第3次沖縄県観光振興基本計画(概要)



 沖縄県は12月(1992年)に第三次「沖縄県観光振興基本計画」を策定した。2001年まで沖縄観光のハード・ソフト両面の充実をカバーするもので、計画終了年度の観光客数を500〜600万人と見込み、先に策定されたリゾート沖縄マスタープラン、第3次沖縄振興基本計画の趣旨にそって細かい対応を計画。今後の方針を詳しくまとめている。本紙はこれを特別資料とし、その「概要」を掲載する。


(インターネット版注:1996年9月14日現在、計画策定時点とは大きく環境が異なりました。目標の500〜600万人は下限の500万人が一人歩きしている状態。それよりも、計画時には全く触れられなかった米軍基地問題にともなう沖縄振興策が、政府の強力な取り組みもあって新たな局面を迎えています。計画の再構築が必要となりました。具体的には国策によるリゾート開発計画などが新たに策定されるべきであると考えます。沖縄観光速報社)

T総説

1.計画策定の意義

 本計画は@余暇時代の到来に対応して、国民の新しいライフスタイルの創造展開の場としての優れた国際的リゾート沖縄の姿を描くことAリゾート産業を21世紀の豊かな沖縄社会の形成に向けた戦略的産業の一つとして位置付け、その展開方策を明かにすることBリゾート開発の現状を踏まえ、全県的な見地から適切なリゾート開発のあり方を示し、秩序と調和のとれたリゾート沖縄の望まれる姿を描くことにその策定の意義がある。

2.計画の性格

 この計画は、第四次全国総合開発計画及び沖縄振興開発計画との関係に配慮しつつ、観光・リゾート開発を展開するに当たっての基本的課題、基本方向及び基本施策を明かにするものである。したがって、公共部門においては各々の関連施策事業を展開するにあたって、また民間部門においてはその自主的な活動の指針としての性格をもつものである。

3.計画の目標

 この計画は、本県の優れた地域特性を最大限に活用し、環太平洋リゾート圏における国際的規模の観光・保養地域の形成を図ることを目標とする。      

4.計画の期間

 この計画の期間は、長期的展望に立ちつつ、平成4年度から平成13年度を目標年度とする。

U計画の背景

1.わが国経済社会における観光・リゾートの動向

(1)経済社会の動向

ア 余暇の増大への対応

 我が国においては、労働時間の短縮と高齢化の着実な進展により、国民の余暇時間の増大が見込まれている。

 また、ライフスタイルの変化に対応して国民の間に自然とのふれあい、健康の維持・増進、創造的活動、地域・世代をこえた交流に対するニーズが高まってきており、こうした余暇活動に対応できる余暇空間としてのリゾート地域を整備し、人生80年代にふさわしいゆとりある国民生活の実現を図ることが期待されている。

イ 地域振興策としてのリゾート開発

 近年における国際化、情報化、経済のソフト化・サービス化の進展等による我が国産業構造の変化を背景に、それまで縮小していた地域間格差が昭和50年代の前半ごろから拡大してきており、均衡のとれた地域振興が緊急の課題となっている。一方、従来の工業開発を中心とした地域開発にか げりがでてきていることもあり、今後は大幅な伸びの見込まれる第三次産業を中心とする地域の振興が求められ、リゾート開発への期待が大きくなってきている。

ウ 内需振興方策としてのリゾート開発への期待

我が国経済は外需に大きく依存してきたことから、巨額な経済収支の黒字と対外経済摩擦を生じ、その是正が求められている。

 このため、輸出主導型経済を内需主導型へと展開することがきゅうむとなっており、リゾート開発は内需振興の旗手として対外不均衡の是正に役立ち、国際強調にも資するものとして期待が大きい。

2.本県におけるリゾート開発の必要性

(1)リーディング産業としてのリゾート産業への期待

 本県の経済社会は、復帰後社会資本の着実な整備とともに、県民所得の全国との格差も縮小されつつあるが、もう一つの柱である経済の自立的な発展は、依然として課題を抱えたままである。すなわち、経常的な移入超過に加えて、財政に大きく依存し、地域特性を生かした産業の振興が後れ ており、失業が高く、所得水準は全国最下位にある。

 したがって、将来性のある基幹産業を早急に育成する必要に迫られており、しかも、その基幹産業は産業自体の規模が大きく、他産業への波及効果が大きいことが必要である。

 リゾート産業はリーディング産業としての必要な要件を備えており、その政策的な施策展開を通じて、21世紀に向けた本県の自立的発展に資することがきたいされている。

(2)本県のもつ優れたリゾート資源の活用

本県は、我が国で唯一の亜熱帯・海洋性気候の下にあり、温暖な気候と豊かな自然景観は国際的なリゾート地に比肩し得るものである。

 また、明治12年の廃藩置県に至るまで首里王府を頂点とする「琉球王国」を形成してきたことから、その文化的基層において「琉球文化圏」をかたち造っており、祭り事をはじめ、音楽、踊り、料理、泡盛、焼物、工芸、言葉、文学、衣食住、民族習慣等多領域にわたる伝統文化が県民の中に脈々と生きている。

「第四次全国総合開発計画」においても、沖縄地方整備の基本方向として「我が国の最西端に位置するという地理的特製を生かした東南アジアをはじめとする諸外国との交流拠点の形成、豊かな亜熱帯・海洋性自然と特有な伝統文化と歴史的蓄積を活用した国際的規模の観光・保養地域の形成等により地域の特製を十分に活用した産業・文化を振興し、特色ある地域として自立的発展を図る」としており、本県のもつ優れたリゾート資源を今後の我が国における余暇時代に向けて活用することが期待されている。

3.本県リゾート開発の概況

(1)観光・リゾート産業の現況

ア 観光入域者数

昭和47年の復帰に伴って戦跡観光地としてデビューした沖縄観光は、復帰前年の20万人から復帰を契機に急増しはじめ、49年には80万人を達成した。昭和50年の海洋博の開催は観光立県としての本県の方向を決定付ける契機となり、昭和54年には180万人へと一気に増加し、本県観光の高度成長を画した。しかしながら、その後オイルショックに伴う国内景気の後退等もあって、低迷を余儀なくされたが昭和59年に大型リゾートホテルの立地等を契機としてようやく低迷期を脱し、200万人時代を迎えることとなった。以後、着実な伸びを示し、平成3年には301万人の観光客を受け入れるまでになっている。

