連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(50)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


インターンシップ制

 最近では沖縄県下でも「インターシップ制」という名称を聞くようになったが、まだまだ一般的ではない。アメリカでは既に七〜八割の学生が入社前に経験している制度で、国内でも就職協定の廃止に伴い、導入する企業が出始めている。政府でも、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の三省共同で基本的考え方が次のように示されている。

 「インターンシップとは、在学中に企業内において実習、研修的な就業体験をする制度のことである」。つまり、本来は、学生の実習の場として、職場体験をすることがこの制度の主旨であるが、企業、学生の双方にとって少なからずメリットがあり少しずつ広がりを見せている。

 企業にとっては、@学生の早期囲い込み化A早期離職の防止B教育、研修負担の低減C社内の刺激、活性化などのメリットがあり、また学生側にとっても、@就業体験A企業・業界・職務研究B職業意識・職業観の醸成などにつながっている。加えて、インターンシップ制を導入する手順を紹介すると以下の五段階のステップが一般的である。

(1)現在既に入社している新規学卒者の出身学校(高校、専門学校、大学)および採用狙い先校の学生課へ、インターンシップ制の導入を告知する。

(2)インターンシップの対象学生は、卒業前年度の学生とし、今年の夏休み期間(七〜九月)の三ヵ月をあてる。

(3)研修生扱いとし、事前に会社および担当業務、職務のレクチャー、説明会を実施する。

(4)費用、経費は「交通費+日当」程度とし、参加学生へは研修レポート等の提出を求める。

(5)終了後、在学中の学生課および担当教授等への報告を行い、人脈(パイプ)を築き上げていく。

 

1、背景および趣旨

 国際化・情報化の進展や産業構造の変化などにともない、求められる人材も大きく変わってきている。大学においては、創造的人材の育成を目指して教育機能の強化に努めているが、その結果として、産学連携による人材育成の一形態であるインターンシップ制に注目が集まっているのである。また、教育サイドの意義としては、アカデミックな教育研究と社会における実地の経験を結びつけることが可能になる。

 さらに、学生にとっては、主体的な職業選択や、高い就業意識の育成に役立つ企業の現場を体験することで、独創性と未知の分野に挑戦する意欲をもった人材の育成にも資することができよう。また、企業サイドの意義としては、実社会への適応能力の高い実践的な人材の育成が可能になる。加えて大学にとっては、産業界等のニーズを把握し教育に反映させていく機会となる企業などの実態、とくに中小企業やベンチャー企業に関し、学生の理解を促すひとつの契機となる。以上のことが背景で導入が活発化されつつある。

 ところで、インターンシップ制は大きく分けて三つに分類できる。@大学等における正規の教育課程とするA授業科目ではないが学校行事や課外活動等と位置付けるB大学等とは無関係に、企業が実施するインターンシップ・プログラムに学生が個人的に参加する等が挙げられる。いずれにしても基本的には、大学等と企業との信頼関係をベースとした連携が大前提となろう。

2、その他の採用戦略

 また右記の制度以外でも、ホームページを開設し、メールエントリーを認める方法もある。実質上の即効性は期待できない面もあるが、企業イメージ、広告、PRとして学生、学校、社会へ告知していく。また、開設時に就職情報誌等への大々的なPRを行うことができる。また、オープンエントリー制(学歴不問制)による募集方法も考えられる。

 応募者に対して、学校名、学歴などを記載せずに、「何ができるのか」「どのような経験を積んできたのか」「どのような勉強をし、または資格を持っているのか」「わが社で何をしたいのか」を中心にレポートを提出させ、配属希望職種、部門の担当責任者による面接面談を重視した採用方法のことである。

 勿論、その前提として、基礎学力、知識、一般常識に関するペーパーテスト、適性検査での最低レベル到達者であることが求められる。さまざまな採用方式が取られるようになって来たが、基本は優秀な人材を企業が求めていることは、就職氷河期でも変わらないことに起因する。

 いずれにしても、インターシップ制を導入するのであれば、夏休みに実施するのが一般的であり、必要とあらば今月がタイムリミットであり、即動くべきであろう。企業の中には、「受け入れ態勢が難しい」と敬遠する企業も少なくないが、むしろ総務人事機能、教育体制の弱体を反省すべきであろう。「できる人材とそうでない人材では、生産性において三倍以上の差が出る」と言われており、「企業は人なり」は企業経営の原理原則だ。(「観光とけいざい」第637号 2003年7月1日号)


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