連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(56)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


今年の業種別経営課題のポイント

 新年明けましておめでとうございます。昨年に引き続き、今年も観光業界が県内リーディング産業として県経済の牽引役になることを祈念いたします。

 さて、新春に当たり、今年の経営課題はなにかを業種別をベースに紹介したい。ついては、四十一年間、全国縦断で恒例開催している弊社タナベ経営の「経営戦略セミナー」からその一部内容を列挙し、そして、各々の立場で今年を占っていただければ幸いである。

 セミナーは全体テーマとして「グローバル競争時代のイノベーション戦略」を掲げ、第1講では「二〇〇四年の経済動向とインパクトポイント」と題して経済状況を分析整理し、第2講では「業種別着眼と経営機能・テーマ別実践具体策」と題して改善具体策を展開している。いずれにしても今年も県内企業の回復基調に、拍車をかけてさらなる元気地域になることを是非とも期待したい。

1、建設業

 さて、業種別には住宅・建設業、製造業、流通業、サービス業、小売業、外食業に分けて論じている。

 まず、建設業であるが過去七年間に渡って市場規模の縮小が続いており、この傾向は今後も変わらないであろう。対策としては、やはり他社との差別化が基本となる。内部要因から見れば、ポイントは二点。技術開発力をベースにブランド力を追求することと、飽くなきローコスト(販売価格の坪単価)の追求を推進することである。また、外部要因から見れば、新規市場を開拓すべく、周辺事業の土木リニューアル、住宅リフォーム、ビルリニューアルなどリフォーム市場に進出する。また新技術を開発し、屋 上緑化、壁面緑化、リサイクルなどの環境ビジネスに進出する。さらに、新規事業の立ち上げとして、農業法人運営や介護事業が有望であろう。いずれにしても、既存事業が縮小傾向にあり、伸びる事業に重点をシフトせざるを得ないであろう。ついては、「どの分野に出るのか」「その実行体制はどう組み立てるのか」がポイントになる。

2、卸売業

 経済の回復基調は見られてもデフレ傾向はそう簡単には収まらないと考えるべきであろう。そのことは、総じて卸売業に対する「コストダウン要請」と結論づけられる。ついては、経営力格差による優勝劣敗の進行になろう。その対策のポイントは5点。@顧客の問題解決力のアップA卸売業の枠を超えたメーカー、小売への進出B場合によっては、同業他社とネットワークを結ぶC物流体制の抜本的改善D情報提供力の強化。言われて久しい内容だが、できていない企業が多い。結果として、勝ち組、負け組 みの明暗が顕著になっていると言えるであろう。

3、サービス業

 一言でサービス業と言っても、ホテル事業をはじめその事業領域は多岐に渡り、つかみ所がないのも事実であろうが、その成功キーワードは、@女性からの「共感」A期待を超える「感動」Bマニュアル以上の「体感・体験」C固定客・リピート客づくりの強化。また、今後も成長が見込まれるサービス業としては「5コウ産業=旅行、学校、代行、健康、不幸(葬儀)」、加えて「環境」などが挙げられる。「すべての事業はサービス業」と言われるように、社員教育レベルが企業の命運を分ける基本ポイントになる。やは り、人材の質でライバルとの格差をつけることが永続的な業績基盤を構築する本質となろう。

4、小売業

 小売業も、店舗を配して集客するタイプとインターネット、電話を駆使した通信販売のタイプに分類できる。伸びる小売業の条件は、「安さ」と「品揃え」が基本であるが、単に「安さ」といっても二つの意味がある。ナショナルブランド商品価格の相対比較で価格が低いものと、ノーブランド商品のストレートな安さがある。要は、その二つの組み合わせの妙がポイントとなる。あるいは、ホームセンターとスーパーマーケットを組み合わせたような「スーパーセンター」も今後の注目株であろう。その場合も、食 料品はスーパーマーケットを超え、衣料品は総合スーパーを超え、ノンフーズ部門はホームセンターを超えた「安さ」と「品揃え」が特徴でなければならない。いずれにしても、消費者から見ての「居心地の良さ」を如何に演出するかがポイントとなろう。

5、外食産業

 売上、利益ともに伸びている企業は、商品開発を活発に行い、かつ商品のライフサイクルが短い。また、こだわり(健康志向、素材、調理法等)をもっておりアピール力が強い。加えて、店長人材の育成がポイントとなる。店舗を有する業種のすべてに通じることだが、人材の成長スピード以上の出店は本末転倒なのである。店舗格差が企業業績の足かせになることは間違いないであろう。加えて、外食産業の基本として、売上に占める「食材原価」と「人件費」の割合を示す「F/Lコスト(Food & Labor cost)比率」の徹底管理が安定業績のポイントとなる。

6、製造業

 最後にメーカー(製造業)のポイントは、徹底して県外に目を向け沖縄を飛び出すことを熱望することがポイントになる。その意味では、県外の売上比率が八〇%を超えることが一つの目安となる。今後、沖縄のブランド化を背景に成長が一番期待できる業種と言えよう。

 いずれにしても、県内企業にとって、今年、来年が勝負の年となるであろう。その意味でも、経営陣の「戦略構築力」とその他幹部陣の「人材育成力」が、企業づくりの基本であり、本質と考えられる。原点回帰の精神で二〇〇四年を是非とも飛躍の年にしていただきたい。 (「観光とけいざい」第648号 2004年1月1日号)


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