連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(49)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


モナコ王国の偉大さ

 今月一日、南フランスのモナコ王国の公道を全面封鎖し、伝統のモナコGPが開催された。インディ五○○、ル・マン二四時間と並ぶ世界三大レースに数えられる世界一のモータースポーツである。

 ちなみに、モナコは、世界で二番目に小さな王国で、モンテカルロにある国立のカジノは有名で、世界中から裕福な紳士淑女が集まるという。また、その収入で国民には税金がかからないタックスへイブンの地でも有名である。故に、人口は三万人の小国だが、お金持ちが多いことでも知られている。スポーツ界でダントツの高収入のF1レーサーも住居を構える世界一有名な小王国なのである。また、コートダジュールの海岸沿いを、ガードレールをかすめて走り抜けるモンテカルロ市街地 コースは、勝者を選ぶドライバーズ・サーキットとして名高い。

 現役ではミハエル・シューマッハがこれまで五勝と、モナコマイスターの称号を手中に収めている。加えて、今年のモナコGPは、一九九四年にサンマリノGP(イタリア)の決勝で事故死したアイルトン・セナの世界記録の六勝に並ぶことができるか、世界中の注目を集めたレースでもあった。

1、世界記録

 予選タイムで決められるスタート順位で一位のポール・ポジションを取ったのは、皮肉なことに弟のラルフ・シューマッハであった。レースはポールポジションからスタートしたラルフ・シューマッハが1回目のピットストップ(二十周終了時)までトップを走行するが、上位陣が1回目のストップを終えた三十一周以降、J]P・モントーヤがトップに浮上。二番手からスタートしたキミ・ライッコネンとのトップ争いは、延々四十七周もの間続き、○・六秒抑えきったJ]P・モントーヤ が今シーズンの初優勝を飾った。今回のグランプリで故アイルトン・セナの持つモナコ通算六勝に挑戦したミハエル・シューマッハ(フェラーリ)は、予選五番手からのスタートが響き、序盤でトップグループとの差が開くと、一回目のピットストップで三番手に浮上したものの、その後の追い上げも実らず三位でフィニッシュ。悲願のモナコ六勝は来年以降に持ち越しとなった。

 ところで、一連のF1レースをテレビ観戦して勝敗のポイントに感じたのは、

 @一般道路を約三百kmで二時間も疾走するレーサーにかかるプレッシャーのもの凄さ

 Aピットストップのスタッフの零コンマ一秒を争う集中力とチームワークの素晴らしさ

 Bスタート時点のポールポジションを取る重要性の再認識

 の三点である。

2、ポールポジション

 F1は、チーム(組織)で仕事をすることの本質が凝縮されているスポーツに思えた。まず、市街地にガードレールを設置しただけのコースは、そこいらに危険ポジションだらけである。

 当然のことながら、ドライバーにとっては、最大緊張の連続走行にならざるを得ない。少しでも判断を誤ればクラッシュにつながる可能性が高い。まさしく、一寸さきは闇なのだ。その状況を二時間弱も耐えられるF1レーサーの精神力は超人的なものだ。このことを、企業経営に例えれば、資金繰りに窮して、日々の資金決済に追われ眠れない日々が続く状況に似ている。一回でも不当たりを出せば、信用失墜しクラッシュ(倒産)の憂き目にあうからだ。

 二点目は、チームスタッフ(社員)の仕事に対する執念、集中力、全体優先の考え方、役割意識など常にベストを出し尽くす考え方の重要性である。○・五秒違えば順位が入れ替わると言われる世界では、まさしく決定的瞬間の八秒前後なのである。結局、日ごろの鍛錬が勝負の分け目になるのだろう。

 三点目は、極限を争う勝負では、ポール・ポジションの如何が勝敗を決める大きな要素になることだ。やはり、決勝スタート前の予選が勝敗の重要ポイントとなる。つまり、最終決戦の前にある程度の勝負はついているのも事実なのである。

 事業経営で言えば、事前準備に基づく勝つための条件整備が勝敗のポイントになるのと同じだ。いずれにしても、今回、BMWウィリアムズ・チームの勝利は一九八三年のケケ・ロズベルグ以来、実に二十年ぶりの優勝であり、ドライバーのテクニック、精神力とチームのベストパフォーマンスが極限にまで達した結果なのである。いずれにしてもF1は、チームで事を成す難しさを実感させてくれる世界最高のモーター・スポーツと感じた。

 それだからこそ、レース期間中は人口の十倍に当たる三十万人の観戦者が集まり、世界中の人々がTVに釘付けになるのであろう。その意味で、当地沖縄県でも、世界に注目される画期的イベントが実現できればとも思った。 (「観光とけいざい」第635号 2003年6月1日号)


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