イ 宿泊施設

 平成2年10月現在のホテル・旅館は、全国で288軒、15、762室を数え、うち那覇市に74軒、6772室が集中しており、全国ホテル・旅館に占める割合は、件数で26%、客室数で43%となっている。恩納村から読谷村にかけての本島西海岸一帯にはリゾートホテルが集中立地し、リゾートベルト地帯を形成しつつある。

ウ 観光客動態

 本県の観光・リゾート市場は、4月から10月までの海浜リゾート市場と11月から3月までの周遊型市場に大きく分かれる。前者が沖縄の青い海、青い空に代表される海水浴、マリンアクティビティーを中心とした市場で、30代以下の若年者市場になっているのに対し、後者は観光スポット巡りを主な内容とする40代以上の中・高年市場となっている。

 観光収入は、昭和47年の324億円から平成3年は3,358億円へと著しい伸びをみせ、平成元年度の県外受取に占める割合も17.8%と財政移転を除いて最も大きい比率を占めている。

 観光客1人当たりの消費額は、昭和47年の七万三千円から昭和58年は十万九千円へと順調に伸びたものの、以後低迷し、平成3年も約11万円にとどまっている。

滞在日数は、昭和55年の4.78日から平成3年には4.26日へと短縮傾向にあり、本県の観光・リゾートは短期滞在・周遊型観光が主流となっている。

(2)リゾート開発計画の動向

ア 民間のリゾート開発プロジェクト

 本県における民間主導によるリゾート開発計画は、水面下での構想も含めると60件から70件と見込まれ、そのうち、総合保養地域整備法の要件を満たす計画は44プロジェクトである。

 この44プロジェクトの計画内容は、開発総面積で約2,550ha、事業費総額約5100億円、宿泊施設数約T万4千室、収容人数3万8千/日、ゴルフ場14カ所216ホールとなっている。これらは現状に比べて、ホテル・旅館の屋数で約2倍、ゴルフ場のホール数で約1.5倍となる。

イ 公共主導のリゾート開発プロジェクト

 公的センターが主導するリゾート開発計画としては、県主導の第三セクター方式で計画されている部瀬名岬開発事業を含めて、10件以上のプロジェクトが計画構想されている。そのうち、8件は本島中南部の西海岸および東海岸に集中している。とりわけ、那覇市を挟む北谷町地先から宜野湾市、浦添市更に豊見城村に至る沿岸一体には6件のおおむね類似プロジェクトが集中に計画されている。東海岸には与那原町を中心に隣接町村の陸域・海域を一体的に整備するマリンタウンプロジェクトが構想されており、沖縄市でも東部海浜開発プロジェクトが構想されている。本島北部では名護市のヴォーターフロント開発が構想され、平良市と石垣市でも港湾後背地の再開発と一体となったコースタル・リゾート計画が進展・検討されつつある。

V計画の課題

1.国際的水準をもつ目的地リゾートへの転換

 リゾート地の評価は、その地域の「リゾート空間」としての雰囲気と機能によるところが大きい。優れたリゾート地域を形成するためには、個々のリゾート施設の内容充実はもちろんのこと、そのリゾート施設が立地する周辺環境の整備と併せて、他のリゾート施設とも有機的連携のとれた「リゾート空間」を形成することが重要である。

 今後、総合的な開発計画に基づき、現在みられるホテルとビーチとゴルフ場といった類似リゾートの点在からより高次のリゾート地へとレベルアップを図り、リゾート客の多様なニーズに対応した目的地リゾートとしての国際的リゾート地への転換を図る必要がある。

2.リゾート沖縄のブランドイメージを確立するための地域戦略の展開

 世界でも有数のサンゴ礁地形と第一級の透明度を誇る海をテーマとする「マリン・リゾート」、我が国で唯一の亜熱帯気候下の南国をテーマとする「トロピカルリゾート」、琉球文化圏を基層にもつ歴史・文化をテーマとする「琉球リゾート」、ハワイ、ゴールドコーストと並ぶ「環太平洋リゾート」等本県のもつ優れたリゾート資源は、「リゾート沖縄」を他のリゾート地から差別かするのに十分な魅力を備えている。

 今後、これらの優れたリゾート資源を活用し、国民のライフスタイルの変化やリゾート市場動向の的確な把握に基ずき、「リゾート沖縄」を売り込むための統一的な地域戦略を展開する必要がある。

3.多様なニーズに対応した総合的機能をもつ通年型リゾートの形成

 時代の流れは、ますます多様化、個性かしてきており、国民の自由時間に対する意識は、従来の「周遊形態をとる観光」、「短時間の娯楽」から「ディスティネーションをもつ旅」、「ゆとりある余暇・多様な自由時間活動を楽しむ旅」へと大きく変わろうとしている。

 年間を通じてにぎわいのあるリゾート地域の形成を図るためには、各種のイベントを連続的に企画するとともに、本県独自の歴史文化等多様な優れたリゾート資源、地域特製を活用したバラエティー豊かなリゾートメニューを準備し、あわせて、自由時間活用のニーズに対応した多様な施設構成に努める等、総合的機能をもつ通年型リゾートとしての開発整備を図る必要がある。

 

4.海域のリゾート的活用

 近年、ダイビングやボートセーリング等が県民の間にも普及し、観光・レジャー客を対象とするダイビングショップ等も育ちつつあるが、現状は、個々の事業者の自然発生的な水準にとどまっており、マリンレジャーを振興するための社会的・組織的な基盤整備が遅れている。

 今後、ハード面におけるマリーナやダイバー村、サーフィン村の整備、ソフト面における安全対策の体系化やインストラクター等の人材の育成、レジャー用品産業の育成等官民の役割分担の下に条件整備を促進することにより、本県の優れた海域を各種海洋レジャーのメッカとして有効に活用する必要がある。

5.伝統文化の活用

 本県には広く太平洋文化圏にも通じる多彩な伝統文化が、県民生活の中に脈々と生きており、建造物、史跡、伝統芸能、伝統工芸等独自性の高い文化が残っている。これらは他のリゾート地にはない「リゾート沖縄」を演出する上で極めて優れたリゾート資源である。歴史風土のなかで育まれた本県の文化的雰囲気は、リゾート沖縄を支える大切な条件であり、他のリゾート地と異なる「地域個性、地域の表情」を演出し、世界のリゾート市場で「リゾート沖縄」をアピールできるアイデンティティーの大きな柱でもある。本土客をはじめ、アジアなど文化的に深い関わりのある諸国からのリゾート客にとって、沖縄の伝統文化との出合は、大きな文化交流の旅であり、“歴史発見”の旅となる。

