謡えば、天体観測に興味のある家族連れが増えるのではないか。

 いずれにしても、今年の夏の夜半には空を見上げる人が、全世界で多くなるとことであろう。また、素晴らしい夜空がある我が県は、特に今年は幸せだ。右記の内容は、いささか単純かもしれないが、ことの大小に囚われず色んなアイデアを出して、検証し、組み立て、実行してみることが重要なのである。(「観光とけいざい」第634号 2003年5月合併号)


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