連載 ガンバレ県内企業 勝ち組への挑戦(60)
大嶺正行(タナベ経営沖縄支社長)


ストレス社会とマネジメント

 不透明な経済環境の中で、経営者はもちろんのこと従業員のストレスもますます増える可能性があろう。右肩上り経済下には、個々の社員がそこそこの力を出していれば、企業はそれなりの業績を上げることができた。しかし、右肩上り経済が終焉した今、人を増やすことができない以上、現在いる従業員に持てる最高のパフォーマンスを発揮してもらうことが二十一世紀勝ち残りの条件となる。

 そのために、経営陣がやるべきヒト、モノ、カネ、情報の環境設備の中で、効果的であると考えられるのが「メンタルヘルス活動」であろう。要は、従業員が持てる最高の能力を発揮するための障害となっているストレス・不満・不平・悩み・怒りを可能な限り取り除き、健康で明るく活き活きと働らいてもらい、結果として業績ロス・経営ロスを回避することだ。

 「右肩上り経済の終焉」→「企業間競争激化」→「勝ち残り組三割と負け組七割の衰退」→「負け組のリストラクチュアリング」→「固定費の削減=限られた原資の中から人件費分配」→「日本的経営の崩壊@終身雇用制度の崩壊A平等から公平へ。年功序列型賃金の崩壊B努力主義から成果主義へ」といった流れの中で、ビジネスパーソンのストレスはますます増加しつつあるのが現実。

1、ビジネスマンのストレス

 「健康体力づくり事業財団」が行ったストレス意識調査によると、以下の内容である。

(1)ストレスを感じている人を年齢別に見ると、三十代が六八%と最も高く、中間管理職のつらさがうかがえる。次いで五十代(五九%)、二十代(五八%)が続く。女性も三十代が六六%でトップ。

(2)職業別では、「経営職・管理職」、「事務・専門職」、「有職主婦」のそれぞれの階層の六割以上がストレスを訴えている。

(3)ストレスの内容は、「仕事そのもの」、「職場内の人づきあい」、「コンピュータ」、「将来に対する不安」等が多い。

 そもそも、ストレスとは物理用語で、物体に刺激・圧力が加わった時、その内部にできるひずみのことであるが、今では生物に与える刺激を表す代名詞となっている。要は、ストレスは外部から加わる刺激の種類とその強さ、そして受けとめる側の能力によってその大きさが決まる。結果として、対応能力において個人差が大きいのも事実である。

2、管理職の対応

 管理職とは「人を使って業績を上げる人」だ。うまく人を動かすには、まず部下の「ストレス受けとめ能力」のキャパシティを、個々に把握することが肝心。次に、部下のその受けとめ能力に応じ、刺激の強さを調整すること、そして受け入れ能力の強化を図っていくことが重要となる。

(1)部下のストレス受けとめ能力の把握

 同じ刺激を受けても、人によりその反応は異なる。一般論として、発憤材料になるケースもあるし、別の人にとっては悪材料になることもある。例えば、昇進は一般的に喜ばしい出来事であるが、「昇進うつ病」になる人もいる。また、同じことが起こったとしても、その時々の体調の好不調、気分のよしあし、立場、家庭環境、年齢等。状況により受けとめ方は大きく異なる。従って、常々、部下の顔色、態度、行動といった身体言語を察知する感受性を磨くことが、ストレスの受けとめ能力を把握する第一歩である。

 また、弊社では性格能力判定という独自の心理テストを二十年以上実施しているが、性格特性の情動性、抑うつ性、神経質、劣等感という項目の度合いを見れば、ある程度その人のストレスの状態、ストレスを受けとめる能力を知ることができる。

(2)部下の受けとめ能力に応じ、刺激の強さを調整する

 部下のストレス受けとめ能力が把握できれば、次はその刺激の強さを調整することである。指示の出し方、そのタイミング、そして原因量の調整である。

(3)ストレス受け入れ能力の強化

 ストレス受け入れ能力を強化するには、基本的にはより強いストレスを体験し、それを突破することである。それは、筋力を強化することに相当し、徐々に重いバーベルで負荷を与え、トレーニングしていくのに似ている。例えば、人間関係が原因で悩む事になればチャンスととらえ、人間関係を良好に保つためのトータル能力向上を図る必要があることを本人に気づかせるきっかけであると認識すべきである。ビジネスにストレスはつきもの、上手に付合う事が生産性向上であり、人間力を付ける要因になろう。

 いずれにしても、トップ、幹部陣が社員に対しどれだけ関心を持てるかが勝負である。常に部下に愛情を持って観察し、「一二〇%の負荷」をイメージすること。そして、フォローすることが肝心であろう。第一歩として、休日明けにリフレッシュできているか気にかけてみてはどうか。ストレス社会では、そのコントロールもマネジャーの基本業務なのである。

(五年間続いた大嶺正行氏連載「頑張れ県内企業・勝ち組への挑戦」のご愛読ありがとうございました。連載は今号でいったん休載し、しばらく充電期間をおきます。リフレッシュ再開を期待しています。本紙編集部)(「観光とけいざい」第656号 2004年5月合併号)


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