 今後、本県におけるリゾート地域の整備に当たっては、地域と一体となった「リゾート空間」を演出するため、文化財や史跡の保護、首里城等失われた歴史文化モニュメントの復元等ハード面の整備とともに、地域文化、伝統工芸等を通じて”地緑”を感じることのできる場をつくることによって、「琉球文化リゾート」の形成を図っていく必要がある。

6.リゾート関連インフラの整備

 21世紀に向けて本県が国際的リゾート地として大きく発展していくためには、地域社会の土台である各種の社会基盤の整備が不可欠である。

(1)空港

 人の流動と滞在を基本として成立するリゾート関連産業にあっては、流動促進のためのインフラの整備水準がその地域のリゾート立地条件を決定する大きな要件となる。本県は県外への交通アクセスの96%を空路に依存しており、当面、急を要する総合ターミナルの整備促進を含む那覇空港の拡張整備、空の安全運航体制の拡充のための空域の整備拡充、離島空港の整備拡充、コミューター航路網の整備等その課題は多い。また、各島々の玄関口としての空港ターミナルは、「リゾート沖縄」の顔であり、リゾート地の雰囲気づくりのための演出を必要とする。

(2)港湾

 本県を国際的リゾート地として整備するに当たり、港湾については本来の物流機能に加えて、周辺離島航路の玄関口としての機能、大型客船のための母港としての機能や各種海洋レジャー振興のための社会的基盤施設としての機能、さらにはその後背地域整備も含めた親水空間・文化レクレーションエリアとしての整備が期待されている。現在計画されているコースタルリゾート計画等の積極的導入により、リゾート地にふさわしい港湾機能の整備拡充を図る必要がある。

(3)道路

 本県には本土の各県と異なり、域内交通の動脈となるべき軌道交通手段がない。すでに、本島西海岸のリゾート集積地においては交通渋滞が年々深刻化してきており、住民生活への影響も大きくなりつつある。

 域内の交通インフラの整備は緊急の課題であり、観光・リゾートに対応した道路整備を図る必要がある。

(4)水資源 

 本県においては計画的に多目的ダムの整備がすすめられているものの、現状は、気象条件により少雨傾向が続くと、水の供給不足を生じる等厳しい状況にある。

 水の安定確保が今後のリゾート開発においても重要な要素であり、水資源の開発と併せて水の再利用を促進することが緊急な課題である。

(5)電力

 本県の電力供給は隣県と海で大きく隔絶していることから、他電力との系統連結による相互融通が不可能である。リゾートホテル等の新規立地による電力需要の漸増が見込まれるので、今後の電力供給の安定確保に向けた計画的な施設設備が必要である。

(6)情報通信

 本県を国際的リゾート地として整備するに当たっては、全県どこからでも外国へ直通で電話やファックスが通じる等の情報通信網の整備が必要である。同時に、宿泊施設の案内や予約、各種イベント情報の提供、航空機等の情報等が適時に得られるような観光・リゾート関連情報の提供、航空機等の交通情報等が適時に得られるような観光・リゾート関連情報システムの確立を図る必要がある。

(7)その他インフラ

 下水、廃棄物等が新たに立地したリゾート関連施設から排出されることになるので、これらを処理するためのインフラを計画的に整備する必要がある。当該処理施設の整備にあたっては、地域と事業者の合理的な役割分担によって整備することを基本とするが、国民に保養の場を提供するに伴って派生する国民的な課題でもあることから、関連制度の積極的活用により対応する必要がある。

7.推進体制の確立

 国際的リゾート沖縄の形成に当たっては、県民合意の下に関連施策事業が高価的に展開されることが重要である。

 今後、官民の役割分担を踏まえつつ、国際的リゾート沖縄の形成に当たっての総合的プロデューサーとしての観点から、県における推進組織の再編強化に努めるとともに、官民一体となった推進体制の確立を図る必要がある。 

8.多様な人材確保・育成

 本県においては、多数のリゾート開発プロジェクトがおおむね県全域において計画・運営されているが、その多くが人口集積の乏しい地域におけるプロジェクトであることやマリンリゾートとしての海洋レクレーションの活発化に伴い指導員等の不足がみられる等、地域・業界によっては人材の確保が懸念されている状況にある。また、国際的リゾート地として外国人客を受け入れるための態勢も十分整備されているとはいい難い状況にある。

 今後、本県が国際的リゾート地として安定的に発展して行くためには、他産業とのバランスにも配慮しつつ、多様なニーズに対応した計画的かつ他面的な人材の確保・育成システムの確立を図る必要がある。

9.地域づくり・関連産業の振興に資するリゾート開発

 地域にとってのリゾート開発の意義は、開発による地域経済・社会の活性化を図ることにあるので、地域の産業との関連をいかに高めていくかが大きな課題となる。とりわけ、本県においては、リゾート産業が戦略産業として期待されているので、供給体制の未整備等十分なる産業連関効果を上げるに至っていない第一次産業や地場産業等の供給力拡大やリゾート関連中小企業者の育成等、地域の経済全体を底揚げするシステムを確立し、県外からの調達に依存している原材料・商品等を可能な限り県内で供給することにより、リゾート関連収入の県内循環を高め、地域への関連波及効果の拡大に努めていく必要がある。

10.自然環境の保全と調和した秩序あるリゾート開発

 本県は、広大な海域に点在する多くの島々からなり、白いコーラルビーチに恵まれた海岸線と世界でも有数のサンゴ礁が発達した地域であり、礁湖の中には熱帯魚をはじめ様々な生物が数多く生息している。また、海水の透明度と海の色の美しさは特筆すべきものがある。陸域にあっても日本本土にはみられない亜熱帯性植物の宝庫であり、また、イリオモテヤマネコやヤンバルクイナ等の貴重な動物をはじめ数多くの固有種が分布するなど特異な生物相を有することから、東洋のガラパゴスと称され、世界的にも注目を浴びている。

 他方、海域においては、近年大量発生したオニヒトデによるサンゴの食害が県全下で進行し、現在回復の兆しはあるとされるものの、全体としては未だ元の状態に程遠い状況にあり、海域環境の保全とともに回復阻害要因の低減、オニヒトデの除去対策、回復促進のための手法等について、一層の努力が必要となっている。

 優れた自然環境の存在こそが、リゾート沖縄を成立せしめるとの観点から、リゾート開発に当たっては、自然環境容量に配意し、環境特性と調和した秩序ある開発整備を図る必要がある。

