連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(57)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


アカデミー賞に見る日本人の誇り

 最近、日本人として誇らしく思うことは、世界で「武士道」に対する関心が高まっていることである。

 世界中の映画ファンが注目する映画の祭典「第七十六回アカデミー賞」の候補が先月二十七日に発表され、「ラスト・サムライ」の渡辺謙が助演男優賞にノミネートされた。前哨戦と言われるゴールデングローブ賞では、「戦場にかける橋」(一九五七年)の早川雪洲以来四十六年ぶりに同じく渡辺謙がノミネートされたが、惜しくも助演男優賞を受賞したのは、上映中の「ミスティック・リバー」のティム・トビンスだった。

 ちなみに、日本出身の俳優がアカデミー賞の助演男優賞にノミネートされたのは「砲艦サンパブロ」の岩松信以来三十七年ぶり三回目。

 もし受賞ともなれば「サヨナラ」のナンシー梅木以来四十七年ぶりの快挙となる。アカデミー賞の会員六千名がどのような投票するか、大いに期待が集まるところであろう。ちなみに、アカデミー賞授賞式は、日本時間の三月一日の午前一○時三○分から開催させる。

 さらに今回は、山田洋次監督の「たそがれ清兵護衛」(トワイライト・サムライ)が、外国語映画賞にノミネートされ、さらに期待が広がっている。

 いずれにしても、昔の日本人の生き様、思想に共感し、憧れ、個人においては生き方を、組織においてはリーダーシップのあり方、強い組織の構築のあり方を学んでいるのであろう。

1、武士道

 ちなみに「ラスト・サムライ」の思想のベースになっているのが、盛岡市出身の教育者で国際連盟事務次長を務め、五千円札の絵柄になっている新渡戸稲造が、一八九九年に米国で出版した「武士道」である。

 その影響もあってか、国内でも昨年末から全国の書店でベストセラー上位に入る売上げを記録していると言う。世界十七ヶ国語に翻訳されており、国内では、最も古くから発行されている岩波書店の文庫「武士道」のほか、分かりやすい現代語で書かれたものなど二十種類以上の関連書籍が出版されているほどだ。

 外国人が学ぼうと言うのだから、現代日本人が「武士道の精神」に学ぶことは多いはずであろう。

 武士道は、「義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」「忠義」の七つの規範が大きな柱になっている。

 まず、「義」だが、単純に義理ということではなく、「常に大義(目的)を明確にする」ことであり、簡単に言えば「何事にも筋を通す」ことになろう。

 続いて「勇」は、「義」に基づいた「潔い姿勢」「的確な判断」をすることを意味する。

 また、「仁」は、「慈悲、博愛の心を持つ」ことを意味し、「武士の情け」と言われる所以である。

 また、「礼」は、「礼節を重んじる」ことであり、加えて「思いやりの心」を意味する。

 また、「誠」は、「言行一致」、簡単に言えば「嘘をつかない」ということである。

 続いて、「名誉」は、「恥の文化」の根源になるもので、「正しいプライド」と言えよう。

 最後の、「忠義」は、まさしく「組織に対する忠誠心」であり、全体優先の考え方を推奨したものである。

2、男らしい人物像

 百年を経た今でも、外国人から見て崇高な思想に映る「武士道」の七つの規範にあらためて組織人のあるべき姿を見るような気がする。いずれにしても、組織のリーダーとそこに属するすべての人が七つの規範を共有できるのなら、これ以上に強固な組織体制はないかもしれない。

 ともあれ四十七年ぶりのアカデミー助演男優賞の受賞という快挙を見たいものだ。そうなれば、昨今、世界に向けて国内観光活性化を目的に、小泉首相が出演してTVコマーシャルが放映されているようだが、「侍(サムライ)」のイメージがある渡辺謙が担当するほうが、よっぽど効果が高いかもしれない。

 少なくとも、個々人として共感できるかは別として、「武士道」の基本をあらためて学んでみることは必要だと思う。仮に、外国人に武士道の考え方を問われた場合、全く知らないでは、イメージダウンともなろう。

 いずれにしても、外国人からして「サムライ」が最も「男らしい人物像」に映るようである。とても誇らしいことだ。 (「観光とけいざい」第650号 2004年2月1日号)


 |  連載58 |  HOME |
本ホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は沖縄観光速報社に帰属します。
Copyright (c) 1996 Okinawa Kankou Sokuhousya. No reproduction or republication without permission.