11.リゾート市場の需給バランスに配慮したリゾート開発

 本県においては、その優れたリゾート立地環境を反映して多数のリゾート開発計画が発展しつつあり、これらの開発が短期的・無秩序に集中すれば自給の大幅なギャップを生じ、新規に進出した事業者のみならず、既存の観光・リゾート関連業者の経営環境にも深刻な影響を及ぼすことが懸念される。

 本県におけるリゾートの開発整備に当たっては、長期的観点に立ちつつも、リゾート市場の動向に十分配慮し、既存の観光・リゾート関連事業者の経営との共存共栄を基本として、総合的見地からの立地誘導と規制指導を図る必要がある。

12.地価対策の強化

 本県においては、近年のリゾート開発ブームを背景にリゾート開発適地を中心とする土地取引が活発化しつつあり、地価の動向に予断を許さない状況となっている。年間平均地価上昇率が2桁を記録している地域もあり、場所によっては都市地区並の地価水準に達しているところもみられる。これらの土地取引には、地域とのコンセンサスの下に地域活性化に大きく寄与する開発のための取引がある反面、明確な利用目的がなく将来の値上がりを見込んだ取引や地域の長期的な開発構想と相いれない投機的投資を目的とする取引も少なくない。

 地域における土地の急騰は、地域住民の住宅用地の取得難をもたらし、地域の生活関連インフラの整備等公共的な利用目的のための土地取得をも困難ならしめ、農業等他の産業の振興にも大きな影響を与えることが懸念される。

 今後、地域のバランスある発展に資するような土地利用を促進することを基本としつつ、投機的な土地取引に対する監視体制の強化等土地利用関係法令の運用強化を図る必要がある。

W計画の基本方向

1.多様なニーズに対応した国際的水準のリゾート開発

 国民の余暇時間の増大、多様化する余暇ニーズに対応し、「豊かな亜熱帯・海洋性自然と特有な伝統文化と歴史的蓄積を活用した国際的規模の観光・保養地域」の形成を目指し、国際的なリゾート市場において「リゾート沖縄」をアピールできる、独自性と品質の高さを有するリゾート地の形成を図る。

2.経済の自立化に向けた戦略産業としてのリゾート産業の育成

 本県経済が財政依存を脱し自立的に発展する経済へと転換するためには、将来性のある基幹産業を早急に育成する必要がある。我が国を取り巻く時代の大きなトレンドの中にあって、リゾート産業を本県の優れた地域特性を生かした戦略的産業として育成する。

3.自然環境・地域社会と調和した秩序あるリゾート開発

 本県は優れた自然環境に恵まれている反面、大規模な土地造成を伴う開発においては本県特有の赤土流出による海域汚染等が懸念される。リゾート開発は、地域のもつ自然的・社会的環境容量の範囲内で行うことが重要である。同時に、リゾート開発の意義は、地域の経済社会の活性化を図ることにあるので、その全体的な底上げに資する方向で、地域とのコンセンサスを踏まえて推進する。

X計画の展開方策

 国際的リゾート沖縄の形成に当たっては、望ましいリゾート空間の整備、リゾート環境の整備、リゾート関連基盤の計画的整備及び関連支援施策事業の計画的な推進に努めることが重要である。

1.リゾート空間の整備

 リゾート空間の整備に当たっては、我が国の中で唯一のトロピカルゾーンに位置し、県全域にわたって優れた観光・リゾート資源を有する本県の地理的、自然特性を最大限に活用する観点から、県全域を沖縄スーパーメガリゾートとして位置付け、各々の特性を踏まえつつ、自然環境及び農業的利用との調和に配慮して、その整備を図る。

(1)広域リゾート圏のソーニングと整備の方向

 本県は、広大な海域に散在する多くの島しょから成り、我が国では唯一の亜熱帯・海洋性気候風土の下にあり、県全域において美しい白砂の海岸線やサンゴ礁などの独特の自然景観及び特異な歴史的経験によって培われた独自の伝統文化等魅力的な観光・リゾート資源に恵まれている。

 このような各地域に広がる優れた観光・リゾート資源を広域的な特性を踏まえた統一的コンセプトの下に開発整備し、均衡のとれたリゾート開発を推進するため、広域リゾート圏を設定する。

 広域リゾート圏は、尾根・水系等の自然的条件や社会的条件・地理的条件等を勘案して、北部リゾート圏、中南部リゾート圏、周辺離島リゾート圏、宮古リゾート圏及び八重山リゾート圏に区分する。

 その具体的整備に当たっては、開発と保全との調和に留意しつつ、リゾートポンテンシャル等の要件を踏まえてリゾート開発適地を設定するとともに、政策的観点から各圏域における中核的なリゾートエリアとして戦略的開発拠点を整備し、あわせて、県内各地域に点在する優れた各種観光・リゾート資源との有機的な連携システムの形成を図る。

ア 北部リゾート圏

 整備の方向

@沖縄本島に残された最も自然度の高い地域であるので、自然環境の保全に配慮しつつ、自然条件を生かしたキャンプ場等野外レクレーション活動のための施設整備を図る。

A国営沖縄記念公園海洋博覧会地区を核とする研修交流型のリゾートエリアの形成を図る。

B高齢者保護にも対応した定住施設やゴルフ場等をもつ健康保養型・長期滞在型のリゾートエリアの形成を図る。

C既存リゾート施設の集積を生かし、環境容量に配慮しつつ、国際的水準の海浜リゾートエリアの面的整備を図る。

D米軍返還施設を活用した海浜リゾート等の整備を図る。

イ 中南部リゾート圏

整備の方向

@那覇市周辺に地域住民や観光客が利用できる海浜レジャーレクレーション施設の整備を図る。

A遊・食・住一体となった複合型アーバンリゾートとしてのメインコアベルトゾーンの形成を図る。

B高齢者保養にも対応したヘルスケア型リゾートエリアの形成を図る。

C米軍返還施設を活用した複合的なリゾートエリアの形成を図る。

ウ 周辺離島リゾート圏

(イ) 整備の方向

@海域に囲まれた自然度の高い小さな島々からなる地域であるので、優れた自然環境の保全を基本に、中南部圏との有機的連携を図りつつ、マリンスポーツを核とする海浜リゾートの点的開発を図る。

Aビーチ等を活用した野外レクレーション活動のための施設整備を図る。

エ 宮古リゾート圏

整備の方向

@平坦な地形を生かしたフィールドスポーツ・レクリエーション活動のための施設整備を図る。

A優れた海浜景観を活用した本格的なマリンリゾートエリアの形成を図る。

B空港機能を生かした複合型リゾートエリアの形成を図る。

オ 八重山リゾート圏

(イ)整備の方向

@本県における最も自然度の高い地域であるので、自然環境の保全を基本としつつ、海浜レジャー型リゾートエリアの形成を図る。

A優れた自然環境を生かした野外レクレーション活動のための施設整備を図る。

(2)リゾート開発適地の設定と整備の方向

 沖縄スーパーメガリゾートを構成する広域リゾート圏の中で、自然環境、土地利用等の面からリゾート開発ポンテンシャルに優れ各リゾート開発計画等をもつエリア{リゾート振興地区}、沿海域景観に恵まれ、その保全に配慮しつつリゾート的な活用が期待できるエリア{リゾート海域}及び自然環境の保全を優先させて、野外レクレーション等の場としての利活用が期待できるエリア{特別保全整備地区}をリゾート開発適地として位置ずけ、開発と保全のバランスに十分配慮しつつ、各々の特性を踏まえた秩序あるリゾートの開発整備を図る。

ア リゾート振興地区

(イ)対象地区

 以上の方法により選定されたリゾート振興地区は、次の10地区である。

{北部リゾート圏}

@国頭西海岸・羽地内海リゾート振興地区、A北部東海岸リゾート振興地区、B本部海岸リゾート振興地区、C恩納海岸リゾート振興地区

{中南部リゾート圏}

@中城湾リゾート振興地区、A南部海岸リゾート振興地区

{周辺離島リゾート圏}@久米島リゾート振興地区

{宮古リゾート圏}

@宮古リゾート振興地区

{八重山リゾート圏}

@石垣リゾート振興地区、A西表リゾート振興地区

なお、公共主導によるリゾート開発計画地域及びリゾート適地としての有効活用が期待される返還米軍施設・区域もリゾート振興地区に準じて、所要の整備を図ることとする。

(ウ)地区の特性と整備方向

 リゾート振興地区の整備に当たっては、地域の均衡ある発展に資する観点から、各地区の特性を踏まえ、リゾート施設の自給動向及び先行施設による環境影響の実態等を勘案しつつ、その段階的整備に配慮するものとする。

イ リゾート海域

(イ)対象海域

□伊平屋島、伊是名島を中心とする伊平屋海域 

□勝連半島周辺の島々で構成される与勝離島海域

□座間味島、渡嘉敷島を中心とする慶良間諸島海域

□石垣島と西表島との間の石西礁湖海域

(ウ)整備の方向

 リゾート沖縄の最大の資源は、サンゴ礁の海の多様性にある。サンゴ礁地形の様相は、海域のリゾート景観に大きく影響を及ぼすだけでなく、季節的な海象条件と相まってマリン・アクティビティの活動範囲を大きく左右する条件ともなる。同時に、リゾート海域については、海から眺める島々 の景観もその重要な構成要素であり、これらの資源を最大限に守り、活かすことが“海を楽しむ”リゾート沖縄のリゾートアイデンティティの基盤となる。

 このため、リゾート海域の整備に当たっては、その保全を図りつつ、海域と島々とが一体となって醸し出す豊かな景観イメージを損なわない範囲内において、マリン・アクティビティの展開と関連した施設の整備を図ることをその基本とする。

ウ 特別保全整備地区

(イ)対象地区

□国頭内陸地区

□西表島内陸地区

(ウ)整備の方向

 当該地区は、亜熱帯気候の自然風土に恵まれた特色ある自然環境をもち、学術的にも貴重な動植物の宝庫であり、特筆すべき資源を有する地域である。

 このような優れた自然環境の活用に当たっては、生態系に悪影響を及ぼさぬよう適正な環境容量を踏まえた秩序ある開発に努めることが重要である。

 このため、特別保全整備地区の整備に当たっては、自然環境の保全を最優先させ、アセスメントを踏まえた遊歩道の整備や野外キャンプ場等必要で最小限の開発整備にとどめるものとする。

(3)戦略的開発拠点の形成

 リゾート開発の戦略的拠点を形成するため、先述のリゾート開発適地の設定とは別途に、政策的観点から公共セクター主導方式により、(ア)リゾートコアシステムの形成、(イ)部瀬名岬開発の推進を図る。

ア リゾートコアシステムの形成

 リゾート沖縄のシンボル・ゲートウェイであり、スーパーメガリゾート形成に当たっての先行開発モデルともなる戦略的中核拠点として、リゾートコアシステムの形成を図る。

 リゾートコアシステムは、(ア)リゾート沖縄メインコアベルトゾーン、(イ)リゾート沖縄リージョナルコア、(ウ)エリアコア、(エ)サテライトスポット、(オ)コア・スポットを結ぶネットワークによって構成される。

(ア)リゾート沖縄メインコアベルトゾーンの形成

{概念}

 当該ベルトゾーンは、リゾート沖縄の中核的拠点エリアであるとともに、本県の歴史、文化、生活スタイル等が反映された特有の雰囲気をもつリゾートの街であり、さらには豊かなリゾート環境の中での業務機能等を併せもつ「遊・職・住」の機能を備えた複合的なリゾート都市である。

 その整備に当たっては、リゾートの拠点づくりとしての視点に加えて、新しい都市づくりの観点から、周辺市街地との有機的・補完的連携、各種地域計画等との整合性を踏まえた総合的な施策の展開を図ることが重要である。

(イ)リゾート沖縄リージョナルコアの整備

{概念}

 当該コアは、メインコアを地域的に補完し、各リゾート圏域を代表するリゾートの中核的拠点である。

 リゾートタウンとしての機能・イメージを具備したある程度の都市集積をもち、圏域のイメージリーダー、ゲートウェイ性、以遠性をもつ交通拠点及びリーディングプロジェクトとしての性格をもつリゾートエリアである。

 開かれたアーバンリゾートとして、リゾート客と地域住民の活発な交流が繰り広げられる場としての機能をもつところでもある。

(ウ)エリアコアの整備

 前述のメインコアベルトゾーンやリージョナルコアがリゾート沖縄をイメージ的に代表し、機能的にもゲートウェイとしての役割を果たすのに対し、エリアコアはそのリゾート地区内におけるリゾートの生活支援施設を集約化させた一つのタウン機能(生活拠点機能)を有するとともに、地域のリゾート特性を反映したテーマ性のあるリーディングプロジェクトとしての性格をもつところである。

 エリアコアの整備は、リゾート地域の特色あるコンセプトを形成していく上で不可欠な要素であるので、各リゾートの差別化戦略の一環として、その整備を図る。

(エ)サテライトスポットの整備 

 メインコアベルトゾーンやリージョナルコアの周辺にあって沖縄の文化、歴史を明確に表現するスポット的な地区であり、主として各種の歴史、文化施設、観光施設、都市施設等をその対象とする。

 沖縄スーパーメガリゾートの中での優れたリゾートアメニティーの一つでもあり、その質的充実を図ることはリゾートメニューの多様化に資するのみならず、リゾート沖縄のイメージアップにも寄与することが期待されるので、積極的にその整備を促進し、各リゾートエリアとの連関性の確保を図る。

(オ)コア・スポットを結ぶネットワークの整備

 メインコアベルトゾーン、リージョナルコア、エリアコア及びサテライトスポットは、イメージ戦略や開発戦略上、沖縄スーパーメガリゾートを形成するに当たって極めて重要な機能をもつところである。

 このため、これらを有機的に結ぶネットワークの整備が不可欠であるので、リゾート的視点を加味した関連基盤の整備充実を促進する。

イ 部瀬名岬海浜リゾートの推進

 部瀬名岬海浜リゾートの開発については、国際的にも通用する海浜リゾート地としての拠点整備を図る観点から、@優れた自然環境を生かす、A21世紀を先取りしたリゾートづくり、B滞在型メガリゾートの提供、C沖縄リゾート開発のパイロット事業という開発コンセプトのもとに、県・関係市町村及び民間企業等で構成する第3セクターをマスターディベロッパーとして計画されている県民主導の戦略的プロジェクトである。

 当該プロジェクトは、今後「部瀬名岬地域海浜リゾートマスタープラン」のもとに計画的な開発整備が図られることとなるが、その具体化に当たっては、関連する個別規制法との円滑な調整、開発計画での用地確保、上下水道等関連インフラの計画的整備等の各種条件整備が不可欠であるので、その対応に努めることとする。

 なお、当該プロジェクトは、名護市によって名護湾ウµーターフロント構想の一角を構成するプロジェクトとしても検討されているので、今後同構想との整合性にも配慮しつつ、その推進を図る。

2.リゾート環境の整備

 沖縄スーパーメガリゾートは、リゾート開発適地、戦略的開発拠点及び多様な観光・リゾート資源をもつ景勝地、既存集落・市街地等の地域によって構成されるが、その国際的水準を有するリゾート地としての内容を確保するためには、各々が統一されたコンセプトの下に優れたリゾート環境をもつエリアとして整備されることが必要である。

 このため、当該地域におけるリゾート環境の整備を促進する観点から、リゾートパークの建設、野外広告物の規制誘導、伝統的集落景観の整備、公共施設や道路緑化、電線類の地中化、景観に配慮した歩道舗装や照明灯整備、海浜・河川・せせらぎの浄化等の都市景観等について官民が一体となって計画的にその整備を図る。同時に、CGG運動や花いっぱい県民運動等を通して県民の生活環境について一層の意識の高揚を図るとともに、美術館、博物館、伝統工芸館、劇場等の文化施設の整備拡充に努める。

3.リゾート関連基盤の計画的整備

 リゾート関連基盤は、リゾート空間を形成する上で重要な要素であり、その整備内容のいかんが本県の国際的リゾート地としての発展の可能性を左右するといっても過言でない。

(1)リゾート施設の整備 

 宿泊施設を核とするリゾート施設は、リゾート基盤を構成する基本要素(関連インフラ・人材)の中でもリゾートの質的内容を規定する最も重要な部分であり、その良質・多様な整備を図ることが、リゾート沖縄のアエデンティティを確立する上からも重要である。

 このため、その整備に当たっては、海外における近代ドリームリゾートに比肩しうる国際的水準の内容をもつグレードの高いリゾート施設の整備に加えて、大衆・家族向きで良質、低廉なコンドミニアム、ペンション、国民宿舎、国際旅行村、オートキャンプ場等の多様な宿泊施設の整備を促進する。あわせて、マリーナ、ゴルフ場及び歴史文化施設等各種の観光・リゾート関連施設の整備を促進する。

(2)関連インフラの整備拡充

 水資源の開発、エネルギーの確保、交通体系の整備、生活環境施設の整備等の関連インフラの整備については、沖縄振興開発計画に基づき、計画的な施設展開がなされているところであるが、県民生活の一層の向上及び戦略的プロジェクトとしての観光・リゾート開発の拡大展開に伴い、その需要増大が予想されるので、その円滑な対応に資する観点から、引き続き、拡充強化を図る。

(3)人材の計画的育成

人材の育成は、優れたリゾート施設や関連インフラの整備と同様にリゾート基盤を形成する上で極めて重要な要素である。観光・リゾート客が滞在期間中に快適なリゾート生活を享受することが出来るか否かは、人的サービスの内容いかんにかかっているといっても過言ではない。

 このため、産業振興基金等を活用した関連産業界の従事者に対する研修事業等の強化及び善意ボランティア通訳システムの拡充等を促進する。

 また、県内大学、高等学校、職業訓練学校及び専門学校等において観光・リゾートの専門学科等を設置し、高度な専門知識を有するスペシャリスト等の計画的養成を図り、業界のニーズに対応した多様な人材の育成に努める。

4.関連支援施策事業の計画的展開

(1)行政計画での体系的位置付け

第3次沖縄振興開発計画(仮称)において、国際的リゾート地の形成を戦略的プロジェクトとして位置付けるとともに、関係市町村の基本計画等においても所要の措置を行う等、行政計画の体系的整備に努める。 なお、リゾート関連施策の計画的展開を図るため、本計画期間内における関連事業計画を策定する。

 

(2)関係法令による支援措置の拡充

 既存制度を積極的に活用するとともに、本県の地域特性に配慮した新たな支援措置の必要性等について検討する。

 また、県においては沖縄県リゾート振興条例(仮称)を制定し、関連施策の効果的、効率的展開をはかる。

 さらに、関係市町村に対しても、リゾート関連条例等の制定促進を指導する。

(3)推進体制の整備拡充

 関連施策の効果的展開を図る観点から関係機関の再編統合を図るとともに、沖縄県観光リゾート推進本部(仮称)を設置し、各部局にリゾート担当職員を配置する。

 また、リゾート開発を産学官一体となって推進する観点から沖縄県観光リゾート推進協議会(仮称)の設置を促進する。

 さらに、リゾート法に基づき設置される各重点整備地区においては、当該地区のリゾート整備の円滑な推進を図るため、官民で構成する重点整備地区整備推進協議会(仮称)を設置する。なお、観光リゾート開発についての重要事項を審議するための機関として、沖縄県観光リゾート開発審議会(仮称)を設置する。

(4)関連産業の育成振興

 農業水産業については、納入の定時性、製品の均一性等の面で旺盛な需要に十分対応できかねる状況にあるので、農業等を中心とする産地ぐるみ若しくは広域的な組織化による計画生産等を促進し、安定供給体制の確立を図る。

 また、トロピカルフルーツ等を中心とする観光農園等の整備を促進し、観光・リゾートとの連携強化を図る。

 地場産業は、産業振興基金等を活用した業界ぐるみによる共同研究体制の整備、テクノセンター等の公設試験研究機関との連携強化、或いは異業種間の交流促進等を通じて、ニーズに対応した新製品の開発に努めるとともに、リゾートホテル施設における地場産品の優先使用及び同施設への地元土産品店等の出店を促進する。

 交通運輸業については、観光・リゾート客のニーズの変化に対応しつつ、路線バスの整備拡充、就航船舶の高速化・快適性の向上及び那覇空港と中北部のリゾート施設間を結ぶ高速艇の導入等を促進する。

 飲食業については、地場農産物、熱帯果樹、魚介類等を活用し、観光・リゾート客の味覚ニーズに対応した郷土色豊かな琉球料理やドリンク等の開発を促進する。併せて、琉球料理コンクール等を開催して、郷土食文化の向上を図る。

 レクレーションサービス業については、主に、マリンスポーツやエンタテイメント分野における人材の育成が急務となっているので、高等学校や専門学校におけるインストラクター等の養成コースの拡充を図る。

 なお、観光・リゾートと関連業分野との連携強化のあり方を協議検討するための機関として、県関係部局で構成する「観光・リゾート関連産業振興連絡会議(仮称)」を設置し、横断的かつ計画的に所要の施策展開を図る。

(5)イベント・誘客宣伝活動の強化

 イベントについては、海のカーニバル、花のカーニバル、サントピア沖縄等、従来の県内外におけるイベントの拡充に努めるとともに、本県の自然的、文化的特性等を生かしたリゾート万博(仮称)、国際工芸フェスティバル(仮称)、環太平洋ミュージックフェア(仮称)、アジア伝統工芸博(仮称)、アジアマリンピック(仮称)等の国際的イベントの創出を図る。

 特に、シーズンオフ対策として、シルバーエイジ、コンベンション、修学旅行、ゴルフツアー、スポーツ合宿・キャンプ等の誘客活動を重点的に展開する。さらに、国際的リゾート沖縄の形成に向けて、その情報収集及び誘客宣伝活動の拠点として海外事務所の設置を図る。

(6)総合的環境保全施策の推進

 優れた自然環境、快適な生活環境は、リゾート沖縄を成立せしめる根幹的要素であるとともに、有限な「環境資源」でもある。

 このため、陸域または海域の大規模な改変を伴う開発に当たっては、個々のリゾート施設単独での影響にとどまらず、地域環境にトータルとして及ぶ影響についての予測を踏まえ、自然環境容量に配慮した施策展開を検討するとともに、開発の具体化に際しても、環境アセスメントを実施し、その結果に基づいて適正な処置を講ずるほか、工事中・工事後を通して事業者・県・市町村が連携して環境モニタリングを実施することにより、継続して段階的に実施される開発の参考に資するものとする。

 特に、海浜リゾートは、開発プロジェクトの展開による海域環境への影響や資源の破壊・枯渇を招くような過度のまたは無秩序な利用の程度に大きく左右されるので、環境情報センターの設置等環境保全組織の拡充、リゾートモラルの確立普及を図るとともに、地域環境管理計画を策定し、総合的視点から諸施策の調整、誘導を図る。

 さらに、県土保全条例及び国土利用計画法等の統一的な運用強化を図り、自然環境の保全に配慮した関連施策の推進に努める。

(7)観光・リゾート情報通信体系の整備

 観光・リゾート客の必要とする各種の情報や通信手段等が適宜準備され、容易に利用できる仕組みが確立されていることが、国際的リゾート地としての本県の評価を高める上で極めて重要である。

 このため、観光・リゾート客の動態の変化に対応しつつ、迅速、適正な情報を提供すべく観光リゾート情報センター(仮称)の設置を促進するとともに、観光リゾート案内板標識整備計画を策定し、その整備を促進する。

 また、外国人観光・リゾート客のニーズに対応して、国際ダイヤル通信網の整備拡充を促進する。

(8)適正な土地対策の推進

 近年、内需振興等による経済社会の潮流変化や人口、産業、情報等の都市部への集中に伴う土地需要の高まり等を背景として、県内においてもリゾート地としての可能性をもつ地域を中心に土地取引が活発化しつつあり、地下高騰の一因となっている。

 その中には、実需に粉した投機的な土地取引もみられ、県土の総合的・計画的な土地利用が懸念されるところである。

 このため、適正・合理的な土地利用の確保の観点から、国土利用計画法に基づく監視区域の拡充等関係法令の運用強化を図るとともに、リゾート地域における実効性のある土地利用計画の策定を促進し、バランスのとれた秩序あるリゾート地域の形成を図る。

(9)歴史文化資源との連携システムの確立

 観光・リゾートのメニューの拡大及び本県の歴史文化との交流促進に資する観点から、今後、博物館、常設県民劇場、伝統工芸館、資料館、首里城の復元等の歴史文化施設の整備を促進するとともに、これを各リゾート地域のサテライトスポットとして位置付け、その有機的連携システムの確立を図る。

 なお、歴史的景観や文化財、地域の信仰や精神的シンボルである拝所等の保全に努めるとともに、リゾート施設の設置に当たっては、当該文化遺産とのイメージの調和を図っていくものとする。

(10)国際交流施策との連携強化

 国際的リゾート地の形成を目標とする本県にとって、国際交流事業の活発な展開は、リゾート関連施設との連携等を通してリゾート沖縄の国際化を促進し、他方、国際的リゾート地の形成は、民間レベルでの交流の促進をもたらす等施策の相乗効果が期待される。

 このため、今後とも国際会議等の有地等既存交流施策の拡充を図りつつ、国際的リゾート沖縄の形成を促進する観点から、那覇国際空港の実現、国際通信網等の基盤整備、国際航空路線等の拡充、国際交流情報センターの設置、地域型研究機関の誘致、基地内大学の有効活用、外国大学の誘及び姉妹都市等の拡大等関連施策の拡充に努め、各面における交流拡大を通して、国際的リゾート沖縄の形成を促進する。

(11)観光・リゾート地における安全対策の確立

 観光・リゾート地での安全性の確保は、旅行者が快適なリゾートライフを実現する上で極めて重要である。

 このため、マリンスポーツ、マリンレジャー活動についての体系的な安全対策指針の作成、インストラクター等による安全指導体制の充実、海象情報の提供体制の整備等に努めるとともに、事故発生時に即応できる救難体制の確立を図る。

5.開発プロジェクトの段階的推進

 本計画においては、原則として地元市町村の積極的支援を得て展開されるリゾート開発プロジェクトのみをその対象として推進することとする。

 段階的整備に当たっては、圏域の均衡ある開発による沖縄スーパーメガリゾートの形成を図るという観点から、各圏域ごとに先行的に整備を要するプロジェクトが政策的にバランスよく絞り込まれ、整備されることが望ましい。

 先行的に整備されるプロジェクトは、次の要件に該当するものとする。

@リゾート空間の整備方策としての「戦略的開発拠点の形成」に係わるプロジェクト

A地域振興戦略として計画され地元自治体との合意に基づく熟度高い民間プロジェクト

 その他の開発プロジェクトについては、全体の需要動向等を見極めつつ、適宜、段階的整備を推進する。

Y計画のフレーム

1.入域者数

 平成13年(西暦2001年)における本県への観光・リゾート入込客数は、おおむね500万人〜600万人とする。

2.経済波及効果

 平成13年(西暦2001年)における観光・リゾート開発に伴う経済波及効果は、観光・リゾート関連収入が6,900億円〜8,300億円、生産誘発効果が13,400億円〜16,000億円、雇用効果が117千人〜140千人と見込まれる。

Z計画実現に当たっての配慮事項

1.地域住民とのコンセンサスの確立

 リゾート開発は、地域づくり・まちづくりそのものであり、地域住民の日常生活に及ぼす影響も大きいことから、その理解と協力の下に地域と一体となって促進することが重要である。

 そのためには、リゾート地域との共存共栄を図る観点から、地域ごとに公共団体・開発主体・地域住民などによる協議会の施設等望ましいリゾート開発のあり方を協議するためのシステムをつくることが重要である。また、開発主体においては、関連施設の計画段階から、地域住民、関係団体、自治体等に対する計画内容の事前説明とその合意形成に努めるとともに、施設の整備・運営に当たっても地域社会や自然環境との調和に配慮つつ、基本的には、運営等に支障のない範囲で可能な限り施設のオープンシステム化、地元企業によるテナントとしての出店促進、地元産品の優先使用等に努めるなど、地域・産業との連関システムを構築することが重要である。

2.官民の役割分担による関連施策事業の効果的推進

 リゾート開発は、内需振興方策の一環として、民間活力の発揮が期待される事業分野であるが、その効果的展開に当たっては、官のもつ公共性・計画性及び民のもつノウハウ・資金力・機動性等が総合的に発揮されることが重要である。

 特に、民間部門においては、長期的展望に立ちつつ、多様なリゾートニーズに対応した独自性に富む関連施設の整備やソフト面に富む個性的なリゾートの運営展開等とあわせて、可能な限り開発利益の地域への還元に配慮するなど、地域づくりへの積極的参画という理念を踏まえ他事業展開が期待されている。

 国際的リゾート沖縄の形成に当たっては、地域との共存共栄の観点から、官民が各々の役割分担のもとで、計画的かつ他面的に関連施策事業を展開していくことが重要である。

3.基本的制約要因の改善

 本計画で目標としている国際的規模の観光・保養地域の形成に当たっては、内外の特殊事業等からその制約要因として懸念されている水の安定確保、航空輸送力の拡充及び人材の確保・育成について、その改善を図るための政策的対応が計画的に展開されることが不可欠である。

 そのためには、官民が各々の立場から政策的課題のもつ意義を十分に吟味し、その対策を重点的かつ計画的に展開することが重要である。

 また、空路に大きく依存する本県にとって航空運賃問題は、国内外のリゾート地との競争力の確保を図り、リゾート産業を振興させる上からも極めて重要であり、検討を要する課題である。

4.関連制度の拡充

 本県においては、各地に広がる優れた観光・リゾート資源を効果的に活用することにより、県土の均衡ある発展に資する観点から、県全域を対象とする沖縄スーパーメガリゾートの形成を図ることとしている。

 その具現化に当たっては、県全域においてを総合的・体系的なリゾート基盤整備を促進するため、ハード及びソフト面の関連施策事業の計画的的展開を図ることが重要である。

 このため、現行のリゾート法の運用に加えて、本県の地域特性に配慮した新たな支援措置の必要性等について検討する。

むすび

 本基本計画は、「国際的規模の観光・保養地域の形成」を目標に、リゾート産業を21世紀の豊かな沖縄社会の実現に向けた戦略的産業の一つとして位置付け、調和と秩序のとれたリゾート開発の展開方策を明らかにしたものである。

 本県は、国際的リゾート地を成立させ得るに足る我が国でも有数のリゾート資源に恵まれており、今後総合的な施策展開を図ることにより、ハワイ−ゴールドコースト(オーストラリア)−オキナワを結ぶ環太平洋圏におけるリゾートのゴールデン・トライアングルの一角を形成することが期待されている。

 しかしながら、今やリゾートと呼ばれる空間は、国境や人間の国籍を超えた「コモンの空間」といわれており、優れたリゾート資源を有する本県リゾートといえども今後グァム、サイパン、ハワイそしてオーストラリア等の環太平洋トロピカルリゾートにある国際的リゾート地との競争状況下に組み込まれていくであろうことを深く認識し、これら諸国との競争力を確立するための適切な対応策の展開を図ることが緊用と考えられる。

 また、本県が今後の余暇時代の到来に伴い、国民の多様なリゾートニーズに対応しつつ国民リゾート地として、さらには東南アジアをはじめとする諸外国との交流拠点としての地位を確立するためには、内外の社会経済の動きやリゾート市場動向を的確に把握し、確固たるコンセプトに基づく リゾート地域の整備に向けて官民一体となった取り組みを展開するとともに、世界のリゾート市場に「リゾートおきなわ」をアピールするための統一的な地域戦略の展開を図る必要がある。

 本県の地域特性を生かした世界に誇れる「トロピカルリゾートおきなわ」の実現に向けて、いま県民の英知と努力の結集が要請されている。